自然農薬

【自然農薬】防除エキスの作り方・素材になる主な植物一覧【害虫忌避】

自然農薬は大まかに効果で基本エキス(生育促進が期待できるもの)防除エキス(病気予防・害虫忌避が期待できるもの)に分けられます。

基本エキスで作物の病気に対しての抵抗力を上げて、もしそれでも病気になってしまったら防除エキスを使う、といったような理解をしておきましょう。

防除エキスも【病気予防】と【害虫忌避】の観点から2つに大別されます。

この記事では、防除エキス【害虫忌避】の作り方・使い方と素材になる植物一覧をまとめています。

主な基本エキスとなる素材(クスノキ、トウガラシ)については特に詳しくまとめています。

1.防除エキスの作り方・使い方

トウガラシの焼酎漬け

害虫の防除エキスは発生の程度に応じてエキスを選びます。

基本エキスのドクダミやマツ、スギも害虫に対して忌避・殺虫効果がありますが、発生が多くなってきたらそこにトウガラシの防除エキスを加えます。

それでも抑えられず、多発してしまったような場合は、アセビ、クスノキ、シキミの防除エキスを使います。

殺虫効果でこれらに勝るものはありません。大概の害虫はこれで抑えることができますが、効果が強いので多用は避けて、収穫三日前は使わないようにするなど注意が必要です。

自然農薬といえば、すなわち安全で人体に無害と思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。

特に害虫に効果のある、アセビシキミの毒成分は人間に対しても有効です。

薄めて散布するとはいえ、防除中はマスクの着用をしましょう。

2.害虫に効く防除エキスの素材になる主な植物

トウガラシ

トウガラシ

辛さの成分カプサイシンサポニン(アルカロイド)殺虫・忌避効果、抗菌効果があります。

害虫に幅広く効果があり、病気にも効果が期待でき、毒性も強くないので気軽に使えます。

トウガラシは赤く熟す直前が一番成分の充実している時です。保存する場合は、その時に収穫して天日乾燥させておきます。

トウガラシ500gを刻んで、種ごと水4ℓに入れて、20分ほど煮て、冷めてから焼酎を少量加えれば完成です。乾燥トウガラシはアルコール抽出です。

できた防除エキスは500〜1000倍に希釈して単体か、基本エキスと混合散布します。

クスノキ

クスノキ

クスノキの葉や樹皮に含まれる成分、ショウノウを結晶化させたものは「樟脳」として昔から衣類の虫除けに使われてきました。

アブラムシダニアオムシヨトウムシネキリムシなどの害虫(全般)に対して殺虫、忌避、発育阻害の効果があります。

クスノキの成分ショウノウは水に溶けにくいので酢で抽出します。

茎葉200gを細かく刻んでストッキングに入れ、4ℓの酢に浸けると、1ヶ月ほどで完成です。

長期保存できるので年中使えます。

使うときは1000倍に薄めて散布しましょう。

3.害虫に効く防除エキスの素材になる植物一覧

アサガオ

害虫に効く防除エキスの素材となる上記以外の植物を表にまとめましたので参考にしてください。

植物名特徴、別名など、成分、採取、抽出方法、使い方
アサガオヒルガオ科。殺虫、忌避効果アリ。主な成分は樹皮配糖体(青酸配糖体)。夏に採れる種子を使う。種子はつぶして2〜3日乾燥させておく。抽出方法は煮出し抽出で行う。できた防除エキスを100倍で薄めて散布する。

