土と肥料

【必読】良い土とは?5つの条件と土づくりの方法

野菜は土の中に根を伸ばして、倒れないように株を支えています。

根は、吸収した水分や栄養分を茎や葉、花や果実に送り込んでいます。

その根が吸収する水分や栄養分は土の状態によって左右されてしまいます。

土づくりは野菜づくりの基本中の基本で、良い土が美味しい野菜を作りますよ。

この記事では、「良い土とは?」というとても基本的な、そして大切なことをまとめました。

前半は土について、後半は土を改良するには具体的にどうすれば良いか、まとめていますのでぜひ参考にしてください。

良い土とは?

痩せた土

結論から先に言ってしまうと、良い土とは、「団粒構造の土」です。

それでは、詳しく解説していきます。

野菜が大きく育つには、根がしっかりと伸びて土の中の栄養分や水分を十分に吸い上げることが必要です。

そのためには5つの良い土の条件が大切になってきます。

①水はけと通気性が良いこと

②水もちが良いこと(保水力がある)

③土の酸度が適正であること

④肥料分が豊富なこと

⑤病原菌や害虫が少ないこと

なかでも大切なのは、

①水はけと通気性が良いこと

②水もちが良いこと(保水力がある)です。

排水と通気、保水性が豊富な団粒構造の土が理想というわけです。

 

土には大小の粒子があり、細かい粒の粘土と粗い粒の砂の割合が土によって異なります。

有機物(肥料など)を土に与えると、集合した土壌の粒子が腐植物によってのり付けされます。

すると、野菜づくりには最も適した団粒構造の土になります。

 

反対に、土壌の粒子が集合せず、単一粒子だけで構成されているのが単粒構造の粒子です。

単粒構造の土は、空気や水が入りにくく、根の生育によくありません。

上に述べたような、良い土の条件(③土の酸度が適正であること、④肥料分が豊富なこと、⑤病原菌や害虫が少ないこと)に合った土にするには、適切な肥料や資材、薬剤などを投入します。

団粒構造を保つには?

牛ふん

野菜の生育に最適な団粒構造の土は、数年野菜を作り続けるとやせて単粒構造に変化していきます。

団粒構造を維持するには、堆肥または稲わら、牛ふん腐葉土などの有機質肥料を与え続けることが大切になってきます。

また、冬の間によく耕して、寒い風にさらして風化させる寒起こしも排水、酸素の補給、病害虫対策に有効な方法です。

 

畑の土は、作業の際に踏み固められたり、雨によって土が叩かれたりすると、粒子のスキマがなくなって、地表面からの空気が土に入りにくくなってしまいます。

その対策としては、除草を兼ねて地表面をクワなどで軽く耕し、通気をよくすることも大切です。(中耕や土寄せなどはこの意図もありおこなわれます。)

 

さらに排水不良も土の中の酸素濃度を下げる要因の一つになります。

酸素濃度が下がると、根腐れを起こしたり、根の先端が枯れて病原菌の侵入などの原因になったりしてしまいます。

 

雨の後の畑を観察して、水たまりができていたら要注意です。

水はけの悪い畑

畑全体の高低を考えて周囲に排水溝を設けて水はけをよくしましょう。

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土に堆肥や腐葉土などの有機物を入れてよく耕して、土の団粒を作ります。この時に、畑の表面は平にせずに小山の状態にしておいて土を風化させていくのがポイント!

土を調べる!調べ方

土を調べる

野菜が喜ぶ土とはどんなものでしょう?

土の硬さ、土質、酸度、栄養バランスなどから、畑の土を調べることができますよ。

まずは、土の硬さから調べていきましょう。

土の硬さを調べる

土の硬さ

土の性質で硬さや水はけなどの物理性はすぐに分かります。

土には、地面に棒をさして軽く棒が入る作土層(さくどそう)と、力いっぱいにさして到達する有効土層(ゆうこうどそう)があります。

植物は作土層までは楽々と根を張ることができますが、有効土層は根を張る限界の場所ということになります。

棒が入らないほどに硬い土には、根を張ることができません。

一般的に作土層が20cm以上、有効土層が60cm以上あれば、作物がよく育つ土と言えます。

それだけの深さがない場合は、スコップやクワで丁寧に深く耕しておきましょう。

バーク堆肥などの投入も効果的です。

さらに有効土層の状態を確認するために、根がどこまで伸びているか調べましょう。深さ60cmぐらいまで掘り進めて土をとります。

もしその土に、前に作った野菜の根っこや、根が腐った後の小さな穴が観察できれば有効土層がそこまで広がっている証拠です。

土の質を調べる

砂質土

土は主に粘土からなり、土の質は両者のバランスで決まります。そのバランスのことを土質(土性)と言います。

砂は粒子が大きいため通気性や水はけがよくて、粒子が小さい粘土は保水性や肥料を保つ力(保肥力)を高めるのに役立ちます。

 

