自然農薬

植物以外の自然農薬の使い方・素材一覧

植物を素材として作った植物エキス以外にも身近にあるものを使って自然農薬を作ることができます。

よく知られているのが、コーヒーや牛乳、海藻などです。この記事では、それらの素材をはじめ10の素材の効果や使い方をまとめましたので参考にしてください。

また、植物を素材とした自然農薬については【生育促進】【病気予防】【害虫忌避】の3つの観点に分けて一覧にしてまとめてありますので、気になる方はこちらもご覧ください。

1.米のとぎ汁

米の研ぎ汁

米のとぎ汁は、米ぬかと同様に、乳酸菌や酢酸菌などの有用微生物のエサになる成分をバランスよく含み、静菌作用のある乳酸菌エキスの材料になります。

米の最初のとぎ汁だけをビンに入れ、和紙でフタをします。

台所など日の当たらないところに4日ほどおくと沈殿物が生じ、水面にカスのようなものが浮いてチーズの匂いがしてきます。1週間から10日ほどではっきり三層に分かれます。

真ん中の薄黄色の部分が乳酸菌エキスです。

基本エキスや防除エキスを散布する際に一緒に混ぜて使用することでエキスの抗菌作用が高まります。

三層の上層部はガス、下層部は沈殿物なので中間層を使用する。

2.重曹

重曹

重曹(炭酸水素ナトリウム)はうどんこ病に効果があります。

パンを膨らませたり、食用での用途が多い重曹ですが、うどんこ病に対する効果がわかり、今では毒性のなし農薬として資材化され販売もされています。

重曹を水で800倍に薄めれば使用可能です。

1㎡当たり200ccほど散布します。うどんこ病の胞子が飛ぶのは午前中です。

散布は胞子が飛ぶ前、朝10時までに済ませましょう。

乾燥していると散布後、葉が白くなることがあります。

これは重曹の結晶で、葉焼けの原因となりますので水で洗い流すようにしましょう。

毒性はなくても目に入ると結膜炎をこす場合があるので散布する際は、メガネやゴーグルをつけて散布すると良い。

3.食酢

食酢

病気予防やダニに対して効果があり、ウリ科のうどんこ病には特に効果があります。

また新陳代謝を高めて作物を引き締める効果があります。

座れた窒素は葉で有機酸と合体してアミノ酸になります。

有機酸は窒素の受け皿で、不足すれば窒素が余って窒素過剰になります。

酢の散布は有機酸を補い窒素消化を助け、作物をダイエットさせる効果があります。

酢は穀物酢、果実酢、米酢などを200〜500倍に薄めて使います。合成酢は使いません。

ハクサイやキャベツなど大きめの野菜には濃く、コマツナなど小さいものには薄めに散布します。窒素過多など、生育を抑える、引き締めたい場合は200倍くらいで使います。

あまり濃くかけすぎると一時的に生育が止まるので注意。

4.牛乳

牛乳の薄め液を使う

アブラムシ駆除に一定の効果があります。

牛乳は原液か、水で少しだけ薄めてスプレーで散布します。

牛乳がよく付着するように石けんを少し溶かして使うと効果的です。

効かせるためのポイントは、必ずよく晴れた日の午前中に散布することです。

曇りの日に散布すると効果がないばかりか、乾かずに残った牛乳が腐ったりカビが生えたりします。

昼になると牛乳が乾いてアブラムシの呼吸する穴(気門)が塞がって窒息死するわけです。

アブラムシが死んだら散水して洗い流します。使うのは古い牛乳で構いません。

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牛乳の散布後、食酢や木酢液など酸性の液体を散布すれば凝固作用で早く固まる。

5.海藻

海藻

海藻はアブラムシよけや肥料として使われます。

消毒薬のヨードチンキは海藻のヨウ素の殺菌作用を利用して作られました。虫はヨウ素を嫌います。

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海に行って海岸の、コンブ、ワカメ、ヒジキ、テングサなどを集めます。

