「昔ながらの手法で病害虫をなくしたい」
「無農薬栽培を目指したいんだけど虫や病気がどうしてもついてしまう‥」
などを感じている方は多いのではないでしょうか。
木酢液は昔から病害虫防除に利用されてきたもので、木酢液を利用して作る自然農薬もたくさんあり、テレビなどでも最近出てくるのをチラホラ見かけます。
しかし、木酢液とはそもそも何なのか、わからない方がほとんどだと思います。
この記事ではそんな木酢液についてまとめています。
木酢液とは?
昔から病害虫防除に使われてきた木酢液は、生の材木を炭焼き窯で高熱で蒸して木炭を作る際に、煙と一緒に出る水蒸気を回収装置で冷却した液です。
いわば樹木の細胞液を抽出した、まさに植物エキスです。
簡単に言えば、植物を煮出し抽出し得た植物エキスということになりますが、詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
昔は木材の防腐剤にも使用されていて、明治時代には、木酢液を田んぼにまいたらイネの生育が良くなった、などの経験から農業にも利用し始めました。
その後、畑のネコブセンチュウへの効果も確認され、60年ほど前からその成分や効能、安全で効果の高い木酢液の作り方、使い方が研究され、広く普及され始めました。
現在では、無農薬、減農薬を目指す農家はもちろん、家庭菜園家にも大変利用されています。
竹炭を作る際に出る竹酢液や、もみ殻くん炭を作る際に出るもみ酢液も同様の効果を持ち、利用されています。
農業利用の他にも、水虫やアトピーに効果があり、燻液の名称で食品添加物としても利用されています。
木酢液の7つの効果
木酢液が多彩に利用されるのは、木酢液にいくつかの機能があり、使い方によって色々な効果が発揮されるからで、作物栽培で期待される木酢液の効果はいくつかあります。
①病気や害虫の発生が減り、減農薬、無農薬が可能になる
②葉が厚くテリが出て生育が良くなる
③吸われにくい部分やミネラルが吸われやすくなる
④糖度、日持ちが向上し、収穫量が増加
⑤土壌に散布すると土壌病害が減り、団粒構造が発達し土壌が良くなる
⑥堆肥やボカシ肥の発達を促進、匂いを抑える
⑦植物などのエキスを抽出したり、カキ殻などを溶かす力が強いので、木酢エキスが簡単にできる
このように効果は非常に多様です。
病気が減る仕組みも、微生物や作物自体の健全化など間接的で、殺虫剤、殺菌剤、栄養剤など化学製品のように一口に効果を説明できません。
木酢液を使いこなすには、この木酢液の多様な効果の仕組みや使い方を知ることがとても大切ですよ。
木酢液の成分
木酢液に多様な効果があるのは、200種類を超える有機成分が含まれているからです。
木酢液の90%は水分ですが、残り10%には多様な有機成分が含まれています。
採取する時期や樹種や材質、窯の種類、炭焼きの温度、天候によって成分に差がありますがどの木酢液にも多様な有機成分が含まれているのです。
一番多い成分は有機酸で、酢酸(含有有機物に占める49.3%)を筆頭に、プロピオン酸、酪酸など約35種が含有される有機物の約50%を占めています。有機物が多いので、木酢液の原液は酸性です。
メタノールやエタノールなどのアルコール類は約35種、10%程度含まれていて、殺菌作用と浸透作用があります。
フェノール類は植物が作る抗菌・抗虫物質で、防腐作用、消臭作用、殺菌作用があります。
この他に浸透性のあるカルボニル化合物や中性成分、塩基性成分がたくさん含まれています。
木酢液は、これらの多様な成分が関係しあって変化し、相乗的に作用して様々な効果をもたらすのです。
また、木酢液は成分の半分以上が有機酸なので、原液のpHは3前後の強酸性です。
食酢と同じくらいのpHなのでなめると酸味を感じます。
原液のまま使えば強い殺菌作用がありますが、茎葉に100倍以下の濃度で散布すると作物が枯れてしまいます。
200〜300倍の濃度では作物の生育を抑制し、500倍以上の濃度にすると作物の生育を促進する働きがあります。
そのため、茎葉への散布は500倍以上に希釈することが原則です。
500倍に希釈するとpH5.5〜6まで上がり、酸による殺菌作用はほとんどなくなります。
害虫に対しても忌避効果はありますが、殺虫作用、油成分によって小さな虫を気門を塞いで殺す作用は多少はありますが、期待するほどではありません。
なので、木酢液は化学農薬のような殺菌剤、殺虫剤ではないということですね。
では、なぜ木酢液を散布すると、病気や害虫が発生しにくくなるのか、その仕組みは下記にまとめていますので参考にしてください。
おわりに
まとめると、木酢液とは、生の材木を炭焼き窯で高熱で蒸して木炭を作る際に、煙と一緒に出る水蒸気を回収装置で冷却した液で、その7つの効果は、
①病気や害虫の発生が減り、減農薬、無農薬が可能になる
②葉が厚くテリが出て生育が良くなる
③吸われにくい部分やミネラルが吸われやすくなる
④糖度、日持ちが向上し、収穫量が増加
⑤土壌に散布すると土壌病害が減り、団粒構造が発達し土壌が良くなる
⑥堆肥やボカシ肥の発達を促進、匂いを抑える
⑦植物などのエキスを抽出したり、カキ殻などを溶かす力が強いので、木酢エキスが簡単にできる
ですね。木酢液は無農薬、減農薬栽培を目指している方にはとっても有効なアイテム、というわけですね。
下記に木酢液の使い方について詳しくかいてるので、気になる方はコチラもどうぞ。
木酢液をうまく使って、病害虫に強い作物を育てましょう!