自然農薬

自然農薬の3つの抽出方法【煮出し抽出、アルコール抽出、酢抽出】

自然農薬の成分を抽出する方法には「煮出し抽出」「アルコール抽出」「酢抽出」があります。

しかし、それぞれの方法によって使い方や保存方法は変わってきます。

それぞれの抽出方法の特徴を知って、効果的に使いましょう。

「そもそも自然農薬とはなんぞや?」という方は下記を参考にしてください。

①煮出し抽出について

煮出し抽出

煮出し抽出は材料を煮て水に成分を抽出する方法です。

水溶性(親水性)の成分の有機酸、アミノ酸、糖類、ミネラル類等々、様々な成分を一気に、効率良く抽出することができます。

アルコールや酢による抽出は数週間から数ヶ月はかかりますが、煮出し抽出はその日のうちにできあがるので、急いでいる時はこの方法が一番です。

素材以外に特別必要なものがなく経済的なのも魅力的です。

植物が持つ成分にはそれぞれ特徴があり、水に溶けにくいものもあります。

しかし、水に溶けにくい成分は、煮出し抽出では効果はないのかというとそうではありません。

なにより、今まさに散布が必要、というときに植物エキスがなければアルコールや酢による抽出のように1ヶ月も待つわけにいきません。

水に溶けにくく、アルコールや酢抽出が向いている成分でも、煮出し抽出によって散布できるものもあるので、急いでいる時は特に便利な抽出方法です。

準備するもの

素材の植物と水、煮出す鍋、保存用の容器を用意します。素材と水の割合は素材ごとに違いますが、4ℓ分くらい作れば、10aの畑に週に一度定期的に散布しても、大体2ヶ月分くらいにはなります。

鍋は土鍋が一番良いのですが、なければアルミやステンレス鍋でも構いません。

キランソウやセンダンなど植物素材の成分にタンニンを含む場合は鉄製の鍋が使えません。

というのもタンニンと鍋はは結びついて成分が変わってしまい、エキスの効果が落ちてしまうからです。

保存用の容器には4ℓ入る広口のガラスビンに入れて保存しています。

透明なので中身が見えるのと、煮出して多少熱い状態でも移すことができるからです。

煮出し抽出の方法

素材を鍋に入れてとろ火で30分〜40分煮込みます。素材と水の分量は素材によっても違うのですが、基本的なやり方は、素材を細かく切ってから10ℓの鍋半分くらいまで入れて、水をヒタヒタにして煮込みます。

素材はストッキングに入れておくと、こす手間がはぶけます。

芳香成分を引出したい素材(ドクダミ、セリなど)を煮出す場合は、芳香成分が揮発してエキスの効果が失われてしまうので長時間火にかけられません。加熱は4〜5分までとします。

また、数種の素材を一緒に煮出して成分が混合すると、効果が高まる場合と、落ちてしまう場合があるので、植物エキスの抽出は素材ごとに行うようにするのが良いでしょう。

散布時には混ぜて使う場合も、抽出と保存は別々に行うようにしましょう。

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保存の方法

鍋が冷めて布(サラシ)でこして保存します。

その際にそのエキスの素材を目印に入れておくと、中身が一目でわかります。保存期間は大体二ヶ月までです。

あまり長く保存すると腐る場合があり、腐ったエキスは葉面散布に使えません。

ガラスビンは直射日光が当たらない場所に保存しましょう。

煮出し抽出の使い方

煮出しエキスの希釈倍率は素材によって様々です。

②アルコール抽出について

トウガラシの焼酎漬け

焼酎などアルコール類に素材を漬け込んでエキスを抽出する方法です。

アルカイドテルペン類の抽出に向いています。

準備するもの

素材と焼酎などのアルコール、容器を揃えます。容器は使う量に応じて変えると良いです。

アルコール抽出の方法

素材をアルコールに漬けるだけです。分量は素材によって違います。

つけ込み期間は約1〜2ヶ月です。アルコールに有効成分が溶け出すので浸ける期間は長いほど良いです。

保存の方法

アルコール抽出した植物エキスは、腐らないので保存がききます。直射日光の当たらない場所に保管します。

アルコール抽出エキスの使い方

アルコール類は濃い濃度で散布したり連用したりすると葉がカサカサ

になります。500倍前後で散布するエキスも、最初は800倍から始め、少しずつ濃くするのが良いでしょう。

一回の散布量は1㎡あたり150〜200ccくらいにして、ドブドブこぼれるほど散布はしません。

また冬場など植物の蒸散量が減る時期も葉がカサカサになりやすいので注意が必要です。冬場は煮出しか酢抽出のエキスを使いましょう。

③酢抽出について

ニンニクに穀物酢を加える

穀物酢や木酢液など酢類にエキスを抽出する方法です。アルカロイドを含む植物のエキス抽出に向いています。

酢には過剰窒素を消化して、作物を引き締める効果もあります。

酢抽出したエキスには、植物の成分による生育活性効果、病害虫防除と酢の引き締め効果によって作物が健全に生育する、ダブルの効果があります。

特にオススメは木酢液。木酢液を効果的に使うことで素材の効果以外にも様々な相乗効果が期待できます。

下記の記事に木酢液についてまとめてありますので気になる方は参考にしてください。

準備するもの

素材となる植物、酢、容器を準備します。酢は穀物酢、米酢、木酢液、クエン酸などです。酢抽出する場合、鉄製の容器は使えません。

酸によってエキスに鉄が溶け出してしまうので注意しましょう。

酢抽出の方法

酢抽出も素材を酢に浸けるだけです。漬け込み期間は一ヶ月ほどです。酢抽出の場合も漬け込み期間は長ければ長いほど良いです。

保存の方法

酢抽出の植物エキスも腐らないのでいつまでも保存がききます。直射日光の当たらないところで保存しましょう。

酢抽出エキスの使い方

酢抽出エキスの希釈倍率は素材によって様々です。

おわりに

抽出方法によって様々なメリットデメリットがありますが、簡単にまとめると、以下のようになります。

・煮出し抽出‥その場で作ることができる。またお金もあまりかからない。しかし、準備に少し時間がかかる。

・アルコール抽出、酢抽出‥素材の成分を抽出するまで少し時間がかかる。混ぜるだけで完成する。木酢液に浸けると素材の有効成分以外にも様々な相乗効果を期待できる。

また、素材に含まれる成分によって抽出方法を変えた方が良いので、3つの抽出方法を正しく知っておくのはとても大切です。

自然農薬の素材に含まれる成分については下記の記事で詳しくまとめていますので合わせてご覧ください。