「堆肥ってなに?」
「どのように使うの?」
「効果は?」
など、堆肥についてぼんやり分かっていても何かというのを厳密に分かっている人は意外と少ないのではないでしょうか。
簡潔に堆肥についてまとめると下記のようになります。
堆肥とは、植物が生育しやすいように土の状態を良くするための資材です。
また、堆肥に豊富に含まれる有機物は土壌微生物のエサになり、微生物が活発に働くようになります。
この記事では、土づくりになくてはならない堆肥について学んでいきます。
堆肥が必要なワケ
自然界では、植物は太陽の光を浴びて有機物(枝や葉)を作ります。
その有機物などが地面に堆積し(落葉や枯れ葉)、土の中の微生物によって次第に分解されて土に還っていきます。
落葉が堆積した土は、弾力を持ったフカフカの土になっています。
また、植物を摂取する草食動物も、それらをエサにする肉食動物も、ふんは土に還り、その死骸も土に還っていきます。
自然のままの原野では、何千年、何万年も変わることなく、こうした有機物の循環が行われてきました。
一方、人間が原野を耕して作った畑に目を向けてみます。
自然界では、有機物が循環していますが、畑では作物をより良い状態で収穫するためには、雑草や作物の残渣を取り除きます。
さらには、作物を主に食料として利用するために、収穫物を畑の外に持ち出してしまいます。
すると、土中に元々あった有用成分は作物や雑草へと姿を変えて、畑からなくなるということになります。
人の手が加わった畑では、有機物の循環をあえて妨げて作物を栽培するわけですから、必然的に有機物を土に入れる作業が必要になってくるのです。
堆肥で有機物を供給する
有機物を効果的に土に還元する資材として、昔から使われてきたのが堆肥です。
堆肥とは、落葉や動物のふんなどの有機物を、微生物の力を借りて発酵させたものです。
自然界では、その場にある有機物を循環させているのに対し、畑や花壇では、外に持ち出された有機物を、堆肥という資材を投入することによって、外から持ってくる必要があります。
堆肥には、腐葉土や牛ふん堆肥、鶏ふん堆肥、バーク堆肥など、園芸店で入手しやすものの他に、家庭で出る生ゴミ(食品廃棄物)で作る生ゴミ堆肥などがあります。
材料として使われている有機物に微生物を働かせて分解(堆肥化)させて作られています。
この分解期間は、季節や使われる材料によって異なりますが、1ヶ月から数ヶ月、あるいは半年以上におよぶこともあります。
完熟した堆肥は、悪臭がほとんどなく、黒々とした色で、つかむとサラサラしています。
堆肥と腐植はどう違う?
ウクライナなどに分布するチェルノーゼム(黒土)に代表されるように、有機物を多く含む土は黒色をしています。
その正体は腐植と呼ばれる有機物で、これが多ければ多いほど黒みを帯びます。
腐植とは、土の中で植物の残渣や動物の死骸などの有機物が分解されてできたものです。
この腐植が、砂や粘土を結びつけて粒々の土にしたり、植物にとって必要な養分を土の中に蓄えたりしてくれます。
よく、土の中の有機物をまとめて腐植と呼ぶことが多いですが、正確には腐植と、非腐食物質(粗大有機物)に分かれます。
腐植とは、自然が極めて長い年月をかけて作った有機物であり、堆肥を施したからといって、すぐに増えるわけではないのです。
おわりに
堆肥を施す目的は、腐植を増やすというよりは、土壌微生物にエサを供給することと考えた方が良いでしょう。
微生物が活性化すると、土の物理性・化学性・生物性の改善に大いに役立ちます。
下記に堆肥がもたらす3つの効果を土壌性・化学性・生物性の3つの観点に分けてまとめていますので、気になる方はこちらもご覧ください。