自然農薬

【自然農薬】基本エキスの作り方・素材になる主な植物一覧【生育促進】

自然農薬は大まかに効果で基本エキス(生育促進が期待できるもの)防除エキス(病気予防・害虫忌避が期待できるもの)に分けられます。

基本エキスで作物の病気に対しての抵抗力を上げて、もしそれでも病気になってしまったら防除エキスを使う、といったような理解をしておきましょう。

この記事では、基本エキスの作り方・使い方と素材になる植物一覧をまとめています。

主な基本エキスとなる素材(ドクダミ、オオバコ、クマサザ)などについては特に詳しくまとめています。

基本エキスの作り方・使い方

自然農薬を吹きかける

自然農薬による病害虫防除は、基本エキスの定期散布が前提になります。

定期的に使うので、素材の植物は身近にあって大量に手に入り、安全性の高いものを使います。

下記に素材になる主な植物一覧を載せていますので、自分の地域や季節に合わせて選んで使いましょう。

素材となる主な植物に、ドクダミ、オオバコ、クマザサ、ヒノキ、マツ、スギなどがあります。

オオバコは植物活性を高め、ドクダミは匂いが虫除けに、クマザサは作物の新陳代謝を高めます。

ヒノキは抗菌力に優れ、マツ、スギは油分がまくとなって害虫を物理的に窒息させる効果と展着剤効果があります。

これらを混ぜて定期散布することで生育促進と病害虫にかかりにくい作物にすることができます。

散布はそれぞれのエキスを、500倍前後を目安に希釈して混ぜて散布します。

10ℓの希釈液を作る場合は、水10ℓに基本エキスをそれぞれ20ccずつ加えます。

散布は植物が日光を浴びて盛んに活動を始める早朝散布が基本です。

一回の散布量は10㎡あたり3ℓで、安全性の高いものがほとんどなので散布にマスクは必要ありません。

基本エキスは様々なものがあるので、地域や季節に合わせて自分にあったものを見つけていきましょう。

基本エキスの素材になる主な植物

ドクダミ

ドクダミ

嫌われ者の雑草ですが、自然農薬では大活躍です。抽出エキスにも独特な匂いが残り害虫に対する忌避効果があります。

また悪臭の原因であるフラボノイド抗菌効果もあって病気にも予防効果があります。

ドクダミは開花の時期(春〜初夏)に採取して煮出し抽出を行います。乾燥して保存もできますが匂いが弱まります。

ドクダミは細かく刻んでから大体鍋の半分程度まで入れ、水をヒタヒタにして煮出します。

芳香成分が飛ばないように煮込み時間は4〜5分程度です。

できたものをこして他のエキスと同量ずつ混ぜて500倍になるように希釈して散布するのが良いでしょう。

煮出さなくてもそのまま作物に敷き詰めてマルチにするだけでもネキリムシなどの害虫予防になります。

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オオバコ

オオバコ

葉は「車前草(シャゼンソウ)」、種子は「車前子(シャゼンシ)」の名で下痢止め、咳止め、利尿の漢方薬としても使われており、葉面散布で生理活性、生育促進の効果があります。

オオバコは煮出し抽出でエキスを取り出します。茎葉は夏の開花時期に採取して水洗い後、日干しして保存します。

種は秋に採取して日干しし、保存します。細かく刻んで鍋の半分まで入れ、水をヒタヒタにして30〜40分煮出します。

ストッキングに入れて煮出せばこす手間が省けます。

できたエキスを300〜500倍になるように希釈して単体、または他の基本エキスと混用散布します。

クマザサ

クマザサ

生長が早い植物です。豊富な生長ホルモンを持ち合わせています。

この生長ホルモン、フェノール類、アミノ酸の一種アスパラギン酸などによって作物の生育が活性化され病気への抵抗性がつき、また、強い抗菌作用があり病気の予防効果も強力です。

クマザサは煮出し抽出でエキスを抽出します。もしくはアルコール抽出をします。

まだ若いクマザサを使う場合はアルコール抽出が向いているようです。

煮出し抽出はオオバコと同様に、アルコール抽出の場合は、春から初夏に採取した若ザサを焼酎(できれば35℃の焼酎)にヒタヒタに浸けて1ヶ月ほど置けば完成です。使う前にこします。

