土と肥料

【家庭菜園】緑肥作物の種類と特徴【一覧】

緑肥作物は様々なものがあり、またその種類によって様々な効果が期待できます。

「緑肥作物ってどんなものがあるの?」

「それぞれどんな効果が期待できるの?」

など、具体的にどんな植物が緑肥作物に適しているか分からない方は多いと思います。

そこで、この記事では、緑肥作物に適した植物を一覧にし、それぞれの植物毎の効果やすき込む際の注意点などをまとめましたので、是非参考にしてください。

「緑肥作物ってそもそも何?」と言う方はまずはこちらの記事を読んでください。

ソルゴー

ソルゴー

ソルゴー(ソルガム)は緑肥作物の中でも生育が旺盛で、草丈も高く生長します。

そのため、短期間に多くの有機物が作られるため、高い土壌改良効果が期待できます。

 

また、窒素やカリウムの吸収量が多く、前作で残った養分や有機物を換言します。さらに、草丈が高いので障壁効果もあります。

種まきとすき込みのポイント

ソルゴー

1日の平均気温が15℃以上になれば種まきができます。

暖地では5〜8月、寒地では6〜7月が目安です。1㎡あたり4〜6g、条まきかばらまきして1〜2cm程度、覆土します。

すき込む時期は露地の場合、後作の種まき、または苗の植えつけの約1ヶ月前です。

トラクターで立毛のまますき込むと手間がかからないのですが、家庭菜園では、スコップやホーなどを使って、根ごと掘り出して倒伏させて、そのまま土に埋めておくのが最も手間のかからない方法です。

分解を早く進めたいなら、鎌やナタで茎を5cmくらいに裁断してすき込んでも良いでしょう。

ソルゴーは根張りが良いのでなるべく深く均一にすき込むようにします。

畑の障壁作物として使う場合

ソルゴーはイネ科の植物ですから、草丈が80〜100cm、品種によってはそれ以上に育ちます。

花が咲き、穂ができそうになったところで、いったん刈り込んでおくと、再生する過程で、わき芽が伸びてどんどん茂っていくので、畑の障害作物としても最適です。

 

例えば、菜園の周囲にソルゴーを3〜4条植えておきます。こうすると、飛来してくるカメムシコガネムシヨトウムシなどの害虫の障壁となってくれます。

また、バンカープランツとしてナスとの組み合わせが良いのはとても有名ですが、この他にも、キャベツやハクサイ、ホウレンソウ、コマツナなども育てる時にも有効です。

エンバク

エンバク

イネ科のムギの仲間も緑肥として使われていますがエンバクはその代表選手です。

有害センチュウに対する対抗作物として利用されることが多く、品種ごとに、キタネグサレセンチュウやサツマイモネコブセンチュウなど、抑制・撃退できるセンチュウの種類は異なります。

 

また、ダイコンなどアブラナ科の作物を食害するキスジノミハムシの発生を抑制する品種もあります。

ソルゴーよりも茎葉は細いのですが、株は分かれる「分げつ」は多く、初期生育は旺盛です。

短期間で有機物が作られるので、輪作の中に組み込みやすい作物です。

種まきとすき込みのポイント

エンバク

寒地では5〜8月になりますが、暖地で3〜11月の間で種まきできます。

ただし、品種によっては、7〜8月の真夏を避けた方が良いものもあります。

種をまく量は1㎡あたり8〜10gが目安で、条まきかばらまきして、1cmほど覆土します。

この時、しっかりと鎮圧することが大切です。

すき込む時期は、後作の種まき、または苗の植えつけ1ヶ月前です。

エンバクの穂が実ってくる時期(穂バラミ期)以降は、倒伏しやすくなっているので、その前をめどにすき込むようにしましょう。

スコップやホーで根から掘り起こして倒伏させ、土の中に埋めてやります。

カボチャと混植する場合

カボチャ

エンバクはコンパニオンプランツとしても利用できます。

例えば、カボチャとの混植では、カボチャのひげづるがエンバクにまきつき、カボチャを強風から守ることで、カボチャのつるが土壌表面で安定し、樹勢が強くなります。

また、エンバクがマルチの代わりを果たしてくれるので、カボチャの生育を促進してくれます。

 

家庭菜園では、畝幅150cm、畝間180cm、株間90cmの畝を準備しておきます。

ここにエンバクの種をばらまきし、その約1週間後にカボチャの苗を植えつけます。

カボチャを収穫したら、エンバクは土の中にすき込んでおきましょう。

マリーゴールド

マリーゴールド

ネコブセンチュウやネグサレセンチュウの対抗作物として、昔から知られているのがマリーゴールドです。

生育期間中に根から分泌される物質で、有害センチュウの繁殖を抑制します。

 

緑肥用の品種としては「アフリカントール」が有名で、大輪種のアフリカンタイプに属します。

小輪種フレンチタイプよりも草丈が高く、60〜70cm以上になるため、有機物の補給も期待できます。

また、黄色や橙色の美しい花をつけるので、景観性にも優れています。

種まきとすき込みのポイント

暖地では4〜7月、寒地では4〜6月上旬がまき時期で、どちらも8月に開花します。

ただし、寒地では初期生育が遅くなるい場合があるので、直まきよりも、育苗して苗を植えつけると安心です。

幅60〜70cmの畝に、10cmの間隔で5〜6粒程度、点まきにします。

スコップやほーで根っこから掘り返して倒伏させ、土の中に埋めます。

小型耕運機があれば、立毛のまますき込むこともできます。

ダイコンと混植する場合

大根

マリーゴールドとダイコンを混植すると、ダイコンに発生しやすいネコブセンチュウの活動を抑制してくれるほか、ダイコンなどアブラナ科を好む、コナガモンシロチョウハムシなどの害虫を退けてくれます。