オウレン

キンポウゲ科の多年草。漢方では、「黄連」。殺虫、忌避効果アリ。主な成分はアルカロイド(ベルベリンなど)。山地の木陰に自生する。3〜4月に開花した頃、葉やひげ根を採取、洗わないで日干し乾燥する。抽出方法は煮出し抽出。水4ℓにオウレン200gを加えて煮出す。できた防除エキスを500倍に薄めて散布する。
キハダミカン科の落葉高木。漢方では黄柏。抗菌作用、害虫への生育阻害。主な成分はアルカロイド、テルペン類。夏に枝や幹を切って樹皮をはぎ、日干しして乾燥させる。抽出方法はアルコール抽出。焼酎1.8ℓに100gつけて1ヶ月。できた防除エキスを800倍に薄めて散布する。
キョウチクトウキョウチクトウ科の常緑低木。別名牛殺し。強い殺虫。忌避効果アリ。主な成分はアルカロイド類。街路樹、公園などにある。6〜8月に花が咲く。この時に生葉を採取、乾燥させる。抽出方法は煮出し抽出 。葉を細かく刻んで水4ℓに対して100g〜150g入れて煮出す。春先のものは600倍、開花期のものは800倍で散布する。
キランソウシソ科。抗菌作用、害虫防除効果アリ。主な成分はフェノール類、アルカロイド(サポニン、タンニン)。開花期に全草を採取する。抽出方法は酢抽出と煮出しによる抽出がある。できた防除エキスは1000倍に薄めて散布する。
キンレンカノウゼンハレン科の一年草。カメムシ、ダニに対する忌避作用アリ。主な成分はテルペン類、フェノール類、アルコール。ハーブなので苗または種から栽培する。開花期には全草(花ごと)を採る。抽出方法は煮出し抽出。水4ℓに生葉200gを加えて煮出す。できた防除エキスを500倍に薄めて散布する。
クサノオウケシ科の多年草。強い抗菌、殺虫効果アリ。アブラムシ、ダニ、ネキリムシに効果アリ。主な成分はアルカロイド類。5〜7月に黄色の小花を咲かせるころに採取する。古い葉は取るが全草利用する。細かく切って乾燥保存することもできる。煮出し抽出の場合は、生葉を水1ℓに50〜80g。乾燥葉は同100〜130gで煮出す。酢抽出の場合は酢1.8ℓに材料200g。煮出しの場合は500倍、酢抽出の場合は800倍に薄めて散布する。
クララマメ科。噛むとクラクラするほど苦いと名がついた。害虫忌避・抗菌作用アリ。主な成分はアルカロイド(ベルベリン、マトリン)。枝や葉、根まで全草が利用できる。煮出し抽出で、全草を煮出します。1000倍で薄めて散布。
センブリリンドウ科の二年草。漢方では「当薬」。昔からノミ、シラミを殺す殺虫剤として利用。忌避効果が強い。主な成分はスウェルチアマリン、スウェロサイド、ゲンチオピクロサイドなど。雑木林の中に野生する。10〜11月ごろの開花時に根ごと引き抜き土をはらう。水洗いせず、根をそろえて天日で吊し干しにする。煮出し抽出を行う。水4ℓに100g加えて煮出し。800〜1000倍で散布する。多発時は600倍に薄めて散布する。
タイムシソ科の多年草。ハーブの一種。害虫忌避、特にモンシロチョウに高い効果アリ。主な成分はフェノール類、アルコール。タイムの仲間は色々ある。簡単に増えるので育てる。開花時期に集める。細かく刻み、生葉で利用。煮出し抽出を行う。水4ℓに200gを加えて煮出す。500倍に薄めて散布する。
トリカブトキンポウゲ科。猛毒植物として有名で使用はオススメしない。
バイケイソウユリ科の多年草。根は中国でも殺虫剤として利用。主な成分はアルカロイド(ベラトラミン)。全草を採取。根に強い毒性がある。煮出し抽出を行う。1000倍で薄めて散布する。
ハナミョウガショウガ科の山姜。抗菌作用と殺虫効果アリ。主な成分はテルペン類。葉は夏に、根茎は秋に集める。抽出方法はアルコール抽出で。刻んでビールに1週間つけその後焼酎に1ヶ月浸けて完成。1000倍に薄めて散布する。
ムクロジムクロジの落葉高木。実の皮を使う。石鹸に使われた。主な成分はテルペン類。国内では中部以西に植生する。抽出方法は煮出し抽出。1000倍に薄めて散布する。
ユキノシタユキノシタ科。虎耳草。強い殺虫力と抗菌作用。主な成分はルカロイド、フェノール類。陰地に自生する多年草で、5〜6月に全草を採る。抽出方法は煮出し抽出で、全草を軽く塩で揉んで刻む。水4ℓに150gで煮出す。400倍に薄めて散布する。
ローズマリーシソ科のハーブで、抗菌・殺菌作用、害虫(チョウやガ)の忌避作用がある。主な成分はフェノール類。開花時期に集め、細かく刻み生葉で使用する。生葉で煮出し抽出する。水4ℓに200gで煮出す。500倍に薄めて散布する。

おわりに

この記事では、防除エキス【病気予防】の作り方・使い方と素材になる植物一覧をまとめました。

もし防除エキス【病気予防】以外に、基本エキスや防除エキス【害虫忌避】の作り方や使い方、素材となる植物一覧が知りたい方がいたら下記を参考にしてくださいね。

また、この記事内で有効成分の名前(アルカロイド、フェノール類など)がいくつか出てきました。有効成分によって抽出方法が異なり、またそれぞれ作用する効果が異なってきます。

下記に自然農薬で抽出する成分についてまとめた記事がありますので気になる方は参考にしてください。