1.サツマイモ栽培について
サツマイモの皮の色は紫紅、白、黄褐色など、葉色は紫、白、黄色、橙などがあります。
花は淡紅色でアサガオに似ていますが、暖地以外は、開花に必要な短日条件が揃う前に気温が低下するためほとんど見られません。
また、若い葉と茎を食用にする品種の苗も市販されています。
あまり土質を選ばず栽培することができますが、通気性と水はけの良い砂質土が最も適します。
サツマイモは苗を植えて栽培することがほとんどで、苗の各葉柄の基部から出た不定根の一部が肥大してイモになります。
また、苗は茎と葉だけで根はなく、苗を選ぶときは、無病のもので、ややかためで節間が適度につまったものが良いです。
2.サツマイモの品種
食味に個性があるので、利用の仕方に合わせて品種を選ぶとよいでしょう。
・鳴門金時(高品質の優良品種。焼きイモに使われる。)
・パープルスイートロード(紫イモで味もよい。蒸しイモ、スイート用)
・すいおう(根および若い葉と茎を食べる。葉と茎はおひたしや炒め物に使う)
・クイックスイート(電子レンジで調理しても甘くてホクホクする)
・ムラサキマサリ(アントシアニン含有量が多い。スイーツ向き)
・ベニアズマ(食味、甘味がよく、つるボケしにくく作りやすい)
3.サツマイモの育て方
土づくり
日当たり、水はけのよいところが適しており、土壌への適応性は優れていて、肥沃でなくても育ちます。
60cm幅の畝の中央に、堆肥とサツマイモ専用肥料を施し、畝の高さを25cm程度にします。
サツマイモは窒素の吸収力が強いので、元肥は控えめに入れますが、肥料分が残っている畑は不要です。
土壌の適正酸度は5.5〜6.2です。
サツマイモは肥料分が多いとつるぼけして、イモがよく育たないので注意です。
植えつけ
中間地の場合は5月中旬〜6月中旬で、寒冷地は6月前半が適期です。
暖地では3月下旬からと4月下旬からの二度の適期があります。
苗は市販のものを購入し、しおれているものは吸水させてから植えつけます。
そのまま植えつけられる挿し穂は、「切り花」状態で販売されています。
長い間水に浸されているので、場合によっては、節から根が出ている場合もあります。
そのような根は「吸水根」にしかならず、肥大しません。(植えつけ後に節から出た根が肥大)
根が出た部分は植えつけに利用しないようにしましょう。
苗の植えつけは、「舟底挿し」という浅めに茎の部分を埋めて、葉は地上に出しておく方法です。
株間を30cmとって、深さ10cmの穴を掘り、苗が舟形になるように茎の部分を寝かせて置き、葉の数節が埋まるように、土を寄せます。
葉と苗の先端部分が土に埋もれないようにし、手で軽く寄せた土を押さえて苗と密着させます。
束ねてある苗を購入したら、むれてしまわないように、日陰に広げておきます。
乾燥には比較的強いので、水に挿しておかなくても2〜3日は大丈夫です。
植えつけが終わったら水やりをします。
マルチをした畝では、植えつける部分にナイフで切れ込みを入れて、苗の3〜4節が土の中に入るように斜めに植えつけ(斜め植え)、手で押さえて土を密着させます。
水やりをして、マルチの切り口に土をかぶせておきましょう。
サツマイモの発根温度は30℃前後なので、黒マルチにすれば地温をあげて発根を促すことができます。
マルチ栽培により、植えつけが1週間ほど早められるとともに、雑草を防除することができます。
植え方には様々なものがあり、工夫すれば、収穫量を増やすことができたり病害虫を忌避することができます。
管理
中耕・土寄せ
マルチをしていない畑では、つるが長く伸びる前に除草を行い、畝間を中耕して、畝に土を寄せます。
イモに光が当たると生育が悪くなるので、崩れやすい畝では、土寄せは大切な作業です。
除草
植えつけて間もない時期は、土の表面が見えて、雑草が生えやすくなっており、草が生えてきたら、大きくならないうちに除草します。
次第につるが伸びて、畑の表面を覆うようになれば、除草の必要はほとんどなくなります。
追肥
7〜8月に葉が黄化するときは、化成肥料(8-8-8)を10gずつ株間に施します。
つる返し
つるが伸びて土につくと、その葉のつけ根部分から根を出します。
イモは根に養分が蓄積したものです。養分の分散を防ぎ、植えた苗のところだけに集中して肥大させるように、つるを持ち上げて根を切る(つる返し)作業を一作に2〜3回おこないます。
つるが旺盛に伸びて、となりの区画や作物に及そうなときもおこないます。
収穫
サツマイモは霜に弱いので、収穫は霜が降りる前に終わらせておくのが良いでしょう。
9月下旬〜霜が降りる前までの、天気の良い日(2〜3日晴天が続いたら)に収穫しましょう。
葉のついたつるを株元で切り、マルチを外してから、イモを傷つけないように注意しながらスコップなどで掘り上げます。
なお、収穫したサツマイモを貯蔵するときは、10〜15℃の温度が必要です。
収穫したサツマイモはよく乾かして、低温にあたらない場所で保存しましょう。
サツマイモは畑に埋めて貯蔵することができます。
霜が降りない場所を選んで深めに穴を掘り、空気が通るようにワラなどで通気口をつくり、つるつきのイモを穴にいれ、ワラやもみがらで覆って土で埋めておきます。
4.サツマイモのよくある生育不良|おもな病害虫
6つのよくある生育不良と5つの病害虫についてまとめました。
また、生育不良ではないですが、「花が咲かない」についてもまとめています。
5.まとめ
①前作が多肥の畑は肥料を減らし、つるぼけを防ぐ。
②未熟堆肥を避ける。(コガネムシの幼虫が繁殖。)
③石灰は使用しない。
④畝は高め(25cm程度)に立てる。
⑤苗は3〜4節を土に埋め、葉を外に出して植える。
この記事では、サツマイモの基本的な育て方について紹介しました。
下記では、サツマイモ栽培のよくある質問についてまとめました。