1.ヤマイモ栽培について
原産地は中国で、つるの茎の基部が肥大してイモになるつる性の多年草です。
一般的にヤマイモと呼ばれるものはヤマノイモ、ダイジョ(大薯)、ジネンジョ(自然薯)で形も様々です。
ヤマノイモはイモの形によってさらに3つに分類され、長さ60〜80cmで全国各地で栽培されているナガイモや徳利イモなどのナガイモ群、先端がイチョウの葉のように広がるイチョウイモ群、伊勢イモや加賀丸イモなど塊茎で暖地栽培に適したヤマトイモ群(ツクネイモ群)の3つです。
ダイジョは塊状または柱状で、台湾ヤマイモなどのように暖地栽培に適していて、ジネンジョはイモが細長く、日本の山野に自生します。
2.ヤマイモの品種
・南部徳利イモ(ナガイモ群、なめらかな食感で、長いイモに育つ)
・ネバリイモ(ナガイモ群、育てやすく、粘り、キメが細かい)
・イチョウイモ(イチョウイモ群、粘りが強く、剥きやすく、下ろしやすい)
・新丹丸(ヤマトイモ群、粘り強い食感と、ほのかな甘み)
・加賀丸イモ(ヤマトイモ群、アクが少なく粘り強く、コクがある)
・丹波つくねイモ(ヤマトイモ群、肉質は純白できめ細かく、すりおろすと箸でつかめるほど粘りが強い)
・台湾ヤマイモ(ダイジョ、太くて短いイモが数本でき、育てやすく、掘りやすく、粘りが非常に強い)
・静岡農試60号自然薯(自然薯、育てやすく、粘りがあり、コクがある)
3.ヤマイモの育て方
土づくり
土壌への適応性は高いですが、質の良いイモに育てるためには、日当たりの良い場所を選び、耕土が深く、排水の良い肥沃な土壌が理想的です。
植えつけの2週間前に苦土石灰を、1週間前に堆肥、有機配合肥料を施し、スコップなどでよく混ぜながら、深く(ナガイモは1m前後)耕し、幅40cm、高さ15〜20cmの畝を立てます。
種植え・植えつけ
ナガイモは4月上旬〜5月上旬、イチョウイモとヤマトイモは3月下旬〜4月中旬が植えつけ適期です。
株間30cm、深さ10cmの植え穴をあけ、種イモは根が出る頂部を上にして覆土が5〜7cmになるように植えつけます。
切り分けた種イモを使うときは、よく乾かし、部位別に分けて植えると萌芽が揃い管理がしやすいです。
長く伸びるイモ類は、塩ビパイプや雨樋(屋根などで雨水を導く管)などを斜めに埋めて、その上にイモが成長するように栽培することもできます。
管理
追肥
6月下旬〜7月上旬に、緩行性肥料(10-10-10)60g/㎡を畝間に施します。
支柱立て
地這い栽培でも良いですが、風通しや日当たりを考えると、支柱でつるを上に伸ばした方が良いでしょう。
収穫
ナガイモは寒さに強いので、晩秋から春にかけて徐々に収穫できます。
反対にイチョウイモ、ヤマトイモなどは霜に弱いので、降霜前に葉が全て黄色に変わってから収穫します。
4.ヤマイモのよくある生育不良・おもな病害虫
炭そ病は、茎葉に不定形の黒褐色の病班が生じます。
葉渋病は、葉では初め不定形の黄色がかった退緑斑が生じ、その後大きくなり、やがて白色の粉を生じます。
害虫はアザミウマ類、アブラムシ類、ハスモンヨトウ、ハダニ類です。
5.まとめ
①前作から3〜4年あけて連作障害を回避する。
②種イモの深植えは腐敗の原因となる。
③日当たりがよく、肥えた畑が望ましい。
④ナガイモは支柱を立て、つるを上へ伸ばす。
⑤ナガイモは折れやすいので掘るときは注意する。
下記では、他にも100種類以上の野菜の育て方・栽培方法についてまとめています。