自然農薬

植物が作り出す自然農薬の4つの成分について

自然農薬を使って作物を育てることで、化学農薬を減らし無農薬栽培、減農薬栽培に近づけることができます。

しかし、「なんとなく良い」だけで使っているのはもったいないです。

せっかく自然農薬を使っているのですから、自然農薬の「どの成分が」「どのように」効いているのかをしっかり理解しましょう。

成分についてしっかり理解すれば、「アルコール抽出」での抽出方法が良いのか、「煮出し抽出」での抽出方法が良いのか、一つ一つ覚えなくても「分かる」ようになりますよ。

「自然農薬ってそもそも何?」と言う方は下記の記事をまず読んでください。

植物が持っている自然治癒力について

ヨモギ2

植物は人間と違い、動けないので虫から逃げたり、手で払いのけたりすることはできません。

また病気予防に薬を飲むこともできませんが、一体植物はどのように自分の身を守っているのでしょうか。

もともと植物には自然治癒力がああります。

傷ついた樹木がかさぶた(カルス)を作っているのを見たことがありませんか?

各種ビタミンや、アミノ酸、成長ホルモンには植物の体調を整える働きがあります。

ヨモギオオバコなど漢方薬として利用されている植物は、それらの成分が多く含まれているので、特に人間に利用されてきました。

そして実は多くの植物が体内で病害虫に対する様々な成分を作り出して武装しているのです。

虫を寄せつけない匂いの成分や、害虫がかじれば痺れてしまうような毒の成分、病原菌をやっつける抗菌成分などです。

例えばドクダミの匂いは獣や虫を寄せつけないように、ジャガイモの芽が毒を持っているのはかじられないためです。

またカキの葉やササの葉で寿司を包むのは、これらに強い抗菌作用があるためです。

身の回りの植物はその多くが様々な化学兵器を装備して身を守っているのです。

植物の持つ成分の分類と特徴

土の栄養分

植物が作り出す成分(代謝物)についてもう少し詳しく紹介すると、成分には大きく分けて二種類あります。

アミノ酸やタンパク質、ビタミン、ホルモンなど生物に共通して必要で生命維持に欠かせない一次代謝物と、有毒成分や抗菌成分、芳香成分など特定の植物やそのグループにだけ存在する固有の二次代謝物です。

一次代謝物は植物の自然治癒力の源で、動物も植物も持っていますが、二次代謝物は動物にはなく植物のみが作り出す成分です。動けない植物が外敵から身を守るために身につけたと考えられています。

自然農薬は、植物の一次代謝物を作物に活力をつける基本エキスとして、

二次代謝物を殺菌、殺虫する防除エキスとして利用する資材です。

防除エキスの成分を大まかに分類して紹介します。

成分の特徴を知ることは植物エキスとして抽出する際に役立ちます。

成分によっては水に溶けやすい、アルコールに溶けやすいなど特徴があるからです。

①アルカロイド

トウガラシ

有毒植物といわれる植物の毒成分のほとんどがアルカロイドです。

強力な殺虫や殺菌成分が強く、防除エキスの主役となる成分です。

代表的なものには、タバコのニコチン、トリカブトのアコニチン、トウガラシのカプサイシン、ジャガイモの芽に含まれるソラニンなどがあり、コーヒーのカフェインもアルカロイドの一種です。

一方、ケシから抽出されるモルヒネは麻酔薬として、キナという植物の皮から抽出されるキニーネは、マラリアの薬として現在も利用があるなど、薬としての利用が多いのも特徴の一つです。

まさに毒と薬は紙一重です。

アルカロイドは水に溶けにくいものが多く、トウガラシの焼酎漬けトウガラシの酢漬けなどアルコールや酢による抽出が向いています。

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②フェノール類

植物の芽

非常に多くの植物に含まれます。代表的なものにはタンニンフラボノイドなどの、ポリフェノールがあります。

私たちが食べる植物にも多くの種類が含まれ、身体に良いとすすめられている成分です。

フラボノイドの「フラボ」とはラテン語で黄色を意味します。柑橘類など多くの植物が有毒な紫外線から守ために身につけました。

抗菌作用が強く、病原菌を持つ糸状菌、ピシウム菌他様々な菌やウイルスに効果があります。

またピーマンの葉に含まれるポリフェノール配糖体はハモグリバエ類に産卵阻害活性を持っていて被害を抑えています。

フェノール類は水溶性のものが多いので、煮出し方法での抽出が向いています。

③テルペン類

ミント

多くの植物に精油として存在している、揮発性の香りの成分です。

代表的なものにミントに含まれるメントールや柑橘類の香りのもとであるリモネンなどがあります。

テルペン類はフィトンチッドとも呼ばれ、殺菌や鎮静などの作用によって健康にも効果があることから、ヒノキやスギの森では森林浴も盛んに行われています。

どちらかといえば爽やかな香りが特徴です。

殺菌だけでなく害虫忌避効果も高いです。ナフタリンとしてタンスの防虫剤に使われたクスノキのショウノウ(樟脳)もこの仲間です。

テルペン類は油ですので、ヒノキやスギ、マツなど、火をつけるとパチパチよく燃えます。水は溶けにくいので、アルコール抽出が向いています。

④硫黄化合物

ニンニクをすりおろす

ニンニクやタマネギ、ニラやワケギなどには独特の匂いがあります。あの匂いのもとが硫黄化合物です。

また、アブラナ科のダイコンやワサビの独特の辛味を生み出すイソチオシアネートもこの仲間です。

ともに強い抗菌、害虫忌避効果があります。

これらの作物を切ったり傷をつけたりすると、強い匂いを発します。

例えばニンニクに含まれる成分のアリインは植物体内では無臭ですが、傷ついて細胞が壊れるとアリシンという物質に変わってあの独特の匂いを発します。

このような特徴があるので自然農薬として使用する際には、効果を高めるために事前に刻んだり、すりおろしたりしてから使うようにすることがポイントです。

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まとめ

自然農薬の成分についてまとめると、主に自然農薬として使われる素材の成分は大まかに分けて4つあります。

①アルカロイド‥トウガラシのカプサイシンなど。強力な殺虫、殺菌成分が強い。アルコール抽出、酢抽出が向いている。

②フェノール類‥多くの植物に含まれる。強い抗菌作用病原菌を持つ糸状菌、ピシウム菌他様々な菌やウイルスに効果アリ。アルコール抽出が向いている。

③テルペン類‥ミントのメントールなど。殺菌、害虫忌避効果が高い。アルコール抽出が向く。

④硫黄化合物‥ニンニク、ニラ、ワケギなどに含まれる。強い抗菌効果、害虫忌避効果アリ。刻んだりすりおろしてから使う。

成分の特徴を知ることは植物エキスとして抽出する際に役立ちます。抽出方法はアルコール抽出や煮出し抽出などがありますので、抽出する成分によって抽出方法を変えるようにしましょう。

自然農薬の抽出方法について詳しくまとめた記事がありますので気になる方はこちらもどうぞ。

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