1.逆さ植え
効果
種イモの芽を下に向ける植えつけ方法です。
一般の栽培書ではタブーとされることもある植え方ですが、篤農技術(とくのうぎじゅつ)として伝えられてきました。
逆さに植えられた種イモは、土の圧力を受けながら萌芽するため、抵抗性が誘導されて病害虫に強くなります。
また、根が普通栽培より深い位置に伸びるために、乾燥の影響を受けにくくなります。
さらに子イモからの発芽が抑えられるので、土寄せの手間が減ります。
植え方
発芽直後の芽は下に向かって伸び、その後で地上に出るため、畑は植えつけ前に深く耕しておきます。
種イモは、3〜5cmほど芽が出たら、芽の部分を下にし、丁寧に植えつけていきます。
この際に、芽を折らないように注意しましょう。
種イモから発芽した芽は、最初は下に向かって伸びていき、その後、地上部に向かって反転して伸長し、親イモを形成します。
このため、親イモの形成位置は、種イモより下方かあるいは同じくらいの位置となります。
子イモや孫イモも深い位置に形成されるため、子イモからは茎葉が出にくくなり、土寄せの作業が必要ありません。
また、根は地中の深い位置に伸びるので、乾燥の影響を受けにくくなり、高品質のサトイモを収穫できます。
さらに、逆さ植えでは、孫イモやひ孫イモも大きく育ち、子イモと同じくらいの大きさになります。
2.踏み倒し栽培
効果
サトイモのイモの肥大が急速に進むのは、気温が下がって茎葉の生長が衰えてからのことです。
通常は初霜が降りる数週間前からと言われ、「踏み倒し栽培」ではこの時期と同じ状況を踏み倒すことで人工的に作り、子イモ、孫イモを大きく育てることができます。
サトイモはおもに子イモ、孫イモ、ひ孫イモを食用とし、親イモに蓄えられていた養分を「踏み倒し」によって早めに子イモ、孫イモに転流させて芋を肥大させます。
特に孫イモは子イモに迫る勢いで大きくなり、1株当たりの重量は、普通に栽培するよりも踏み倒し栽培の方が重くなり、また収量アップも期待できます。
また、養分の転流が盛んになるので、普通に栽培するよりも早く収穫することができます。
ただし、踏み倒し栽培では養分の転流が進んでやせるため、親イモに関しては普通栽培よりも細くなります。
方法
収穫1ヶ月前の10月上旬〜中旬の晴れた日の夕方に、つぶさない程度に茎を踏みつけます。
踏み倒しには、株の水分が少なくなって、葉が少ししおれているくらいが良く、強く踏みすぎて折らないように注意しましょう。
踏み倒し後、2〜3日かけて茎が起き上がってくるのが理想的です。
親イモの養分が子イモや孫イモに回って肥大し、大きさが揃います。
ただし、孫イモやひ孫イモができる前に踏み倒しても意味がないです。
平均的な1株を選んで、探り掘りをして孫イモ、ひ孫イモができているか確認するのが良いです。
土寄せやマルチ、芽出しなど、サトイモ栽培でのよくある質問についてまとめています。
特に「芽出し」は大切な作業ですので、しっかりと行うようにしましょう。
3.マルチ栽培
効果
熱帯地方原産のサトイモは、高温多湿を好む野菜で、乾燥を嫌うので、土が乾きにくい半日陰の場所で育てるのがオススメです。
種イモを植えつける際は、黒マルチを張るのがオススメで、マルチには乾燥防止のほか、地温上昇、雑草防止効果などが期待できます。
サトイモの植えつけ時期である4月はまだ気温が低い日が多く、そのまま植えつけると芽が出るのが遅くなりがちです。
マルチを張ることで地温が高まり、萌芽や初期生育がよくなり、また、梅雨明け後の夏の土壌乾燥も防げるので、株の生育が早まり、イモが大きく育ちます。
方法
種イモを植えつけたあとに畝の表面を鳴らし、穴があいていない黒マルチを張ります。
芽が地上部に出てくる際に、マルチが少し盛りがってくるので、速やかにマルチを切って芽を外に出します。
7月になると地上部の茎葉が大きく育ち、地下のサトイモの肥大が始まりますが、マルチは張ったままでいいです。
通路に追肥をし、マルチの上に土をのせて株元に土寄せします。
ただし、この方法は、収穫時にマルチを取り除く手間がかかります。
時間とともに土の中で分解される「生分解性マルチ」などを利用すると、剥がす手間がかからないのでオススメです。
途中でマルチをはがし、株元に土寄せするのもよく、その場合は、葉がまだ小さい6月ごろにはがしましょう。
4.親イモそのまま植え
効果
一般的なサトイモ栽培では、子イモを種イモとします。
親イモは大きいため、種イモとして取り扱うのが不便で、ほとんどは廃棄されてしまいます。
しかし、イモが大きいということは、貯蔵している栄養分も大きいということです。
そのため、親イモを種イモとして植えつけると、子芋に比べ萌芽が早く、その後の生育も旺盛になり、収量は約1.5倍に増えます。
植え方
種イモは大きいため、植えつけの際の株間は普通栽培よりも広い60cmとし、植え穴の深さも20cmとします。
なお、種イモを親イモにした場合でも、逆さ植えにすることができます。
芽が伸長してからの樹勢は強く、子イモも盛んに茎葉が伸びます。
そのため、土寄せは2〜3回おこない、子イモの茎葉を土に埋めましょう。
ただし、親イモを種イモとする場合は、事前にその土地への適応性を高める必要があります。
サトイモは、その土地への適応性を高めるため芽条変異(芽の細胞における遺伝子の突然変異)が生じやすい野菜です。
特に子イモや孫イモでは生じやすいので、3〜4年間は子イモや孫イモを種イモとして栽培し、適応性を高めましょう。
その後、親イモを種イモとして毎年栽培し、親イモは、冬の間は土の中で保存しましょう。
おわりに
この記事では、サトイモの上手な植え方についてまとめました。
下記では、サトイモの基本的な育て方や栽培のコツをまとめています。
下記では、他にも100種類以上の野菜の育て方・栽培方法についてまとめています。