1.ピーマンのよくある生育不良
実が小ぶりのまま大きくならない
様々な要因が考えられますが、まずは、日照不足、低温や高温などの温度条件の悪化による場合です。
あとは、水分不足や実のつきすぎ、リン酸分の欠乏によっても起こります。
対策として、葉や枝をすいて日当たりを確保することと追肥が大切です。
実が赤くなる
普段の緑色のピーマンは未熟果を若どりしたもので、赤いピーマンは収穫遅れによって完熟してしまったものです。
普通の緑色のピーマンは開花後15〜20日後が収穫適期です。
果実に穴があき、中に虫がいる
タバコバの幼虫で、夏から秋からにかけて発生し、実の内部に入り込んで種を食い荒らします。
へた近くに小さな穴があいていたら、中に幼虫がいるとみて良いでしょう。
被害にあった実はすぐに切り取りましょう。
実が辛くなる
トウガラシの仲間に含まれる辛み成分はカプサイシンが主体です。
カプサイシンは、シシトウやトウガラシなどの小果種ほど、また熟すほどに集積する傾向があります。
栄養不足、乾燥など、生育環境が適切でないときも同様で、よく日のあたる場所で栽培し、乾燥に要注意です。
収穫が始まったら2週間ごとに追肥をするのが良いです。
また、若どりを心がけて、込み合った部分は枝や葉をすいて風通しをよくしましょう。
実が左右非対称で、一部へこんでいる
極端な暑さや寒さによって、受粉が不完全で、肥大が均等に進まないことが要因で、実を輪切りにすると、種の分布が偏り、へこんだ部分には種がほとんどありません。
ピーマン類は果菜類のなかでは最も高温を好み、25℃〜30℃が生育適温です。
35℃以上、15℃以下では実のつきが悪くなり、気温が栽培適温に戻れば症状は治ります。
奇形果であっても、食べる分には問題ないです。
花が落ちる
ピーマンはナスやトマト同様に雌雄同花で、その意味では無駄花はありませんが、全部実どまりし、果実として収穫できるのかというとそうではないです。
一生を通じて、百以上の花をつけますが、一人前の果実になるのはせいぜい50%〜60%くらいです。
つくり方が悪いと、花数も少ないうえに、着果率も低くなるので、あまり収穫できないことになります。
かなり落ちても、着果が多ければ差し支えありませんが、一時的にほとんど落ちてしまうような場合は問題です。
その場合は、早めに株のまわりに化成肥料で追肥しましょう。
そして、根が切れないように軽くクワを入れて、土をやわらげて根に空気を送るようにしましょう。
また、ピーマンは湿度に敏感なので、乾燥すると落下しやすいです。
早天続きの時は、水やりや敷きワラをすることも大切です。
一般に実のなり疲れの場合が多いので、肥料をやったり、水やりをするとともに、思い切って果実を若どりし、株の負担を軽くしてあげることが大切です。
畑に植えてから育たない・実がならない
ピーマンは、果菜類のうちでは最も高温性で、順調に育つためには17℃〜18℃以上の気温が必要です。
したがって、一般に苗が店頭に並びはじめる時期には、まだ露池に植えつけるには早すぎる場合が多いです。
トマトやキュウリが育つ温度でも、ピーマンにとってはまだ低く、植えつけても順調に育たないのはこのためです。
そんな時は、株のまわりの土をやわらげ、土中に空気を入れてやります。
そして、ポリマルチをして日中の地温を高め、根の活動を促すと、育ちがよくなります。
もし、気温が高いのにも関わらず実が落ちてしまう場合は、肥料不足、水のやりすぎが原因だと考えられます。
果実につやと張りが足りない
水不足が原因で、水が不足しているところに強い日光が当たることで、日焼けして実の一部が傷むことがあります。
ピーマンのお尻が傷む
土が乾燥していたり、土の中の肥料分が多いことが原因で、カルシウムの吸収が阻害されて起こります。
乾燥と肥料の施しすぎに注意しましょう。
2.ピーマンのおもな病害虫
モザイク病
葉がモザイク模様になったり、株全体が萎縮したりします。
ウイルスを媒介するアブラムシなどを防除し、発症した株は引き抜き処分しましょう。
青枯病
ある程度の大きさまで育った時に葉や茎がしおれて枯れます。
土の中の病原菌が原因で、発症したらすぐに抜き取り処分し、周囲の土も殺菌しましょう。
斑点細菌病
葉や茎に暗褐色または灰白色の斑点ができ、発病した葉はやがて枯れます。
葉や茎が茂りすぎないように整枝をして予防し、発症した葉は引き抜いて焼却処分します。
チャノホコリダニ
新芽や葉に発生し、植物の汁を吸い、弱らせます。
ときどき、葉の裏側まで洗うようにして予防しましょう。
タバコガ
幼虫がつぼみや花のほか、果実の内部に入り込んで種子を食害します。
果実の内部に入り込むので薬剤は効きませんので、防虫網で予防しましょう。
アザミウマ
葉や果実を食害しますので、被害を受けると新芽が萎縮したり、果実が褐色に変色し、サメ皮状になります。
見つけ次第捕殺し、株のまわりを除草したり、銀白色のマルチで予防しましょう。
アブラムシ
新芽や葉の裏に群生して、植物の汁を吸いますので、筆などで払い落としましょう。
また、苗を購入するときにも確認しましょう。
3.ピーマン栽培のよくある質問
パプリカとピーマンの違い
パプリカははじめハンガリーから輸入された赤色、平形のピーマンにつけられていた名でした。
しかし、オランダからの輸入が増えるにつれて、それらの大型完熟ピーマンにこの「パプリカ」の名前が盛んに使われるようになってきました。
赤、黄、オレンジ、紫、白、黒、茶など七色あり、いずれも完熟です。
なので、ピーマン独特の強い臭みが少なく、甘味があるので、彩りとともに食べやすいです。
ピーマンをハサミで収穫するのはなぜか
ピーマンはナスやトマトと同様に高温を好む作物で、高温要求性はナスやトマトよりも高いです。
しかし、根は細く、葉や茎の強靭性や耐暑性は劣り、栽培する上では繊細な野菜です。
本葉が11〜12枚になったころに、新葉を作り出していた生長点が花芽になります。
花がつくとその着果部で2本に枝分かれし、各々の枝の一節目に花が咲き、その部分からまた2本に枝分かれし、また一節目に花が先枝分かれすることを繰り返します。
二股の分かれ目に実がなるので、収穫の際に手でちぎったり、揺さぶるなどの力をかけると、枝が折れたり二股の分岐点で裂けたりしてしまいます。
そのため、収穫は必ずハサミでおこないます。
4.おわりに
この記事では、ピーマンの生育不良や病害虫について紹介しました。
下記では、ピーマン栽培についてまとめています。