それらを大きな容器に入れて水をいっぱい張ってフタをし、3ヶ月おけば完成です。

その海藻を適当な大きさに切って使います。

畑の畔におくだけでアブラムシが寄ってきません。

アリが多くて困っている場合は、海藻を浸けた水を400倍に希釈して葉面から1㎡当たり200cc散布すると効果があります。

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6.クエン酸

クエン酸

クエン酸に木酢液、もしくは穀物酢を混ぜて散布すると、ダニやナメクジに対して非常に効果があります。

各種自然農薬のpH調整やクエン酸カルシウムを作る際にも使います。

99.5%以上のクエン酸を2000倍に希釈し、500倍に希釈した穀物酢(木酢液)を1対1で混ぜます。

散布前に散布液がpH4.5になるようにクエン酸の量を調整してください。

葉の裏を重点的に、1㎡当たり200cc散布するようにします。

大発生している場合は、これにアセビ、クスノキのエキスを1000倍で加えると良いでしょう。

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白い卵の殻を溶かせばクエン酸カルシウムができる。クエン酸液に卵の殻を入れると、シュワシュワ泡を出して溶ける。また、クエン酸は散布すると、葉が立ってくる。

7.インスタントコーヒー

インスタントコーヒー

コーヒーを散布するとダニ類に効果があります。インスタントで構いません。濃度は普通に飲むくらいですが、濃い方がより効果があります。

コーヒーをドリップした後のカスも利用価値があります。土にすき込んでやれば、ネコブセンチュウヨトウムシの忌避効果があります。

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8.ビール

ビール

ナメクジはビールが大好きで小皿にビールを置いておくと、夜に飲みに集まってきます。

集まったところを箸で駆除しましょう。カタツムリも同様に効果があります。

クレゾールを少し入れておくとより効果的です。缶の底に残った分などを利用してください。

9.草木灰

草木灰

草木灰とは落ち葉や小枝を燃やして作った灰です。灰は強アルカリ性で害虫忌避、殺菌効果があります。

落ち葉や小枝を燃やして作りましょう。植物以外の灰は使えません。

また草木灰を作る際は焼き過ぎに注意してください。白い灰になってしまえば効果は落ちてしまいます。

早朝、朝露のある間に、たっぷり葉面散布します。虫は匂いを嫌って近づきません。

天然のカリ成分を含み作物の生育もよくなります。根菜類には特に効果があります。

10.卵の殻やかき殻

かき殻

カキ殻や卵の殻をクエン酸液に浸けて作るクエン酸カルシウムエキスは作物の抵抗力を高める効果があります。

卵やカキ殻を砕いて4ℓ容器に入れて、クエン酸を大さじ3杯入れて水を加えていくと泡が吹き出ます。

殻が柔らかくなって溶けたら、ろ過して保存しましょう。

800倍に薄めて、月に一度基本エキスに混ぜて朝方か夕方に1㎡あたり250ccほど葉面散布します。

カルシウムは作物の細胞壁を強化し、カルシウムの効果で作物の葉が厚くなり、病気も出にくくなりトマトの尻腐れも防ぎます。

また、果実の着色もよくなります。

卵の殻は砕いて作物の株元にばらまいておくことで、ネキリムシヨトウムシよけにもなります。

卵の殻やカキ殻はカルシウムの塊です、これらをクエン酸で溶かして液肥を作る、ということ。卵の殻は白いもの以外は溶けにくいので注意。また、カキ殻以外にホタテ貝などでも代用可能。

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おわりに

今回は自然農薬の植物以外の素材を一覧にしてまとめました。

自然農薬は多様なものがたくさんあり、また有効成分の抽出方法や植物エキスもその植物のどの部分を使うかでも効果は変わります。

様々な効果が期待できる自然農薬、効果的に取り入れて理想の無農薬栽培、減農薬栽培を実現していきたいですね。

下記は自然農薬についての様々なリンクを一覧にしたページですので、詳しく知りたい方は下記よりご覧ください。

https://nokabegin.net/iroha