できたエキスは500倍に希釈して単体、または他の基本エキスと混用散布します。

ヒノキ

ヒノキ

ヒノキやヒバに含まれるヒノキチオールは食品の包装材などにも利用されているように高い抗菌作用を持っています。

また、柑橘系の香りの成分リモネンも含んでいて、これは害虫に対して忌避効果があります。

ヒノキは5〜7月にかけて成分が高まります。その時期に葉を採って煮出し抽出を行います。

煮出し抽出の方法はドクダミと同様で、長時間は煮ません。アルコール抽出も向いています。

成分の高い時期に葉を採っておいて乾燥させて保存することもできます。

煮出してできたエキスはこして500倍〜600倍に希釈して単体、または他の基本エキスと混用散布します。

マツ

マツ

油分が害虫の気門(お腹にある呼吸器官)を覆って窒息死させる働きがあります。

実際に撒布した後は葉がベタベタし、アブラムシがくっついて死んでいたりします。植物エキスの展着剤としての働きもあります。

5月、新芽が伸びてきたら摘み取って集めます。ヤニがつくのでゴム手袋をした方が良いでしょう。

抽出はアルコール抽出で行います。生葉300gを4ℓの焼酎(できれば35度のもの)に浸けて2〜3ヶ月おけば完成です。

ドクダミと同様に煮出し抽出でも構いません。

できたエキスを500倍〜800倍に薄めて単体、または他のエキスと混用散布します。

スギ

スギ

マツと同じようにスギもヤニが多く、エキスを散布すると油分が害虫を覆って窒息死させる働きがあります。

マツと同様に展着剤としての効果もあります。

スギは植林されて全国にあります。成分が高まる春、小さい枝を含む葉を採って煮出し抽出します。ゴム手袋をした方が良いでしょう。

スギの葉を細かく刻んで鍋に半分程度入れ、水をヒタヒタにして煮出します。

成分の高い時期に葉を採っておいて乾燥させて保存することもできます。

できたエキスは500〜600倍に薄めて単体、もしくは他の基本エキスと混用散布します。

基本エキスの素材となる植物一覧

アシタバの収穫

基本エキスの素材となる上記以外の植物を表にまとめましたので参考にしてください。

植物名特徴、別名、成分、採取、抽出方法、使い方
アシタバセリ科の多年草。「明日草」とも呼ばれ、夜摘んでも翌朝には葉が出ている、と言われるほどの生命力。害虫忌避効果、抗菌、植物活性効果がある。主な成分は、フェノール類(ルテオリン)。春から夏にかけて若芽、若葉を摘み取り水洗いしてから細かくちぎる。2〜3日陰干ししてよく乾燥させて保存。煮出し抽出で乾燥させたものは水1ℓに200〜300g入れて煮出す。生葉を同じ要領で煮出しても良い。600倍に薄めて散布。
アマチャヅルウリ科のつる性植物。葉をなめると甘いことから名がついた。展着剤効果、抗菌作用あり。主な成分はテルペン類(サポニン)。生の葉、茎を利用する。煮出し抽出でオオバコと同様。500倍に薄めて散布。
カワラヨモギキク科の多年草。漢方ではインチンコウと呼ばれる。生育促進、カビ類に予防、抑制作用アリ。主な成分はテルペン類(カピリン)。開花時期に採取して乾燥させる。4ℓに100g加えて煮出す。もしくは焼酎(1.8ℓ)に入れて1ヶ月アルコール抽出。煮出したものは500倍、焼酎抽出は800倍にして散布する。
タケイネ科の植物で、抗菌作用アリ。竹水(タケを1.5mで切って採る)は生育促進。タケの葉はクマザサ(上記参照)と同様の効果。タケノコには抗菌作用と、生育促進効果。姫皮には新陳代謝促進効果アリ。主な成分はフェノール類、アスパラギン酸など、植物ホルモンが特に豊富。春〜初夏に採取する。タケノコはアルコール抽出、姫皮や葉は煮出し抽出を行う。方法はオオバコと同様(上記参照)。竹水は300倍に、姫皮や葉は500倍に薄めて散布する。
ナズナアブラナ科の一年草で。春の七草の一つ。生育活性効果。主な成分は、酵素、各種ミネラル類、植物ホルモン各種が豊富。早春〜秋、開花の時期に若葉と根を採取する。古い葉は除いて洗い、乾燥後、細かく切って保存する。生のままでも使える。煮出し抽出でオオバコと同様(上記参照)。300倍に薄めて散布する。
ヨモギキク科の多年草です。豊富な薬理成分を持っていて作物の新陳代謝を高める効果アリ。アレロパシー物質も豊富で病原菌抑制効果もアリ。主な成分はフェノール類、テルペン類、各種ビタミンなどあり。茎、葉などは6〜7月に新芽を採取する。古い葉は使わない。乾燥させて保存できる。アルコール抽出で葉500gを刻んで糖蜜100cc加えた焼酎1.8ℓに半年以上浸けて熟成させる。できたエキスは500倍で散布する。

おわりに

この記事では、基本エキスの作り方・使い方と素材になる植物一覧をまとめました。

もし基本エキス以外に、防除エキスの作り方や使い方、素材となる植物一覧が知りたい方がいたら下記を参考にしてくださいね。