木酢エキスは、木酢液を使って様々な植物の有効成分やかき殻などのカルシウムなどを抽出したものです。木酢エキスはその浸け込む植物によって様々な効果をもたらします。
この記事では、「害虫忌避」に絞ってそれぞれの木酢液の効果や作り方、使い方を細かく解説したいと思います。
「木酢エキスってなんぞや?」という方は下記の記事をまず見てくださいね。また、木酢エキスの素材一覧も表にしてまとめているのでそちらも参考にしてください。
トウガラシ木酢エキス
トウガラシの辛い成分のカプサイシンは、忌避効果と殺虫効果があります。アブラムシやハダニなど害虫全般に効果がありますが、完全な殺虫効果はなく、忌避効果は高いです。素材が手に入りやすいので、害虫の予防薬として常備したい木酢エキスです。
木酢液2ℓに、トウガラシ200gを用意します。トウガラシは辛い方が効きますので鷹の爪がオススメです。
辛味成分のカプサイシンは、実が多くなるにつれて増大して成熟するにしたがって減少していきます。
そこで大きくなったトウガラシを浸け込むことがポイントになります。
また、ニンニクと一緒に浸け込む場合は、これにニンニク200gを用意します。
トウガラシは切って(ニンニクの皮をむき細かく切る)、広口ビンにそのまま浸け込みます。ストッキングに入れて浸ければあとでこす手間がはぶけます。
生トウガラシは1ヶ月、乾燥トウガラシは約3ヶ月浸け込みます。
いずれも300〜500倍に希釈して散布します。殺虫効果もありますが、基本は忌避効果なので、害虫が発生しやすい時期は、定期散布の木酢液代わりに10日おきに散布します。
下記に、トウガラシの酢漬け、ニンニクの酢漬けに関して詳しくまとめていますので、コチラもあわせてご覧ください。
ドクダミ木酢エキス
ドクダミは強烈な匂いで邪魔者扱いされる雑草ですが、この匂いの成分はフラボノイドで害虫全般に忌避効果があり、抗菌効果があります。
ドクダミはどこでも生えているので材料集めには困りません。5月頃、花が咲いている時期のドクダミを花ごと採ってきます。
ドクダミの生葉を3cm幅に刻んだら広口の保存ビンいっぱいに詰め、木酢液をいっぱいに注ぎ2ヶ月以上おきます。量はそれぞれ適量で構いません。
できたエキスは300倍に希釈して散布します。大量に用意できるので500倍以上に薄めれば病害虫予防として定期散布しても構いません。
ハッカ木酢エキス
アブラムシ他、害虫全般に忌避効果があります。カメムシやウンカなど田んぼの害虫にも効果があります。
木酢液2ℓに対してハッカ油1ccを混ぜれば完成です。ハッカ油は、薬局などで、20ccが1000円ほどで売っています。
ハッカには和種と洋種(ミント)がありますが、どちらでも良いです。
混ぜ物のないものを選ぶようにしましょう。
300倍で希釈して散布します。即効性があるので害虫が出てからの散布でもある程度の効果は期待できますが、殺虫効果ではないので予防散布の方が良いでしょう。
アセビ木酢エキス
庭木によくあるアセビは「馬酔木」と書き、昔はダニ駆除薬として使われました。アセビに含まれるアセボトキシンは強力な殺虫成分なので、木酢液に浸ければほとんどの害虫に効果のある強力な防除木酢エキスができます。
木酢液1ℓにアセビの生葉25gを用意します。春に花の咲いた頃のものが最も成分が強いので、春に作りましょう。
3cm幅に刻んで、2ヶ月浸け込めば完成です。取り扱う時は手袋をしましょう。
できたエキスは300〜500倍に薄めて散布します。アブラムシやダニ、若齢のヨトウムシなど、初発時なら1発で抑えられます。
ただし効果が高いため、使用は収穫3日前までとして収穫中は控えましょう。散布時はマスクをします。
下記では、他にもアセビに関する自然農薬をまとめていますので、コチラもあわせてご覧ください。
クスノキ木酢エキス
タンスに入れておく殺虫剤の樟脳を作るクスノキには、強力な殺虫効果のあるショウノウが含まれています。葉を木酢液に浸ければ、アセビ木酢液と並んで害虫が発生したときに使う強力な防除木酢エキスができます。
クスノキの茎葉を3cm幅に刻みます。1ℓの木酢液に刻んだ茎葉を一握り分入れて、1ヶ月浸け込みます。
できたエキスは300〜500倍に薄めて散布します。
アセビと同様、害虫全般に殺虫・忌避効果があり初発時なら1発で抑えられます。
ただしクスノキ木酢液も使用は収穫3日前までとして、収穫中の使用は禁物です。
また、散布時はマスクの着用をオススメします。
ニーム木酢エキス
ニームはインドセンダンというアジア、アフリカに自生している植物です。脱皮阻害の働きがあるアザディラクチンを含み害虫全般に高い殺虫効果があります。
市販のニームオイルを購入して使います。同じセンダン科でも日本のセンダンは使えません。
木酢液1ℓにニームオイル200ccを混ぜて1ヶ月おきます。400〜500倍に希釈して散布します。多発時は6日に一度のペースで使用します。収穫中の散布はしません。
ニームオイルは15℃で固まってしまうので混ぜる前に50℃くらいに温めた湯で湯煎して溶かします。
おわりに
どの素材も害虫忌避に効果が高いものが多いです。しかし化学農薬とは違い、確実に防除できるとは限りません。
大切なのは病気や害虫を寄せつけない強い作物を作ることだということをしっかり理解しておきましょう。
害虫忌避に使える素材は様々なものがありますので手に入りやすい、使いやすいものを自分で見つけて使っていきましょう。
今回は【害虫忌避】に絞った木酢エキスの作り方・使い方を紹介しましたが、【生育促進】や【病気予防】に特化した木酢エキスもあります。
下記にてまとめてありますので、気になる方は参考にしてください。