1.大根栽培について
大根の原産地は中近東から地中海沿岸で、古代に中国を経て日本に渡来しました。
七草粥の「すずしろ」も大根のことです。
日本全国で、各地の環境に合わせて多彩な品種が作られましたが、戦後、生育旺盛で病気に強く根の形が均一なF1品種が主流となり、在来種の栽培面積は大幅に減少しました。
鹿児島の桜島大根や京都の聖護院大根、岐阜や愛知の守口大根は、地域の特産物として評価されています。
2.大根の品種
大根は種類や品種が大変豊富で、春まき、夏まき、秋まきができますが、初心者には、病害虫の被害が少なく、栽培管理も簡単にできる秋まきがオススメです。
基本的には冷涼な気候を好み、夏の暑さは苦手で、季節ごとの栽培に適した品種を選びましょう。
①冬自慢(青首大根。葉が小さく密植できる)
②耐病総太り(青首大根。秋まき、早太りで、ス入りが遅い)
③早太り聖護院(丸大根。太りが早く。甘い食味)
④辛之助(薬味、おろし用の辛味大根。)
⑤天宝、仙水(とう立ちしにくい、春まき)
⑥おふくろ(遅くまでまける)
3.大根の栽培方法
土づくり
まずは、種をまく2週間前に土を深く耕して(40cm〜50cm)、土の塊を細かく砕き、小石や雑草の根を取り除きます。
次に、1週間前には完熟堆肥と化成肥料を施しましょう。
弱酸性には比較的強いので、土壌酸度は必要に応じて苦土石灰で調整する程度で良いです。(ちなみに適正土壌酸度はpH5.5〜6.0)
そのあと、畝幅は60cm、高さ10cmで畝を作り、タネを一条植えしましょう。
直根が伸びていく場所に、肥料の塊や石などの障害物などがあると、そこで根が分かれてしまうことがあります。
肥料の塊が残らないように畑を深く丁寧に耕しておきましょう。
種植え・植えつけ
ダイコンの種の発芽適温は15℃〜30℃、直まきで秋〜冬に収穫する品種の場合は8月下旬〜9月下旬におこないます。
特に、9月まきは気温が下がるため病害虫は比較的少ないのでオススメです。
まず、株間30cm、深さ1cmでまき穴をつけ、次に、1穴に5〜6粒ずつ種をまき、覆土して手の平で軽く叩いたあと、水をたっぷり与えます。
大根は直根ですので、ポット植えではなく必ず直植えにしましょう。
植え替えをすると、根が痛みやすく生育不良が起こりやすくなります。
また、種まきをした直後に強い雨が降ると、種が土の中にもぐったり、流れたりして発芽が揃わなくなるので注意です。
管理
1回目の間引き
発芽して双葉が開いたらおこないましょう。
形がよいものを1箇所3株残し、間引きしたら株の根元に土を寄せておきます。
子葉の形が不揃いなもの、子葉が食害されているもの、他と比べて小さいものを間引きするようにしましょう。
2回目の間引き
本葉が4〜5枚の頃、生育の悪い株を間引き、1箇所2本にしましょう。
3回目の間引きと追肥・土寄せ
3回目の間引きで1本にして、化成肥料を株と株の間にまき、株元に土を軽く寄せます。
土寄せする土は畝の肩の土を使います。
収穫(種まきから90日後)
上に向いていた中心部の葉が開き、外側が垂れてきたときが収穫の時期。
かかる日数は品種によって異なりますが、種まき40日〜100日後です。
根の上部をしっかりと持って、まっすぐ上に引き上げて収穫しましょう。
4.発生しやすい病害虫
病気
雨が多いと、ベト病、白サビ病、黒腐病が発生しやすくなりますので、水はけを良くして、多湿を避けましょう。
害虫
温度の高い時期は、アブラナ科の共通の害虫がつくので、発生したら農薬散布して防除します。
アブラムシは、秋まきの初期に多く発生すると、汁を吸われ生育の悪影響があり、ウイルス病を媒介するので、病気にかかると生育が悪くなります。
コナガは、温度の高い時に繁殖力が高く、葉を食害するので、葉も大事に食べたい時は注意しましょう。
5.まとめ
①土をよく深く耕し、不純物を取り除いたり、肥料の塊を砕いておく。
②春まき、夏まき、秋まき、様々な品種があるので、作型に合った品種を選ぶ。
③ポット植えせず、直植えする。また、生育初期の害虫防除に努める。
④根に直接濃い肥料が触れないようにする。
おわりに
この記事では、大根の基本的な育て方について紹介しました。
下記では、生育不良などダイコン栽培についてさらに詳しくまとめています
下記では、他にも100種類以上の野菜の育て方・栽培方法についてまとめています。