1.サトイモ栽培について
サトイモは、熱帯性アジア原産で、taroと呼ばれるイモの仲間で、多年草ですが、温帯や亜熱帯では一年草になります。
高温多湿の気候を好み、生育適温は25℃〜30℃と高く、夏の暑い時期によく育ちますが、乾燥には弱い性質なので、雨の多い年の方がイモの出来はよくなります。
乾燥した日が続く時は、たっぷり水をあげて育てると収穫量は多くなります。
生育期間が長く5〜6ヶ月くらいを要します。
たくさん収穫することができるので家庭菜園であれば1〜3株ぐらいで十分かもしれません。
2.サトイモ品種について
地方品種がたくさんあるので、その地方で栽培されている品種を栽培するのが最も適しています。
ぬめりタイプのもの(土垂【どだれ】など)で経験を積んだら、食味の異なるほくほくタイプ(エビイモ、八つ頭)に挑戦すると面白いでしょう。
①改良石川早生(ぬめりタイプ。早掘に向き、丸形が多いです。)
②たけのこイモ(ほくほくタイプ。たけのこのように細長い)
3.サトイモ栽培について
土作り
まず、植えつけの2週間前に、苦土石灰を全面に散布します。
根菜類は、植えつけ時の状態が収穫まで影響することが多いので、土を細かく砕いて柔らかくしましょう。
畝幅は90〜110cm、株間は50〜60cmで1条植えにし、植え溝を掘って完熟堆肥と化成肥料を施します。
根は1mぐらいまで深く張るので、耕土が深く水分が保てる畑にしますが、水はけのよくないところは避けましょう。
また、サトイモは肥料を吸収する力が強く、生育期間も5〜7ヶ月になるので堆肥が必要となります。
土壌の適正酸度はpH6.0〜6.5です。
種まき・植えつけ
生育温度は25℃〜30℃を5ヶ月以上確保する必要がありますので、栽培の北限は東北地方となっています。
熱帯地方原産なので、生育には高温が適し、十分な日照と降水量が得られる場所で栽培しましょう。
そのため、地温が15℃以上になってから(目安としては藤の花が咲き始めるころ)種イモを植えつけるのが良く、関東地方では早くても4月下旬ごろですが、連休明けに植えつけるのが一般的です。
まず、肥料が種イモに直接当たらないように軽く土を被せ、芽を上にして植えます。
深く植えすぎると温度が上がらず発芽が不揃いになるので、深さは5〜6cmにします。
種イモは縦長のものでも、縦に植えた方が発芽が揃いやすくなります。
また、地温を上げて乾燥と雑草繁殖を防ぐために、植えつけ後に黒マルチをすることをオススメします。
サトイモは様々な植え方があり、目的や土壌で植え方を工夫しましょう。
種イモは4月ごろ種苗店で購入し、40g〜60g程度の大きさで、形の良いものを選びます。
小さなもの、芽が欠けたもの、病気のものは避けましょう。
管理
発芽
植えつけ後30日〜40日で芽が出始めます。
マルチをした場合は、芽がマルチを持ち上げるので芽の位置がわかりますので、マルチを破って芽を出してあげましょう。
遅れると芽が焼けることがあるので注意深く見守ります。
芽かき
種イモから芽が出て、その部分が肥大して親イモになりますが、種イモから複数の芽が出てきます。
そのまま残しておくと、親イモがいくつもできてしまうので、真ん中の一番良い芽を残して、一本に芽かきします。
6月下旬ごろ、親イモから出てくるわき芽はとりません。
これは、親イモが肥大し、それに付いた子イモから出てくる芽となるので、取ると子イモが育たなくなります。
1回目の追肥と土寄せ
本葉が5〜6枚になったら、畝の肩に追肥として化成肥料(8−8−8)を1株にひとつまみ(約30g)やり、1回目の土寄せをします。
マルチをしていたらマルチを開けて作業してください。
また、この時期にセスジスズメの幼虫がつきやすいので、見つけたら捕らえて取り除くようにしましょう。
2回目の追肥と土寄せ
1回目の土寄せから約1ヶ月後に2回目の土寄せをします。
関東では7月下旬〜8月上旬のころで、葉柄100cm前後の健全な葉が4〜5枚あるころでしょう。
生育が思わしくない場合は1株に約30〜40gの追肥をし、乾燥防止のために敷きワラをすると効果的です。
また乾燥時はアブラムシがつきやすくなります。
土寄せについては下記でさらに詳しくまとめています。
収穫
中間地では9月中旬以降に孫イモが肥大します。
あまり早く収穫に取りかかると収穫量が上がらないので気をつけましょう。
時期の目安としては軽い霜に1〜2回当たってから収穫すると良いです。
茎を地際から、鎌などで刈り取り、少し遠めからスコップを刺しこんで、てこのように持ち上げ、土の中からサトイモの塊が出てきたら土を落としましょう。
4.よくある生育不良|おもな病害虫
病気は少なく、あるとすればウイルス性のものですが、種苗会社から健全な種イモを購入すれば病気はほとんどありません。
5.まとめ
①水持ちの良い肥えた土壌で日当たりの良い場所を選ぶ。
②種イモは形がよく、大きめのものを選ぶ。
③連作を避けて4〜5年はあける。
④乾燥に弱いので、夏場は夕方に水やりを2回おこなう
⑤わき芽のかき取りは2回おこなうのが良い
下記では、他にも100種類以上の野菜の育て方・栽培方法についてまとめています。