大根の栽培は一年中可能ですが、最も病害虫が発生しやすい夏に、この方法で栽培してみると良いでしょう。

連作にも強くなるため、そのまま秋まきダイコンの畑としても利用できます。

クローバー(シロツメグサ)

シロツメグサ

別名、シロツメグサとも呼ばれます。

マメ科の植物で、根にすむ根粒菌が待機中の窒素を固定し、それを体内に取り込むことができます。

炭素比率が低いので、土の中の分解が早くなります。

 

主根は深くのび、支根は地表近くに広がります。

冷涼で湿潤な気候に適しますが、夏の高温にも耐えることができ、土壌条件に対する適応性もあります。

 

地表を覆う「ほふく茎」を出して繁茂するため、雑草をよく抑制します。

また、地表に咲き乱れる白色の花は、景観性にも優れます。

種まきとすき込みのポイント

暖地では、9月中旬〜11月にまいて越冬させ、6月に開花を迎える作型と、3〜6月に上旬にまいて7月に開花を迎える作型、寒地では、4〜8月にまいて7月以降に開花を迎える作型が標準です。

1㎡あたり2〜3gばらまきし、その後、種が隠れる程度に覆土して鎮圧します。

スコップやホー、クワなどで、立毛のまますき込み、土と均一に混ざるように耕しましょう。

夏キャベツを混植する場合

キャベツ

マメ科のクローバーとアブラナ科のキャベツは、根圏に生息する微生物の種類が重ならないため、混植すると多様な微生物が育まれ、生物性の改善に繋がります。

また、クローバーにはキャベツの害虫であるアブラムシヨトウムシが寄生しますが、それをエサとする天敵もやってくるので、バンカープランツとしての効果も期待できます。

クリムゾンクローバー

クリムゾンクローバー

クローバーの仲間の一年草で、深紅のストロベリー状の美しい花をつけます。

ダイズシストセンチュウの対抗作物として使われることが多いのですが、景観性にも優れ、緑肥以外にも切り花や鉢植えとしても利用できます。

種まきの目安は、暖地では9月下旬〜11月中旬(開花5月)と3〜4月中旬(開花6月)、寒地では4月中旬〜6月(開花7月)です。種をまく量やすき込み方はクローバーに準じます。

混植の例としては、タマネギとの組み合わせが考えられます。

大気中の窒素を固定して玉ねぎの生育を促進してくれるほか、花にはタマネギの害虫であるスリップスアブラムシが増殖するので、それをエサにする天敵を呼び寄せてくれます。

ヒマワリ

ヒマワリ

初期生育が旺盛で、すぐ土壌表面を覆ってしまうので、雑草をよく抑えます。

種まき時期は5〜8月と幅が広く、茎葉も大きく生長し有機物の生産量も多いので、緑肥作物として優れています。

また、美しい大輪の花をつけるので景観用としても最適です。

開花期の草丈が2m以上になる品種もあるので、家庭菜園では畑全体で育てるよりも、ソルゴーのように障壁作物として利用すると良いでしょう。

菜園を囲うようにびっしりと植えると、風害はもちろん、花がスリップスコガネムシなどの害虫を誘引して、中に植えている作物を害虫から守ってくれます。

1㎡あたり2gを目安に条まきかばらまきし、軽く覆土して鎮圧します。

すき込む際は、スコップやホーで根ごと掘り上げて倒伏させ、そのまま土の中に埋めてやります。

または、茎葉を事前にカマなどで5cm程度にして、土と均一になるようにすき込むと良いでしょう。

シロカラシ

シロカラシ

初期生育が早く、短期間で高収量が得られ、有害センチュウの対抗作物として知られています。花は黄色で、開花期の草丈は1m以上になります。

暖地では、秋まきだと9〜10月(開花3〜4月)、春まきだと3〜4月(開花6月)が種まきの時期で、春に黄色の花が咲いて景観用にも最適です。

1㎡あたり2〜3gの種を条まきかばらまきし、軽く覆土して鎮圧します。

すき込むときは、根ごと掘り上げて倒伏させて土の中に埋めてやります。

コスモス

コスモス

緑肥用のコスモスは、開花期の草丈が1〜1.5mほどになり、他のコスモスに比べて有機物の生産量が多いという特徴があります。

また、秋には赤や白、桃色の花が咲き乱れ、水田の転作用や景観用として使われます。

種まきは暖地では4〜6月下旬(開花7月)、寒地では5月中〜下旬(開花8月)で、1㎡あたり1g程度ばらまきし、種が隠れる程度に覆土して軽く鎮圧します。

茎葉は柔らかいので、スコップやホー、クワなどで、立毛のままで、できるだけ均一にすき込んでやりましょう。

おわりに

今回は、緑肥作物のそれぞれの植物の効果とすき込み方を紹介しました。

土壌改善効果があったり、景観用にも優れたりと、緑肥作物を効果的に畑に取り入れることで様々なメリットがありますね。

下記では、緑肥作物の効果について詳しくまとめていますのでもっと知りたいよ、と言う方は下記を参考にしてくださいね。

また、緑肥のすき込み方や注意点も下記にまとめています。