1.エンドウ栽培について
エンドウは中央アジア〜中近東が原産とされています。
マメ科の中では寒さに強く、生育には15℃〜20℃が適温なので、秋まきが適していて、越冬して春に花を咲かせ、収穫期を迎えます。
耐寒性はありますが酸性土壌を嫌いますので、土作りの際は、しっかり苦土石灰で酸度調整をおこないましょう。
マメ科の栽培の特徴でもある連作による障害が多く、前作から4〜5年は空けた方が良いです。
2.エンドウの品種
エンドウの種類には、若いサヤを食べるサヤエンドウ、マメの実を主に利用するグリンピース、サヤと実を利用するスナップエンドウなどがあります。
サヤエンドウ
①矮性赤花絹莢(つるなしで草丈50cmに育つ)
②仏国大莢(晩生で大きなサヤをつける)
③兵庫絹莢(肉質が柔らかく食味が良い、寒さに強く収量も多い)
④あずみ野30日絹莢(開花後2週間で収穫、うどん粉病に強い)
⑤絹小町(寒さに強く、収穫期が長い)
グリンピース
①ウスイ(白い花をつける、耐寒性に優れる)
スナップエンドウ
3.エンドウの栽培方法
土作り
まず、種まきの2週間前に苦土石灰をまいてよく耕して、1週間前に完熟堆肥、化成肥料をまいて深く耕します。
窒素肥料が多すぎるとつるぼけになるので、肥料は控えめにします。
幅60cm〜100cm、高さ10cm〜15cmで畝をつくります。
土壌酸度の適正は6.0〜7.0です。
種植え・植えつけ
中間地では10月中旬〜11月上旬に種まきをおこないます。
早くまきすぎると冬場に苗が大きくなりすぎて、低温障害を受けやすくなります。
小さな苗は寒さに強く、本葉2〜3枚程度が最も耐寒性が高いので、冬の間にしっかり根を張ると、春に生育が早く進みます。
東北地方や高冷地など、雪深い地域や、越冬が難しい地域は3月の春まきが適します。
株間30cmとし、深さ2cmの穴に1穴当たり3〜5粒をまいて覆土します。
発芽適温は15℃〜25℃ですが、比較的低温でも発芽することができるので、無理な早まきは避けましょう。
冬に育ちすぎると寒さに負けてしまいます。
管理
間引き
発芽後、生育の良いもの早めに2本残し、そのほかは間引きましょう。
間引きが遅れると苗が徒長して冬季の冷害を受けやすくなるので、早めにおこないましょう。
防寒・支柱立て
寒冷期はワラや草を敷いたり、周りに笹竹を立てたりして防寒します。
本葉4〜5枚の頃、気温の上昇とともにつるが伸び始めたら支柱またはネットを張って誘引します。
追肥・除草
春の暖かさとともにつるがどんどんと伸びてきて、花が咲き始めるころが追肥を施すタイミングです。
株元に化成肥料をまいて、土にすき込んで合わせて土寄せもおこないましょう。
水やり・敷き草
早いものは4月ごろから開花し、気温が上がってくるので、水やり、敷き草などをして乾燥を防ぎます。
整枝
つるの整枝は、必要がなく放任で構いません。
しかし、つるが混みすぎて風通しが悪くなって、つるを整理したいときは、孫づるは花つきがよくないので、優先して取るようにしましょう。
収穫
サヤエンドウ
サヤエンドウはまだサヤにすじが入らず実が膨らみ始めたころに収穫します。
開花の約10日後でサヤの長さが6cm〜7cmが目安です。
スナップエンドウ
スナップエンドウは実がある程度膨らんだころが収穫適期で、開花の約10日後が目安です。
グリーンピース
グリーンピースはサヤのつやがなくなってシワが出始めたころ収穫適期で、開花の約30日後が目安です。
4.発生しやすい病害虫
病気
うどんこ病
葉が生い茂り温度が上がる時期や、乾燥したときにうどんこ病になりやすいです。
うどんこ病になると、葉や茎の表面に、白い粉をまぶしたようなカビが発生します。
日当たりと風通しをよくすることで発生を軽減できます。
病気が進行し、葉が奇形したり黄変してからではその部分の治療は不可能です。
薬剤はできるだけうっすらとカビが生えた発生初期に使用し、葉の裏まで丁寧に散布します。
モザイク病
ウイルスが原因で発生し、葉がモザイク模様になったり、株全体が萎縮したりします。
ウイルスを媒介するアブラムシを防除し、発症した株は抜き取り処分します。
立枯病
連作障害で、地面に近い茎の部分が腐り、株が萎れて倒れます。
連作を避け、間引きを正しくおこない、風通しを良くして予防しましょう。
害虫
アブラムシ
アブラムシは葉や莢に発生して、汁を吸い、多く発生すると生育が悪くなり、排泄物でネバネバして黒く汚れることがあります。
また、ウイルスを媒介してしまうことがあります。
ハモグリバエ
ハエの仲間で、白い幼虫が葉の中に潜り、葉に白い筋をつけるように食害し、ひどくなると葉全体が白し筋だらけになって生育が悪くなります。
発生したら、農薬散布で防除しましょう。
5.おわりに
①連作障害があるので前作から4〜5年空ける。
②日当たりの良い場所で育てる。
③窒素肥料を控えめにする。
④無理な早まきはせず、真冬に大株にしない。
⑤べたがけで防寒対策
この記事では、エンドウの基本的な育て方について紹介しました。
下記では、エンドウの仲間の一つ「絹さや」の実践記録をまとめています。
下記では、他にも100種類以上の野菜の育て方・栽培方法についてまとめています。
おまけ
コチラは、エンドウの変わり種「ツタンカーメンエンドウ」です。
ツタンカーメンの副葬品から発見されたエンドウを元にして復活させたものです。
栽培方法は普通のエンドウと同じなので、もし手に入れたらぜひ育ててみてください。
また、コチラは中華料理でよく使う豆苗はエンドウの新芽のつる先10cmほどを摘み取ったものです。
豆苗用の品種がありますが、さやとり用の株のわき芽を摘み取ることができます。
大株になると葉がかたくなるので、若い株からとることができます。
ただし、あまり摘み取りすぎるとさやや豆の生育に影響するので注意です。