1.アブラムシの被害
体長1〜4ミリの小さな虫が、新しい梢部分や葉の裏など植物のありとあらゆる部位に数十から数百匹の集団をつくって生活しています。
新芽につくと芽が縮んだり葉がまいたりと変形し、生育が妨げられます。
また、葉の表面にコブのような袋状のものが現れ、多いときは一枚の葉に5〜8個の虫コブが現れます。
中を開くと長さ1ミリほどの小さな虫が入っているものもあります。
種類によってそれぞれ体色は異なりますが、全般的に薄緑色や暗褐色のものが多いです。
集団で針状の吸汁口を差して植物の汁液を吸引し、植物を衰弱させます。
どんどん吸汁すると、粘液状の排泄物が葉や枝の上に付着し、一面がピカピカと光ります。
ベタついているので、その上に虫の脱皮殻やホコリがつきやすく汚れが目立ちます。
そこに葉や果実が黒ずむすす病が誘発されます。
アブラムシに代表される吸汁性の害虫は、病気の植物の汁液を吸う際に、病原となるウイルスを体内に取り込み、他の健康な植物に移動し吸汁口を差し込み、モザイク病などのウイルスを伝播するにも注意しましょう。
2.アブラムシが発生しやすい野菜・植物一覧
カエデ類、ウメ、ムクゲ、バラ、キク、チューリップ、ハボタン、柑橘類、イチゴ、キュウリ、カトレア、ヘデラなどほとんど全ての野菜・植物
3.アブラムシの生態
アブラムシの種類は、非常に多く、日本で知られている物だけでも約700種類もいて、生態は種類によって異なり複雑です。
モモアカアブラムシは春〜秋の間、交尾をせず種々の植物上で、メスだけで増え、急速に増加します。
冬の寒さには耐えられないので、秋末になると産卵メスとオスの成虫が現れ、交尾したメスは幼虫ではなく卵をモモの幹表面や芽のすき間に産み、卵で越冬します。
他の植物への移動方法は独特で、通常はねのない繁殖専門の種に、季節や環境の変化によってはねが生えたアブラムシが出現し、新しい寄生先を求めて移動します。
また、ベタベタした蜜のようなアブラムシの排泄物を目的にアリが集まります。
アリはアブラムシを天敵から守ったり、他の植物へ移動させるなど、もちつもたれつの共生関係にあります。
共生関係にあるアリを防除するには海藻の煮汁がオススメ!
アブラムシのほとんどは、モモアカアブラムシやワタアブラムシのように数百種の植物に寄生しますが、サクラコブアブラムシは主にサクラに、クリオオアブラムシはクリ、ナラ 、シイ、カシなどブナ科植物だけに寄生します。
4.アブラムシの予防・防除・対策
アブラムシは繁殖力が強いため、何よりも最初の飛来を防ぎたいです。
銀白色の光を嫌う性質を利用して根元にシルバーマルチなどを敷いておくと効果的です。
もしくは、黄色に誘引される性質があるので、黄色の粘着トラップで成虫を捕まえます。
0.8mm以下の目の細かい寒冷紗、防虫ネットをトンネル状に張るのも有効です。
また、ウイルス病の媒介を予防するなら、寄生される前に別の植物に寄生してもらうのが良いです。
別の植物を吸汁するとウイルスが不活化するため、感染を免れます。
ソルゴーの障壁やムギの間作はオススメです。
アブラムシは窒素肥料を過剰に施すと増えるので、窒素肥料は控えめにしましょう。
また、アブラムシは様々な自然農薬で防除できますので、自然農薬利用もオススメ!
5.アブラムシの駆除法【薬剤・農薬】
発生したら
見つけたらすぐに潰してしまうのが確実な退治法ですが、露地の場合は寄生されると必ずといっていいほど天敵群(テントウムシ、カマキリなど)が現れますので、天敵群に駆除してもらうのも良いですね。
ただし、農薬を使っているような畑は天敵が少ないので、放っておいても減りません。
生物多様性の高い畑をつくりましょう。
アブラムシの天敵であるテントウムシを捕まえて近くに放すという方法もあります。
テントウムシは1匹で30〜40匹のアブラムシを食べます。
効果のある薬剤・農薬
アブラムシはどの野菜にもよくつくので酢溶液や濃い牛乳の散布など、農薬を使わない、いわゆる「民間対処法(自然農薬)」も数多く知られています。
一般に薬剤に弱いため、殺虫剤で駆除することは容易です。
発生初期に、葉裏まで十分にかかるように株全体に散布します。鉢作りや小さな木には株元に散布するタイプも効果的です。
果樹・野菜・ハーブにベニカマイルドスプレーを、
ブロッコリーにはベジカベジフル乳剤、ベニカ水溶剤を、
バラ・草花・観葉植物はベニカXファインスプレーを全体に散布したり、株元にオルトランDN粒剤を散布します。
おわりに
この記事では、アブラムシの被害・生態・防除方法について紹介しました。
下記では、他にも様々な野菜の病気と害虫を一覧にしてまとめていますので、コチラもあわせてご覧ください。