自然農薬

【自然農薬】防除エキスの作り方・素材になる主な植物一覧【病気予防】

自然農薬は大まかに効果で基本エキス(生育促進が期待できるもの)防除エキス(病気予防・害虫忌避が期待できるもの)に分けられます。

基本エキスで作物の病気に対しての抵抗力を上げて、もしそれでも病気になってしまったら防除エキスを使う、といったような理解をしておきましょう。

防除エキスも【病気予防】と【害虫忌避】の観点から2つに大別されます。

この記事では、防除エキス【病気予防】の作り方・使い方と素材になる植物一覧をまとめています。

主な基本エキスとなる素材(ニンニク、スギナ、ナンテン)などについては特に詳しくまとめています。

1.防除エキスの作り方・使い方

自然農薬を吹きかける

病害虫に効く防除エキスは植物が持っている殺菌、殺虫成分を利用して作ります。

病気に効く防除エキスの素材にはニンニクスギナナンテンなどそれぞれ殺菌、抗菌成分を豊富に含んだ植物を使います。散布は発生を予測して予防的に散布するようにします。

作物の病気は長雨や日照不足、肥料過多の時に発生しやすくなります。

2.病気に効く防除エキスの素材になる主な植物

ニンニク

ニンニクをすりおろす

あの強烈な匂いの成分はアリシン(硫黄化合物)といい、強力な殺菌作用を持っています。

ニンニク体内ではアリインという成分で存在し、細胞が傷つくと酵素の力でアリシンに変化しますので使う前にすり下ろしましょう。

うどんこ病ベト病サビ病モザイク病に効果があり、匂いには害虫忌避作用もあります。

ノビルやネギも同様に使うことができます。

酢を使って抽出を行います。ニンニク200gをすりつぶしてストッキングに入れて、汁も一緒に酢1ℓに浸して3ヶ月おけば完成です。

できたエキスは700倍に薄めて散布しましょう。

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スギナ

スギナを刻む

スギナは体の3〜16%がケイ酸でできています。カルシウム、サポニンも豊富で、うどんこ病灰色カビ病ベト病サビ病糸状菌が原因で起こる病気に対して高い効果があります。

スギナの胞子茎(ツクシ)も同様の効果があります。

若い新芽を摘んで煮出し抽出します。水4ℓにスギナ300〜400gを加えて煮出します。

ツクシの頭は乾燥させて水4ℓに対して100〜150gほど加えて煮出します。乾燥させたスギナも同様に煮出します。

黒糖を混ぜて作る方法もあります。下記に写真付きで詳しく載せていますので気になる方はどうぞ。

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煮出したエキスはそのまま使っても良いですが、酢と石鹸(展着剤の役割)を多少加えて効果を高めるのも良いです。500倍に薄めて散布しましょう。

ナンテン

ナンテン

ナンテンの葉に殺菌作用があることは昔から知られており、赤飯に載せられたり魚料理に添えられたりしました。

実にもアルカロイドを含むので、冬場の防除エキスになります。

葉も実もアミノ酸、ミネラルが豊富で、生育促進の効果も期待できます。

ナンテンの葉は水4ℓに細かく切った葉200gを加えて煮出します。

実は12月頃から熟れ始めるのでそのころに採って天日で乾燥させます。

実は水4ℓに150gを加えて煮出します。

ナンテンのエキスは500〜600倍に薄めて3日おきに2回散布します。

効果が強いので乱用しないようにしています。糖蜜と相性がよく、散布時に600倍にして加えるとさらに効果が高まります。

3.病気に効く防除エキスの素材になる植物一覧

イタドリ

病気に効く防除エキスの素材となる上記以外の植物を表にまとめましたので参考にしてください。

イタドリタデ科。スカンポと呼ぶ地域もある。抗菌作用アリ。主な成分はフェノール類。若葉にはリンゴ酸、クエン酸など。採取は秋、枯れ始める頃に行う。夏の開花期には全草を採って日干し乾燥させる。乾燥したものを細かく切って穀物酢につけて1ヶ月。500倍に薄めたものを散布する。
カキドウシシソ科。漢方では「連銭草」。カビ類に効果アリ。主な成分はフェノール類(タンニン)、テルペン類(リモネン)。野道、土手、道端に多い多年草で、開花期の4〜5月に全草を採る。生葉、花を細かく刻んで水4ℓに対して200gを加えて煮出す。500倍に薄めたものを散布。
カンゾウマメ科。日本では江戸時代に栽培が行われていたが、現在はほぼ輸入品。抗菌作用アリ。主な成分はフェノール類。採取は難しく、乾燥したものを購入する。抽出は煮出し抽出で行う。500倍に薄めたものを散布する。
コルチカムユリ科の多年草。イヌサフラン。抗菌作用、害虫忌避効果アリ。主な成分はアルカロイド(コルヒチン)。6月頃球根を掘って乾燥させる。1.8ℓの酢類に球根一片をつけこむ。1000倍に薄めたものを散布する。
サンショウミカン科の多年性低木、中国で殺虫剤として使用された。強い抗菌作用、殺虫作用アリ。主な成分はフェノール類。山野の日陰、樹林の下などに自生している。5月頃、黄色の小花が咲く頃、枝(皮をむく)、葉を採取。秋は種子と樹皮を採る。抽出は酢かアルコールを使って抽出する。酢は500倍、アルコールは1000倍に薄めて散布する。
ショウガショウガ科。根茎を利用する。抗菌作用アリ。うどんこ病に効果アリ。主な成分はテルペン類(ショウガオール、ジンゲロン)。10月頃、根、茎をよく洗う(生のまま)。しかし4月ころは古い品物を使う。ショウガ1kgをスライスして、ヒタヒタにビールに浸ける。4〜5日後焼酎1.8ℓに素材100gを浸けて1ヶ月。
スイカズラ