野菜づくりに最適なのは、両者が適度にミックスされた火山灰土に代表されるような土です。

通気性、排水性、保水性、保肥力の全てのバランスがよく、耕しやすい土です。

 

砂と粘土の割合を調べるのには、土をとって水を含ませて、指で棒状にこねることで分かります。

まとまらずにぼろぼろと崩れるのは砂質で、粘りが強くて長細くまとまるのは粘土質の土です。(上の写真は砂質の畑)

その中間くらいの鉛筆くらいの太さにまとまる土が理想的な土です。

 

砂質の土は保水力が弱いため、乾燥しやすく、肥料のもちが悪いのが欠点です。土を改良するには、通常よりも多くの堆肥や腐葉土を与えましょう。

ゼオライトやバーミキュライトを混ぜるのも効果的です。

水はけが悪い粘土質の土は、砂質の土と同じように堆肥や腐葉土を与えることが基本ですが、バーク堆肥やパーライトなどを混ぜるのも効果があります。

粘土質の畑
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土の物理性に関しては、下記にもまとめいるので、詳しく知りたい方は下記も参考にしてくださいね。

酸度を調べる

pH試験紙
pH試験紙

土の酸度(土が酸性かアルカリ性か)は、中性がpH7.0、それよりも数値が低ければ酸性、高ければアルカリ性です。

野菜の多くは弱酸性から中性の土を好みますが、ほうれん草やレタスのように、中性から弱アルカリ性を好む野菜もあります。

酸度の測定は、市販の土壌酸度測定液を利用するのが使いやすく、また安いです。

酸性土壌を中性に近づけるには、石灰資材を畑に与えます。

pHを1上げるには苦土石灰で、1㎡あたり200g、pHを2上げるには400gが目安です。

野菜を植える2週間以上前に与えて良く耕しておきましょう。

石灰資材(かきライム)

雨の多い日本ではアルカリ性の土壌は少ないですが、パイプハウスでは石灰資材の使いすぎなどで、まれにアルカリ土壌になることがあります。

対策としては、大量の水をまいてアルカリ分を洗い流す、硫安、過リン酸石灰などの酸性資材を投入して中和させるなどの方法があります。

クリーニングクロップと呼ばれるイネ科の植物(トウモロコシ、ソルゴーなど)を栽培することで塩分を吸収・除去することもできます。

クリーニングクロップについては下記にもう少し詳しく書いてあるので気になる方はこちらをどうぞ。

養分のバランスを調べる

土の養分バランス

肥料の三要素のバランスが良好かどうかは、野菜の状態から知ることができますよ。

 

葉の色が淡くて生長が思わしくない場合は窒素の欠乏、葉の緑が褐色になるのはカリ不足、葉や茎ばかりが茂って実がつかない場合は、窒素過多の可能性があります。

 

肥料焼けを起こしたり、肥料をたっぷりと与えているのに発育が思わしくない場合も、養分が多すぎることを疑いましょう。

具体的に養分の状態を調べたいときは、市販の土壌診断キットを使いましょう。

土のpHと三要素の含有量がわかります。診断に適しているのは野菜を植える前と栽培中です。

生育が思わしくないときは、肥料バランスを確認すると良いでしょう。

診断の結果、不足している要素があったら、窒素・リン酸・カリそれぞれの要素を含む単肥で補いましょう。三要素を含んでいる配合肥料はあまり適しません。

市販のキットで判断できないときは、専門機関に調査を依頼することをお勧めします。

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土の化学性に関しては、下記にもまとめいるので、詳しく知りたい方は下記も参考にしてくださいね。

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ちなみに、トマトがカルシウム不足になると尻腐れになりますよ。

おわりに

この記事では、良い土について、そしてその条件について紹介しました。

良い土の条件を振り返っておきましょう。

①水はけと通気性が良いこと

②水もちが良いこと(保水力がある)

③土の酸度が適正であること

④肥料分が豊富なこと

⑤病原菌や害虫が少ないこと

です。良い土になるためにはまずは土を調べなくてはなりません。

というわけで、土の調べ方を紹介しました。土の硬さや土の性質など、、、

ここでは、土の物理性や化学性に特化して紹介しました。

しかし、実は土を診断するに当たって、土のなかに生息する生物によっても診断することができます。

下記に土の生物性についてまとめていますので、こちらも気になる方はご覧ください。