1.サツマイモのよくある生育不良
苗の活着がよくない
サツマイモは、種イモから伸びた30cmほどの苗(挿し穂)を植えつけます。
葉のつけ根の節から根が出て、そこにイモができるので、挿し穂の長さの4分の3くらいは土に埋めるようにしないと、イモができません。
植えつけ直後、ぐったりしおれて土が乾いているようなら、2〜3日水やりを続けてください。
1週間くらいすれば発根してきます。
収穫したイモが小さい
前述と同じく、窒素過多が原因で、他のいくつかの野菜と同じように窒素肥料を入れると、地上部のつるが伸びが著しく、葉が大きくなります。
これが「つるぼけ」で、イモが肥大が悪くなることが知られています。
対策として、元肥の散布量に注意しましょう。
反対に、カリ分が多いと収量が増えます。
サツマイモの専用肥料(N-P-K=3-7-10)は、窒素分が少なくカリが多く配合されてあります。
つるばかりが伸びる(つるぼけ)
サツマイモは、吸肥力の旺盛な作物で、かなりのやせ畑でもよく育ち、昔から救荒作物とされているのはそのためです。
特にチッ素肥料には敏感で、チッ素をやりすぎると、つるが盛んに伸び出し、隣の畝と交差して、盛り上がるほどになってしまいます。
このようにつるぼけになると、肝心な地下への養分の転流、蓄積がうまく行われず、そのため、太りの悪い、水っぽく味の悪いイモになってしまいます。
前作にたくさん肥料をやり、その残効があるような畑では、無肥料で出発し、途中あまりにも葉色が悪いようなら、少量の追肥をする程度で良いでしょう。
特に肥沃で低温の場合には、無肥料で植えるのが無難です。
普通の肥沃度の畑なら、いくら吸肥力の強いサツマイモでも少しは肥料を与え、特に初期の生育を促す必要があります。
畝立てをする前に、畝全面に肥料をばらまいておき混ぜながら畝を立てるようにします。
肥料は化成肥料を1㎡あたり50g程度と米ぬかを一握りくらいにします。
堆肥は特に入れる必要はなく、元肥にこれだけ与えていれば、追肥はあまりしなくてもよく育つでしょう。
イモに穴があく
イモを掘り上げてみると、表面に小さな穴が開けられ、内部にまで深く貫通している被害がよく見られます。
これはハリガネムシと呼ばれるコメツキムシ(ひっくり返すとはねて起き上がる甲虫)の幼虫が入った傷口です。
サツマイモの他に、じゃがいも、大豆、イネなどの根も食害する害虫で、未熟な有機質を与えたときや乾燥しやすい畑での発生が多いです。
例年被害に悩まされている畑では、事前に殺線虫用の土壌消毒剤を施して防除しておく必要があります。
イモの肌が荒れて、色も悪い
イモの肌がざらついたり、すじ状に荒れたり、紅色であるべき品種が全体に色が淡かったりするのは、株全体がウイルスに感染しているのが主な原因です。
苗を植えるとき、すでにその苗が病原ウイルスに感染している場合が多いようです。
このウイルスは、新生したばかりの茎頂部には感染していないので、この部分を0.3mm以下のごく小さな切片にして培養することにより無病化できることがわかってきました。
近年、このようなバイオテクノロジーによって育成された苗を原苗とし、それから増殖した苗を栽培に用いることにより、肌色の良い健全なイモが生産されるようになってきました。
ただし、市販されいるイモ苗は、まだすべて無病苗にはなっていませんので、苗の販売店に確かめて、優良苗を入手するように心がけましょう。
花が咲かない
よく聞かれることですが、花が咲かなくても生育には影響ありません。
サツマイモは中央アメリカが原産の熱帯性の野菜で、高温短日条件下でないと開花に至りません。
日本の夏は高温長日なので、本州では花を見ることは珍しく、沖縄や鹿児島などの亜熱帯気候では咲くことが知られています。
同じヒルガオ科のアサガオやクウシンサイに似た、ラッパ型のかわいい花です。
2.サツマイモのおもな病害虫
モザイク病
葉がまばら模様になり、生長が悪くなりますので、媒介するアブラムシを予防、駆除し、発症した株はすぐに処分します。
エビガラスズメ
全体が茶色で赤色の斑点のある大型害虫が葉を食害するので、見つけ次第、捕らえて処分します。
ナガジロシタバ
黄色と青色の模様が入った大型害虫が、葉を食害するのが、見つけ次第、捕らえて処分しましょう。
コガネムシ
全体が白く、頭部が黄〜黒褐色の幼虫が、地中に潜んで根を食害します。
土が湿っているのに、株がしおれて元気がなくなってきたら株元を掘って確認し、害虫がいたら処分します。
ハリガネムシ
地中にいてイモの表面を食害します。害虫を見つけたら処分しましょう。
詳しくは、上述の「よくある生育不良|イモに穴があく」を参考にしてください。
3.おわりに
この記事では、サツマイモのよくある生育不良と病害虫について紹介しました。
下記では、サツマイモ栽培について上手な植え方や仕立て方をまとめています。
下記では、100種類以上の野菜の育て方・栽培方法についてまとめています。