「育てた作物をそのまま地面にまいてすき込むことは良いの?」
「緑肥作物って聞いたことあるけど何かはわからない。」
緑肥や緑肥作物って聞いたことはあっても、どういうものかは知らない方は多いと思います。
結論からいうと緑肥作物を活用することで良い土を作る一助になるし、緑肥作物は景観にもとても良いです。
そこでこの記事では、緑肥、緑肥作物について詳しく解説したいと思いますので、参考にしてみてください。
緑肥とは?近年注目の土づくりの方法
堆肥は土に施す有機物の代表的な資材なのですが、堆肥だけが有機物ではありません。
例えば、油かすや鶏ふん、米ぬかなどの有機質肥料や、それらを発酵させたボカシ肥もあります。
ただし、これらの有機質資材は、養分を多く含むため、土づくり資材としてだけでなく、肥料として使われるケースが多いです。
緑肥とは、栽培している植物を収穫せずに、そのまま土の中にすき込んでしまう方法であり、すき込むために栽培する植物を緑肥作物といいます。
エンバクなどのムギの仲間、トウモロコシ、ソルゴーなどのイネ科の植物、あるいはクローバーやレンゲなどのマメ科の植物、他にマリーゴールド、ヒマワリなど、様々な種類があります。
農家の間では古くから使われてきた栽培方法であり、近年では、有機農業だけでなく、慣行農業でも重要な位置を占めるようになりました。
緑肥と堆肥の違い
緑肥の最大のメリットは、植物を生きたまま畑の中にすき込み、直接土の中で堆肥化(分解)させるため、完熟堆肥のように別の場所で堆肥化させる手間がかからないことです。
まさに、緑肥は未熟堆肥の原点ともいえる存在です。
そのため、緑肥を使うときには、未熟堆肥と同じように取り扱う必要があります。
完熟堆肥では、投入後程なく種まきや苗の植えつけができます。
しかし、緑肥ではすき込んだら半月から1ヶ月、秋冬など低音の季節に置いては、2ヶ月ほど待つようにします。
緑肥を施した土に種まきや植えつけができるまで、ある程度の時間を要するのですが、緑肥には完熟堆肥にはないメリットがあります。
まずは、炭素分を多く含むことです。
つまり、微生物のエサが多いわけです。
それだけ微生物が増殖し、土の団粒化も促進してくれるので、土づくり効果が抜群なのです。
しかも、イネ科植物に代表されるように緑肥作物の中には根を地中深く伸ばす種類のものがあり、根の生長による土の団粒化や地中からの養分の吸い上げ効果も期待できます。
さらに、完熟堆肥とも未熟堆肥とも異なる決定的な点は、緑肥は畑の外から養分を持ち込まないということです。
堆肥では生ゴミや家畜ふんなど材料の多くが畑以外から持ち込まれます。
しかし、緑肥ではその場所の土の中から養分を取り込み生長するため、それをすき込めば養分を循環させることができます。
土の中に窒素分を固定するマメ科植物を除いては、いくら緑肥をすき込んでも、その土が現状より養分過多になることはありません。
緑肥は収穫せずすき込んで利用する
緑肥は、家庭園芸の世界に広まりつつあります。
理由の一つが、堆肥とは違って、別の場所で発酵させるという手間を必要としないことです。
有機物を完熟堆肥にするのは、それなりの技術や時間がかかります。
しかし、緑肥は、栽培している植物を、そのまま土の中にすき込んでまえば良いです。
つまり、有機物を別の場所で堆肥化させるのではなく、土の中で微生物の力を借りて堆肥化させる。ということです。
また、基本的には畑や花壇での林作の一環として、あるいは土の養分バランスを整えたり、土壌微生物を活発にさせたりする目的で、緑肥作物を栽培することが多いのですが、収穫したい作物と一緒に育てると、互いに良い影響を与え合っていたり(コンパニオンプランツ効果)、病害虫の天敵となる虫を呼び寄せたり(バンカープランツ効果)してくれます。
しかも、花を咲かせる緑肥作物を植えると、土づくりという本来の目的に加えて、綺麗な花が心を癒してくれます。
緑肥は家庭菜園の空きスペースにオススメ
家庭菜園では、限られたスペースを有効に利用しつつ、同じ科の植物を育てることによる連作障害を防ぐために、どのスペースにどんな野菜を育てようかと、年間のスケジュールを立てることが多いと思います。
しかし、どんなに工夫しても作付け計画を立てても、空きスペースは生まれるものです。
そして、そのスペースをただ放置していたのでは、雑草が生い茂り荒れてしまいます。
そんな時、花のきれいな緑肥を植えておくと、景観美化にもつながりますし、その後の土づくりも併せて行うことができて一石二鳥です。
無論、空きスペースの有無に関わらず、他の作物と混植したり、輪作体系の中に緑肥作物を組み込んだりしておくと、連作障害に対する備えになるので、家庭菜園に取り入れることをオススメします。
おわりに
この記事では、緑肥と堆肥の違いについてまとめました。
ちなみに、下記では堆肥の4つの効果について詳しくまとめていますので、こちらもあわせてご覧ください。