土と肥料

緑肥作物の4つの効果とは?【決定版】

「緑肥って聞いたことあるけど効果って何があるの?」

「緑肥を使うと結局どうなるの?」

こういった疑問はよくあると思います。正直、緑肥作物を育てることにはたくさんメリットがあります。ここでは緑肥作物の4つの大きな効果について解説します。

そもそも「緑肥って何ぞや?」と言う方はまずは下記の記事をみてね。

緑肥の効果①土の養分バランスを整える

土壌の過剰な養分を吸収する

ソルゴー

作物を連作したことにより土壌生物相の偏りを直したり、土壌中に過剰に蓄積した養分を吸収して、養分バランスを整えてくれたりする緑肥作物のことを「クリーニングクロップ」といいます。

  

土の性質にもよりますが、長年、堆肥や肥料を施して大切に管理してきた畑や花壇、キュウリやナスなどの果菜類、ホウレンソウやキャベツなどの葉菜類を作り続けた畑、トンネルやハウス栽培を行っていた場所では、養分過多になっていることがあります。

こうした畑や花壇では、求肥力の強いトウモロコシやソルゴーなどを植えて、過剰な養分を吸い上げてもらうと良いでしょう。

 

例えば、1作目にトウモロコシを育てて実を収穫し、茎葉を緑肥としてすき込みます。

2作目に空芯菜の種をまき、枝先を順次摘み取り、茎葉がかたくなったら同じく緑肥としてすき込みます。

そして、3作目にブロッコリーやカリフラワーなどを育て、収穫します。

どれも求肥力のある作物なので、この過程で、過剰な養分を取り除いてくれます。

自然に近い有機物の循環

緑肥について

クリーニングクロップとして栽培した作物には過剰な養分が蓄えられているので、プロの農家なら刈り取って別の場所に緑肥や堆肥としてすき込むことが多いです。

家庭菜園では、刈り取るために労力がかかり、また、もし刈り取ったとしても、それを置いておくスペースにも限りがあります。

 

そのため、その畑や菜園に緑肥としてすき込んでしまい、その後は肥料を施すのを控えて、野菜や花を栽培するようにします。

いずれにしても、養分過多の土に有機物を施す手段としては、緑肥が最も効果的です。

 

繰り返しますが、堆肥や有機質肥料では、どうしても外から養分を持ち込んでしまいますが、緑肥はその土で育てた作物なので、これ以上養分過多になることはありません。

緑肥で土づくりをして、目的の野菜や花を収穫していけば、徐々に養分過多は解消されていきます。

 

植物は水と二酸化炭素を原料に、太陽エネルギーを介して炭水化物(有機物)と酸素を作り出します。

その土地で育てられた作物を緑肥として土にかえして、その有機物によって土づくりを行います。

 

そして、野菜や花を育てていくという仕組みは、まさに、有機の地産地消です。

緑肥の効果②コンパニオンプランツ効果

コンパニオンプランツとは

コンパニオンプランツ

種類の異なる植物を一緒に植えると、お互いの性質が影響しあって、病害虫の発生を抑えるなど、単独で育てるよりも元気に育つことがあります。

このような相性の良い植物をコンパニオンプランツといいます。コンパニオンプランツには以下の効果があります。

○害虫の発生を防ぐ。

○病気を防ぐ。

○お互いの生育を助け合う。

○草丈の差で日照を調節する・

○肥料を分け合う。

○益虫を集める。

○土壌微生物の種類を多くする。

作物の生育を助ける万能なコンパニオンプランツは色々あります。例えば、野菜同士でいうと葉ネギとホウレンソウは抜群の相性です。

しかし、エダマメやインゲンなどのマメ類と葉ネギの相性はよくありません。

この他、ニラは、大抵の作物との相性がよく、アブラムシの発生を防ぎながら、お互いの生育を促進させてくれます。

 

緑肥作物の中の代表的なコンパニオンプランツとしてマリーゴールドがあります。

マリーゴールドはセンチュウの活動を抑制する成分を分泌します。

また、ハーブ類もコンパニオンプランツとして有名で、例えばコリアンダーはアブラムシやコナガコナジラミといった害虫を防ぎます。

コンパニオンプランツについては下記にて詳しく解説してますので気になる方はどうぞ。

また、具体的に相性の良い作物たちを知りたい方は僕のサイト内で多数紹介していますので、「コンパニオンプランツ」メニューからどうぞ。

植物のアレロパシー効果

アレロパシー

植物は自身を優先種とするため、他の植物を排除する能力があります。

これをアレロパシー(他感作用)といいます。

には植物が他の植物を抑える働きだけだなく、病原菌を抑える働きや昆虫を忌避する働きもあります。

 

しかし、病害虫は防げても養分や日照の取り合いなどの問題から一緒に植えない方が良いものもあるので、組み合わせを上手に選んで利用しましょう。

例えば、トマトとバジルはアレロパシー効果によって相性の良い野菜です。

緑肥の効果③バンカープランツ効果

ソルゴー

バンカープランツとは、農作物に害を及ぼす病害虫の天敵となるような昆虫などが集まりやすい植物をいいます。

コンパニオンプランツの一種であり、病害虫の天敵を育てる植物を育てるという意味合いで、バンカープランツ、あるいはおとり植物とも言われています。

バンカープランツには主に以下の働きがあります。

天敵温存で害虫防除

農薬を使わずに害虫防除ができることで、近年野菜農家での導入が増えています。

例えば、ナスの害虫として「ミナミキイロアザミウマ」が知られていますが、これを食べる代表的な天敵が「ヒメハナカメムシ」です。

この虫を呼び寄せるのがイネ科のソルゴーです。

生態系を豊かにする

限られた畑で続けて作物を栽培していると、土の中の生物相が貧しくなり、病害虫の大量発生を招くことにもなります。

バンカープランツを植えると、土の中の生物相を豊かにして、土壌病害を防いでくれるのはもちろん、様々な虫たちを呼び込んで、地表の生態系も豊かになり、害虫が増えるのを抑えてくれます。

畑を守る生け垣

バンカープランツの中で、例えば、畑の周囲にソルゴーやヒマワリなど背の高い植物を植えると(障壁作物)で、周囲の他の畑から飛来する病害虫の侵入を防ぐ役目があります。

障壁作物はこれ以外に作物を風害から守ったり、農薬の飛散を防いだりもします。

緑肥の効果④有害センチュウの増殖を抑える

緑肥の効果として、作物に被害を与える有害なセンチュウの増殖を抑える働きが知られています。

緑肥による主な有害センチュウに対する抑制メカニズムとして、次の3つが知られています。

①マリーゴールドやシロカラシなど、体内で殺センチュウ物質を作り出し退治する。

②エンバクなど、センチュウを根に侵入させるものの、根の中で成長を止めたり、増殖を抑えたりする。

③アカクローバーやクロタラリアなど、シストセンチュウを孵化させるものの、その栄養源とはならないため、シストセンチュウを餓死させる。

おわりに

緑肥作物の効果をまとめると、

①土の養分バランスを整える

②コンパニオンプランツの効果がある

③バンカープランツの効果がある

④有害センチュウの増殖を抑える

となります。緑肥作物を効果的に取り入れて、土壌中のバランスが保たれた生物相豊かな畑を目指しましょう。

そういった努力が自然栽培、減農薬栽培に近く一歩となりますよ。

緑肥の効果がわかったら実際に、緑肥を準備していきましょう。

下記に緑肥の種まきやすき込み方についてまとめています。