土と肥料

【家庭菜園】堆肥の効果その2〜土の化学性の改善〜【決定版】

堆肥の効果は主に「物理性の改善」「化学性の改善」「生物性の改善」の3つに分けることができます。

その中でもこの記事では、「化学性の改善」についてまとめました。

「物理性の改善」「生物性の改善」についてはこの記事の最後にリンクを載せましたので、そちらもあわせてご覧ください。

植物は無機質を吸収する

根から吸収

堆肥に含まれる有機質が微生物に分解されることによって生まれるのは、土の団粒化だけではありません。(団粒化については「物理性の改善」を参照)

 

有機質が植物の養分(無機栄養素)に変わっていくのです。

 

堆肥に含まれる養分は有機質の形になっているため、そのままでは植物は吸収できません。

一度土の中の微生物に分解され、無機物のかたちになって初めて吸収することができるのです。

植物が必要とする養分の種類

土の養分

植物が必要とする養分の「必須要素」は17種類あります。

このうち、水素や酸素、炭素は水や空気から葉や根を通じて吸収します。

しかし、他の要素は、主に土の中から根を通じて吸収しています。

 

植物が特に必要とする3要素が「窒素」「カリウム」「リン酸」です。

窒素は全ての植物の生育に必要な要素で「葉肥(はごえ)」ともいわれ、主に茎葉を生育させます。

カリウムは「根肥」ともいわれ、根や茎を丈夫にし、病害虫への抵抗力も高めてくれます。

リン酸は「花肥」「実肥」といわれ、主に花や実のつき、実どまりをよくします。

 

三要素の次に必要とするのが、カルシウム、マグネシウム、イオウでこれを「二次要素(中量要素)」と言います。

三要素と二次要素を合わせて「多量要素」と言います。

これ以外の要素は少量で足りるので「微量要素」と呼ばれます。

 

使われている材料にもよりますが、堆肥には様々な養分が含まれています。

ただし、植物が必要とする養分バランスを堆肥だけで整えることは難しいので、不足する分は肥料で補ってやります。

堆肥と追肥は補い合う関係です。肥料は速効性があるので、堆肥で不足する養分や初期生育用肥料として追肥すると効果があります。

土の保肥力について

土の保肥力

植物は必要な時に必要な量の養分を根から吸収しなければなりませんが、土には養分を蓄えておく力「保肥力(肥もち)」があります。

土の中の養分のうち、窒素、カリウム、カルシウム、マグネシウムはいずれも水に溶けて陽イオンとなります。

 

土は大小様々な粒子からできていますが、その中の粘土や腐食など細かい粒子からできたコロイド粒子が形成されています。

コロイド粒子は通常、マイナスの電化を帯びているため、陽イオンの養分は、電気的な引力に引かれてコロイド粒子の表面に吸着されて、雨水や水やりなどによっても、容易には流されにくくなるのです。

 

保肥力高い土とは、コロイド粒子が持つマイナスの電気量が多い土のことをいいます。

マイナスの電気をいっぱい持っていれば、それだけ、陽イオンとなっている養分を吸着することができるためです。

これは「陽イオン交換容量」という値で表され、英語の頭文字から「CEC」と呼ばれます。

 

植物の根は、コロイド粒子と結びついた養分と、自らが持つ陽イオンと置き換えることで、初めて体内に吸収することができます。

堆肥に含まれる有機物が徐々に分解され、その養分が土のコロイドと結びつくことで、肥えた土が作られていくのです。

堆肥と土の保肥力の関係

土と堆肥

CECの値は土の中に含まれる腐植や良質の粘土の量によって左右されます。

 

堆肥を施すと、すぐに土の保肥力が向上すると思われがちです。

しかし、腐植や粘土は長い年月をかけて作られる物質であり、堆肥を施したからといって、直接的にCECが高くなるというわけではありません。

ただし、堆肥を土に入れると、それをエサとする微生物が増加し、彼らは養分を体内に蓄えることになります。

 

その意味で、堆肥は、直接的に土の保肥力を高めるわけではありませんが、間接的に養分を貯蔵させる効果を発揮していると捉えることができます。

養分過多に注意

堆肥

堆肥はゆっくりと肥料効果が効いてくることにその特徴があります。

しかし、一つ注意しなければならないことがあります。

 

それは、知らず知らずのうちに養分が蓄積してしまうことです。

 

堆肥を施すことによって土の中に送られた有機物は、微生物の格好のエサとなり、植物の養分(無機栄養素)に分解されますが、必ずしも全てが分解されるわけではありません。

一部、分解されない有機物は土の中に残り、次の年に分解されていくことになります。

 

つまり、堆肥を毎年施すことで、その年に分解されずに残った有機物は翌年にまた一部が分解され、養分を土の中に補給するということを繰り返していくのです。

 

ここが肥料と大きく違うところです。

肥料はその時々に植物が必要とする養分を与えることが目的です。

堆肥は毎年使うことで、肥料効果がだんだん現れるとともに、その効果は蓄積されて長期的な養分補給力がしだいに高まっていくのです。

 

しかし、この堆肥の性質を理解しないで、家畜ふん堆肥や生ゴミ堆肥など、養分の多い堆肥をやみくもに施し続けると、養分過多になってしまいます。 

まずは、しっかりと土の養分バランスを把握するように努めましょう。

おわりに

この記事では、堆肥の効果「化学性の改善」について紹介しました。

改善への効果は高いものの上記で述べたように養分過多には注意しましょうね。

堆肥の効果は「化学性の改善」だけではなく、「物理性の改善」「生物性の改善」も期待できます。

下記に堆肥の3つの効果についてまとめていますので、こちらも合わせて参考にしてください。