自然農薬

【自然農薬】木酢エキスとは?作り方と使い方

「木酢エキスってよく聞くけど一体どんな効果があるんだろう」

「木酢液と木酢エキスは違いがあるのかな」

など木酢エキスについて知らない方は多いのではないでしょうか?

いろんな植物を酢につけたら植物のエキスを抽出できる、といったことを知っている方もいるかもしれません。

結論からいうと、

木酢エキスは、木酢液を使って様々な植物の有効成分やかき殻などのカルシウムなどを抽出したもの

です。抽出する成分は植物によって様々なのでできた「木酢エキス」も植物によって様々な効果を発揮します。

この記事では、「木酢エキス」についてその効果や作り方、あと植物ごとの木酢エキス一覧も載せてあるのでぜひ参考にしてくださいね。

その前に「木酢液ってなんぞや?」という方はまずは下記の記事を読んでください。

木酢エキスとは?

木酢液のいろ

木酢液は浸透力が強いので、植物を木酢液に浸けることで、煮出し抽出やアルコール抽出と同様に、植物の細胞内成分を引き出して成分を抽出することができます。

煮出し抽出やアルコール抽出について分からない方は下記の記事を参考にしてください。

この木酢液の抽出力と弱酸性であることを活かして、殺虫・殺菌成分や生理活性を高める成分を持つ植物、あるいはカルシウムなどのミネラルを木酢液に浸け込んで、その成分を抽出したものが「木酢エキス」です。

殺虫・殺菌成分を抽出した木酢エキスは、木酢液の成分の効果とともに、直接病原菌や害虫を殺傷する効果を持つ防除エキスとなります。

例えば、アセビを浸ければ、殺虫成分を含んだアセビ木酢、ニンニクを浸ければうどんこ病ベト病に効果があるニンニク木酢、といったように簡単に防除効果のある木酢エキスを作ることができます。

また、木酢液は強酸性で様々な有機酸を含んでいるので、カキ殻や卵の殻、魚のアラなどを浸けると、これらが分解、合成され、作物に吸収しやすいカルシウム葉面散布剤、アミノ酸液肥などができます。

うどんこ病やベト病などの病気にはニンニクやヨモギ、ハーブ、ビワなどがオススメです。

害虫の忌避、予防には、トウガラシやドクダミ害虫の殺虫にはアセビ、クスノキ、ニームなどがよく効きます。

活力をアップする有機栄養エキスとしては、カキ殻、白い卵の殻を漬け込んだカルシウム木酢エキス、魚腸などを漬け込んだアミノ酸エキス、海藻を浸け込んだ海藻木酢エキスなどがオススメです。

これらの木酢エキスは300〜500倍とやや濃くして散布します。

身近になるもので、色々な木酢エキスを考案するのも楽しみの一つです。

木酢エキスの作り方

刻んだノビルに酢を加える

素材によって違いますが、浸け込んで抽出するものは約1ヶ月で完成します。

浸け込む際の容器は鉄製の一斗缶などは鉄分が溶け出すので注意です。

ガラスやプラスチック製のものを用意しましょう。

木酢エキスは、木酢液のように定期散布ではなく、病害虫に効くものはその病害虫が発生しやすい時期や発生初期に、活力剤は効果を発揮したい生育時期に散布します。

完成したらサラシなどでこして、基本的に300〜500倍とやや濃いめに希釈して、夕方か早朝に散布します。

また、クスノキやアセビなど殺虫成分の高いものの散布は、念のため収穫3日前までとします。

散布後3日目には殺虫成分が分解してしまいます。

木酢エキスは木酢液の効果もあるので、木酢液の定期散布と重なった場合は、木酢液を散布する必要はありません。

また、木酢液は、直射日光の当たらないところに保存していおけば長期間使用できます。

薄めた液は保存中に成分が変化してしまうので使い切るようにしましょう。

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木酢エキス素材一覧

ノビルの酢漬け材料

以下に木酢エキスの素材となるものとその効果、作り方・使い方をまとめました。参考にしてください。

混合素材効果作り方・使い方
ニンニクうどんこ病、ベト病、害虫忌避広口のビンに刻んだニンニク100gを入れ、木酢液1ℓを注ぎ2ヶ月おく。300〜500倍で散布する。トウガラシ100gを加えると効果アップ
ビワの葉病気全般

広口のビンにビワの葉(4枚以上)を刻んで入れ、木酢液を1ℓ注いで1ヶ月おく。300倍で散布

ヨモギ・ハーブうどんこ病、ベト病、害虫忌避広口のビンいっぱいにミント・レモンバーム・ヨモギなどハーブ類の生葉を500gずつ入れて木酢液2ℓを注いで2ヶ月おく。300倍で散布
キトサン土壌病害木酢系1ℓに市販のキトサン資材(粉末)6gを入れて混ぜて溶かす。300倍で散布
トウガラシ害虫忌避広口のビンにトウガラシ100gを入れ、木酢液1ℓを注いで1ヶ月おく。300倍で散布。苗の時にも予防として500倍を1、2回散布。ニンニクを刻んで100g加えると効果アップ。
ドクダミ害虫忌避

広口のビンいっぱいにドクダミの葉を入れ、木酢液をヒタヒタに注いで2ヶ月おく。300倍で散布

アセビ害虫を殺虫・忌避木酢液1ℓに開花期のアセビの葉25gを浸けて2ヶ月おく。300〜500倍で散布。多発時は6日に一度。収穫中の利用は避ける。
クスノキ害虫を殺虫・忌避木酢液1ℓにニームオイル200gを混ぜて1ヶ月おく。300〜500倍に薄めて散布。多発時は6日に一度。オイルは50℃くらいに湯煎してから混ぜる
卵の殻カルシウム効果で着色促進、糖度向上木酢液1ℓに卵の殻10個分を15日浸け込む。収穫直前に400〜500倍に薄めて散布
カキ殻病気予防、生育促進木酢液1ℓにカキ殻100gほど浸けて1ヶ月おく。収穫直前に400〜500倍で散布
魚腸アミノ酸効果で樹勢回復、果実肥大木酢液に対して1/3の魚のアラを15日浸け込む。樹勢が弱まったら400倍で散布
海藻生理活性、着色促進、糖度向上広口のビンいっぱいに海藻を刻んで入れ、木酢液をヒタヒタに注いで2ヶ月おく。500〜1000倍で散布
ブドウ糖生育促進、なり疲れ予防木酢液とブドウ糖を5:4で混ぜる。500〜1000倍で散布

おわりに

木酢液は単体で定期的に散布することで、有用微生物のエサとなり、有用生物が増殖し、病原菌を抑えることができますが、そこに様々な素材をプラスすることでその素材の有効成分の効果も得る、というのが「木酢エキス」なのです。

上記で木酢エキスの素材を一覧に表にしましたが、下記に生育促進・病気予防・害虫予防の3つの観点に分けた素材別の木酢エキスの効果や作り方を詳しくまとめてありますので、さらに詳しく知りたい方は下記を参考にしてください。

木酢エキスを上手に使って理想の無農薬、減農薬栽培を目指していきましょう。