自然農薬

【生育促進】主な木酢エキスの効果と作り方・使い方

木酢エキスは、木酢液を使って様々な植物の有効成分やかき殻などのカルシウムなどを抽出したものです。

その浸け込む植物によって様々な効果をもたらします。

この記事では、「生育促進」に絞ってそれぞれの木酢エキスの効果や作り方、使い方を細かく解説します。

「木酢エキスってなんぞや?」という方は下記の記事をまず見てくださいね。

また、木酢エキスの素材一覧も表にしてまとめているのでそちらも参考にしてください。

カルシウム木酢エキス

卵の殻

効果

木酢液にカキ殻や卵の殻などカルシウムの多い素材を浸け込むと酸で溶けカルシウムエキスができます。

市販の葉面散布よりもずっと安く、簡単にできるのでオススメです。

カルシウムは作物の細胞を強固にするので病害虫の抵抗力が向上します。

また、細胞分裂を支えて根の伸びを助ける働きもあります。

逆にカルシウムが欠乏すると芯腐れや、トマトの尻ぐされなどの生理障害も発生します。

果菜類の収穫前に散布すると、果実の着色効果や糖度向上に効果があります。

カキ殻も卵の殻もキチン質が含まれており、キトサン効果も期待できます。

材料と作り方

カキ殻も卵の殻もよく砕いて、カキ殻は木酢液1ℓに100g、卵の殻は10個くらいが目安です。

卵は白いものでないとうまく溶けないので注意です。

カキ殻も卵の殻もよく砕いて入れます。数分経つとブクブクと泡が立って素材が溶けてきます。

全部溶けてなくても使えますが、木酢液を足せばよく溶けます。1ヶ月もおけば完成します。

使い方

400〜500倍で散布します。即効性があり、その日のうちに葉が立ってきます。果実の収穫前1〜2日前に散布すると果実の着色が促進し、糖度も上がります。

pHがアルカリ性に傾いているので、他の木酢エキスとは混ぜて散布しません。

アミノ木酢エキス(魚腸木酢)

魚のアラ

効果

魚のアラを木酢液に浸ければ、肉や骨からアミノ酸とリン酸が溶け出して有機葉面散布液肥ができます。アミノ酸が多いので、アミノ木酢とも呼びます。

葉からアミノ酸やリン酸がよく補給されるので、樹勢の弱ったときの樹勢回復や、果菜類では生殖生長促進、果実の肥大・着色促進、糖度アップに大きな効果があります。

材料と作り方

重量比で木酢液と魚のアラを3対1の割合で用意します。(木酢液2ℓに魚のアラ660g)

特に青魚のアラはアミノ酸が多いので、イワシやサバ、サンマなどがオススメです。入手が難しい場合は、肥料の魚カスを代用しましょう。

のアラが空気に触れると腐敗臭がしてきますので、ストッキングなどの網袋に詰め、中に石などの重りを入れてから木酢液を浸けます。

15日ほど浸け込めばもう散布できますが、3ヶ月おけば骨まで溶けます。

早く溶かしたい場合は途中で木酢液を足しましょう。

使い方

400〜500倍に希釈して、栄養不足で弱ったとき、果実が着果したとき、なり疲れをしたとき、収穫前に葉面散布します。

木酢液は植物体内の未消化窒素を消化してアミノ酸合成を助ける働きがありますが、この木酢エキスはアミノ酸とリン酸が含まれているので、窒素不足の時は体内の窒素不足を補い、正常な生育の場合も窒素過剰にしないで樹勢を高めることができます。

海藻木酢エキス

海藻

効果

木酢エキスの素材として海藻も注目です。海藻はカルシウム、カリウム、マグネシウムをはじめ非常に多様なミネラルを含んでいます。

また、細胞分裂を促すサイトカイニンをはじめ植物ホルモンも含み、これらの働きによって作物の生育促進効果が期待できます。

また、消毒液のヨードキンキでおなじみのヨード(ヨウ素)も海藻から発見された成分です。この成分による病害防除も期待できます。

材料・作り方・使い方

海藻を刻んでから(ミキサー等でも良い)広口の保存ビンいっぱいに詰めます。木酢液を注ぎ2ヶ月ほどおけば完成です。

できたものは500〜1000倍に希釈して散布します。

下記に詳しくまとめていますので、コチラもあわせてご覧ください。

ブドウ糖木酢エキス

ブドウ糖

効果

天候不良やなり疲れの際に生育促進の効果があります。

植物は水と二酸化炭素でブドウ糖を作っていますが、ブドウ糖木酢で直接ブドウ糖を補給することができるからです。

材料・作り方・使い方

木酢液に対してブドウ糖(グルコース)が5対4になるように用意します。

ブドウ糖は薬局などでも購入できます。上白糖では分子が大きく葉から吸収されません。

10ℓ(100㎡)用意する場合は10ℓの水に20ccの木酢液と25ccのブドウ糖を加えればできあがりで、すぐに使うことができます。

定期散布時、もしくは収穫直前に500〜1000倍で散布します。

おわりに

一口に【生育促進】と言っても素材ごとに効果は違います。簡単にまとめると

○カルシウム木酢エキス‥‥カルシウムによって細胞が強固。トマトの尻腐れなどにも効果アリ。果実の着色効果。糖度向上

○アミノ酸木酢エキス‥‥樹勢の弱ったときの樹勢回復や、果菜類では生殖生長促進、果実の肥大・着色促進、糖度アップ

○海藻木酢エキス‥‥ミネラルが豊富。生育促進効果

○ブドウ糖木酢エキス‥‥天候不良やなり疲れの際に生育促進効果

となります。作物の特性や状態に応じて使い分けると良いでしょう。

今回は【生育促進】に絞った木酢エキスの作り方・使い方を紹介しましたが、【害虫忌避】や【病気予防】に特化した木酢エキスもあります。

下記にてまとめてありますので、気になる方は参考にしてください。