スイカズラ科の常緑低木。香水のような芳香がある。広く強力な抗菌作用アリ。主な成分はフェノール類(タンニン)。全国に自生し、開花時に花、茎、葉を摘み取る。生葉のまま用いる。水4ℓに素材200gを入れて煮出す。または、焼酎1.8ℓに素材100gを浸けて1ヶ月で使用可能。煮出しは500倍、アルコール抽出は800倍で散布する。

スイセンヒガンバナ科の多年草。強い抗菌、抗ウイルス作用がある。主な成分はアルカロイド(リコリン)。沼、池の隅、樹木の下に自生。4〜5月に黒い実を採取。6月ごろに根を掘って水洗いする。表面を乾かしておく。刻んでから焼酎に浸けて2〜3ヶ月ほどおく。1000倍に薄めて散布する。
セリセリ科の多年草。春の七草の一つ。強い殺菌力がある。主な成分はテルペン類、フェノール類。早春〜春に根を含んだ全草を摘み取る。抽出はアルコール抽出で、焼酎に1ヶ月浸けておく。500倍〜800倍に薄めたものを散布。
センダンセンダン科。果実は苦棟子、乾皮は苦棟皮。殺菌、抗菌作用がある。病気以外にコオロギ、アオムシへの殺虫効果アリ。主な成分はフェノール類(タンニン)。果実は秋に黄熟したものを採取してすりつぶしてから日干しする。乾皮はナイフで削り取って細かく刻んで日干しする。初夏の開花時に葉と花を採る。抽出方法は煮出し抽出で、水4ℓに素材300gを加えて煮出す。葉と花は水1ℓに100gを加えて煮出す。実、乾皮は600倍、葉と花は800倍で散布する。
ニチニチソウキョウチクトウ科の一年草。抗菌作用アリ。主な成分はアルカロイド類。初夏の開花時期に全草を採集して乾燥させる。抽出は煮出し抽出で。水4ℓに200g加えて煮出す。500倍に薄めたものを散布する。
ノビルユリ科。植物活性作用と抗菌作用アリ。匂いでアブラムシも寄らない。主な成分は硫黄化合物(アリシン)。春から秋にかけて、地下の鱗茎(球根)を掘り、水洗いして細かく刻む。ニンニクと同様に抽出する。500倍〜800倍に薄めて散布する。
ハハコグサキク科の二年草。春の七草でオギョウとも呼ぶ。殺菌効果が大きく。葉を食害する害虫に対する殺虫効果アリ。速効性アリ。主な成分はフェノール類(ルテオリン)春から初夏にかけての開花時期に全草を採取して、日干し乾燥後細かく刻む。抽出方法は煮出しで。水1ℓに対して50gを加えて煮出す。煮出したものは300倍に薄めて散布する。散布時に蜂蜜を800倍で加えると効果アップ。
ヒキオコシシソ科の多年草。延命草。抗菌作用、害虫忌避作用アリ。主な成分はテルペン類、アルカロイド。全草を夏から秋にかけて採取。茎葉を開花期に採取して日干し乾燥させる。抽出方法は煮出し抽出で、材料を細かく切って水1ℓに5g加えて煮出す。700〜800倍に薄めて散布する。
ビワバラ科の常緑高木。民間薬としてビワの葉茶などがある。軟腐病など病気の予防に効果アリ。主な成分はアミグダリン。春先の新葉の時と、冬の開花時期に採取して1週間天日干しして乾燥させ新聞紙で包んで保存。ビワの葉10枚ぐらいを1.8ℓの焼酎に1ヶ月浸ける。煮出し抽出も可能。500倍〜800倍に薄めて散布する。
ミカン(皮)

ミカン科。皮は漢方で「陳皮」抗菌作用、生育活性効果、有機酸類が微生物も増やす。主な成分はフェノール類、テルペン類(リモニン)。ミカンの皮をよく天日干しにする。カビが生えても大丈夫。ミカンの木の樹皮も同じように使える。抽出方法は水抽出。水10ℓに3kgの皮を浸ける。酢による抽出の場合は酢1.8ℓに500gの皮を浸ける。水出しは600〜800倍、酢抽出の場合は500倍で散布する。

おわりに

この記事では、防除エキス【病気予防】の作り方・使い方と素材になる植物一覧をまとめました。

もし防除エキス【病気予防】以外に、基本エキスや防除エキス【害虫忌避】の作り方や使い方、素材となる植物一覧が知りたい場合は下記を参考にしてくださいね。

また、この記事内で有効成分の名前(アルカロイド、フェノール類など)がいくつか出てきたと思います。有効成分によって抽出方法が異なり、またそれぞれ作用する効果が異なってきます。

下記に自然農薬で抽出する成分についてまとめた記事がありますので気になる方は参考にしてください。