堆肥をうまく取り入れることで、様々な効果を見込めます。
せっかく堆肥を施すのですから、「良い」堆肥を施したいものです。
この記事では、「良い堆肥の4つの条件」についてまとめました。ぜひ参考にしてください。
良い堆肥の4つの条件
堆肥は土の物理性の改善・化学性の改善・生物性の改善の改善に効果を発揮しますが、その前提として4つの基本的な条件を満たすことが必要です。
①作物の生育に障害がない
有機質資材の中には作物の生育に有害な物質があります。
例えば、有機酸やフェノール酸などです。
これらは作物の生育や種子の発芽に悪影響を及ぼします。
堆肥の条件としては、これらの物質を含まないことや他に雑草の種子を含んでいないことも大切です。
②堆肥の成分が安定している
有機質資材は種類が多いために、その種類により肥料としての効果や土曜改良の効果も異なってきます。
堆肥を作る上では、使用する資材の特徴を知り、有機物やそれに含まれる肥料成分の安定化をはかりましょう。
③環境に無害である
土壌環境を守ために、有害な重金属や病原菌を含んでいないことが必須条件です。
重金属含量が1kgあたり、ヒ素50mg、カドミウム5mg、水銀2mgの基準を超えると、土壌汚染に繋がります。
また、亜鉛120mg/kgの基準を超えないことも条件です。
この他に作物や人体に有害な細菌や虫を含んでいないことを確認することも必要です。
④悪臭がなく使いやすい
堆肥を作る過程で、悪臭がないこと、水分量が適正であること、農耕機器で扱いやすいことが挙げられます。
畑に堆肥を散布する場合、特に大量散布する場合は、取り扱いやすく、効率的に作業が行えることも大切です。
有機物を堆肥にする理由
堆肥は材料として使われる有機物に微生物を働かせて、数ヶ月かけて有機物を分解して作られています。
ではなぜ、落ち葉や家畜ふんなどの有機物をそのまま土に施さずに、こうした作業をあえて別の場所で行う必要があるのでしょうか。
それには2つの理由があります。
①有機物中の炭素を減らす
土に施された有機物は、カビや細菌など土壌微生物のエサになります。
微生物も有機物で、その体は炭素(C)を主成分とし、10分の1程度の窒素(N)も含んでいます。
一方、エサとなる有機物中の炭素と窒素の比率である、炭素比率(C/N比)は様々です。
(例えば、ナタネ油かすでは7:1、落葉では40:1程度)
微生物は有機物を食べ(分解し)てエネルギーを得て増殖します。
もし、エサが油かすであった場合、微生物の体の構成比よりも、C/N比の値が小さいので、微生物が分解して余った窒素は土に放出され、それが土中の養分となります。
つまりは、油かすは堆肥にしなくても、そのまま肥料として使えるわけです。
一方、落葉の様に炭素含有量の多い有機物(落葉や牛ふんなど)を堆肥にしないで土に施すと、微生物が増殖するための窒素が足りなくなり、土中の窒素を微生物が取り込んでしまい、植物は「窒素飢餓」を起こしてしまいます。
それを避けるために、炭素含有量の多い有機物は、土に直接施さずに一度堆肥化させることが大切です。
炭素をあらかじめ微生物に食べさせて、二酸化炭素として取り除き、炭素率を小さくしておく必要があるのです。
②肥料を施した後のガス害を防ぐ
有機物をそのまま土に施すと、微生物の分解により多量の二酸化炭素ガスが発生します。
そのため、施用後すぐに種をまくと酸素欠乏となり発芽が悪くなります。
有機物を施してから2週間ほど放置して、ガスが抜けてから種まきを行いましょう。
しかし、堆肥化させておくと、その製作過程で有機物の多くが分解され、土に施してからは、ガスはあまり発生しません。
おわりに
この記事では、良い堆肥の4つの条件を紹介しました。まとめると、
①作物の生育に障害がない
②堆肥の成分が安定している
③環境に無害である
④悪臭がなく使いやすい
です。この4つの基準を満たす堆肥を選ぶようにしましょう。
また、自分で堆肥を作るのもアリですよ。
下記に堆肥の作り方についてまとめていますので、こちらも参考にしてください。