1.メロンの栽培について
現在、温室メロンとして市場を独占しているアールスメロンは、1925年にイギリスから導入されました。
マクワウリやシロウリは弥生時代から渡来しており、各地の遺跡から色々な種子が出土しています。
高温(25℃〜30℃)を好み、根が浅根性で酸素が多く必要です。
つる割れ病に弱いので、連作は禁物で、苗はやや高価ですが、育苗より市販の接木苗の方が無難です。
分類は果菜ですが、「果物」の方が良い表現かもしれません。
2.メロンの品種
大きく分けると、一般に育てやすいものと、栽培が難しいネットメロンに分かれます。
最初はプリンスなどから始めて、技術的にも自信がついたらアンデスメロンなどのネットメロンにも挑戦しましょう。
①プリンス(マクワウリと露地メロンの交配で誕生。栽培容易で全国的に有名。)
②ホワイトローザ(ジューシーで甘く、病気にも強い。)
③アリス(果肉は美しい緑色。香りがよく、食味良好。)
④金銘(マクワウリ、早生で栽培しやすく、収穫量も多い。)
3.メロンの育て方
土づくり
根の張りが弱いメロンは、過湿の害を受けやすい傾向にあります。
堆肥などの有機物を多めに施して、通気性や排水性を改善し、根の発達を促しましょう。
まず、植えつけの2週間前に苦土石灰を畑全面に散布し、よく耕します。
次に、堆肥、油カス、化成肥料、ヨウリンを散布し、土に馴染ませます。
そのあと、畝幅60cm、高さ15〜20cmの高畝をつくり、マルチをかけ地温を上げておくと植えつけ後の活着がよくなります。
土壌の適正酸度はpH6.0〜6.8です。
種植え・植えつけ
4月下旬からの植えつけも可能ですが、遅霜の影響を避ける意味で、5月上旬に植えつけると安全です。
株間75〜90cmで植え穴を掘り、そこへたっぷりと水を注ぎます。
水が引いたら根鉢を入れ込み、株元を押さえて整えます。
苗は種苗店などで購入することをオススメしますが、自分でつくってみたい品種の苗が売られていなければ、ポットなどに種をまいて育苗しましょう。
管理
整枝・敷きワラ
3本仕立てとし、本葉が5枚になったら摘心し、子づるを3〜4本伸ばします。
葉が15枚〜20枚ついたら同じく摘心し、5〜12枚から出る孫づるに人工受粉して着果させ、着果したら2枚残して摘心します。
雑草の防除と果実の保護のため、通路全面にワラを敷きます。
人工受粉
雌花が咲き始めたら、朝の9〜10時ごろまでに人工受粉を行い、着果を促します。
メロンは雌雄異花といって雄花と雌花が別々につく植物で、自然のままにしておくとしっかり受粉できない可能性があります。
なので、意図的に受粉してやる必要があるのです。
追肥・摘果
着果期か果実肥大期に、生育の様子をみて化成肥料(8-8-8)30g/㎡を追肥します。
開花7〜10日で、果実がピンポン玉大の時に不良果を摘果し、最終的に1本の子づるに2〜3果(1株に6〜9果)をつけます。
収穫
収穫が近づいたら、水やりを控えて糖度を上げます。
開花後40日〜50日(マクワウリでは35日〜40日)で収穫です。
プリンスは成熟すると果実表面の緑色が灰白色に変化し、果梗(果実のつく茎)の毛がなくなり、離層(すじ)が見え始めた頃が適期です。
人工受粉した日を書いた札をつるしておくのもよい方法です。
4.メロンのよくある生育不良|おもな病害虫
おもな病害虫としてベト病、すす病などが発生します。また、害虫はアブラムシが発生することがあります。
5.まとめ
①高温性の植物なので低温の環境は避ける。
②有機物を多く入れて土壌改良を行う。
③接木苗を使ってつる割れ病を予防する。
④着果を促すため、人工受粉をおこなう。
⑤摘果した未熟果も食用に利用できる。
この記事では、メロンの基本的な育て方について紹介しました。
下記では、他にも栽培のコツや仕立て方などをまとめています。
下記では、他にも100種類以上の野菜の育て方・栽培方法についてまとめています。
接木苗:「接木」とは、2種類の植物を接ぎ合わせ、両方の長所を兼ね揃えた植物を作ること。 例えば、おいしいトマトがたくさんできる品種(穂木)に病気に強い品種(台木)を接ぎあわせることによって、病気への抵抗性を付与することができる。