自然農薬

木酢液の効果的な使い方(葉面散布・土壌散布・その他)

「木酢液ってどのタイミングでどう使うの?」

「せっかく木酢液を使うんだから効果の高い使い方を知りたい」

木酢液濃度は基本どの作物やどの品種で変わるというわけではなく、「定期散布」がとても大切です。

なぜなら木酢液は有用微生物のエサになるからです。

それでは、どのタイミングでどの量を何倍の希釈で散布するのが良いのでしょうか。

この記事では、木酢液の効果的な使い方・土壌散布の仕方について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

「そもそも木酢液って何?」という方は下記の記事をまずはみてくださいね。

木酢液の葉面散布での効果と使い方

500倍〜1000倍に薄めて定期散布

自然農薬を吹きかける

木酢液散布の原則は、

500〜1000倍に薄めて、7〜10日ごとに定期散布すること

です。木酢液は殺菌剤ではないので病気が出てから散布しても望むような効果は得られません。

定期散布によって有用生物が増殖し、病原菌を抑えてはじめて効果があるのです。(木酢液は有用微生物のエサとなります。有用微生物が病原菌を抑える仕組みは下記を参考にしてください。)

1000倍よりも濃い濃度での散布を繰り返すと、作物が枯れることもあるので濃度をよく考えて散布しましょう。散布間隔も5日はあけましょう。

一回の散布量は10㎡あたり1ℓです。葉の表面にきっちりかかっていることが大切です。

木酢液は石けんなどの展着剤(葉面にしっかりと液剤をつけるためのもの)は必要ありません。木酢液は浸透性が高いので、散布後きっちり乾けば、2、3回の雨では流れません。

木酢液の濃度は作物の種類や品種で変わるということはありません。

ただし、発芽前、発芽直後は800〜1000倍で散布してください。

早朝か夕方が散布のタイミング

葉面散布は日中を避けて早朝か夕方にしましょう。日中に散布すると木酢液の水分だけが短時間に蒸発して、濃度が上がって葉が焼ける心配があるので注意しましょう。

特に夏場、晴れの日の日中散布は禁物です。逆に散布後、まだしっかり乾いていないうちに雨が降ってしまった場合は、成分が流れてしまうので雨が病んでから再度散布します。

収穫直前の散布でも安全上の問題はありませんが、収穫物に匂いが残ることもあるので、散布は収穫1日前までとしましょう。

希釈は散布の直前にし、使い切る

木酢液のいろ

木酢液は使用直前に希釈するのが基本です。最初から薄めて売っている市販品もありますが効果はないでしょう。

というのも木酢液は希釈すると微生物が増殖したり紫外線の影響によって、成分が変わってしまうからです。

また、いったん薄めると保存中に有効成分が分解されてしまうので、散布後残った液は、土壌散布するなどして使い切りましょう。

化学農薬は希釈しても濃度が変わるだけですが、木酢液は薄めると微生物の好むエサになることを忘れないでおきましょう。

農薬との混用散布で農薬半減

農薬散布

木酢液は浸透力が強いので、農薬と混用散布すると農薬の量を半分にしても同様の効果が得られ、さらに展着剤も必要なくなります。

これから徐々に農薬を減らしていきたい、という方にオススメの使い方です。

まず使用する量の水に500倍になるように木酢液を混ぜ、標準希釈濃度1000倍の農薬なら2000倍になる量をはかって混用します。

散布量や散布回数は変わりませんが、効果が高まっていることが感じられたら、さらに農薬量を3分の1、4分の1と徐々に減らしてください。

こういった混用散布を繰り返していくことで無農薬栽培に徐々に近づいていくことができますよ。

木酢液と混ぜてはいけない農薬もあるので注意しましょう。木酢液は酸性なので、石灰硫黄化合剤やボルドー液など強いアルカリ性の農薬とは混用できません。また殺菌剤も木酢液の効果を半減させますので注意しましょう。

木酢液の土壌散布での効果と使い方

土の栄養分

1000〜2000倍の木酢液を15日おきに土壌散布

作物の根と共生する善玉微生物を増やすには、15日に一度を目安に、1000〜2000倍になるよう木酢液を薄めて水やり代わりに散布します。

露地栽培などで水やりが必要でない場合は、10㎡あたり20ℓくらいで構いません。

散布時期は種まき・定植前から根がよく伸びる生育中期が効果的です。

500倍以上に希釈した木酢液は根を傷めず、土壌中の有用微生物のエサとなって、その活動を活発化します。

100倍以上に濃いと根にも障害を与えるので注意しましょう。

リン酸やミネラルを根に供給する

木酢液を土壌散布すると地面が白くなることがありますが、これは有用生物の菌糸です。

土壌中に有用微生物が増え、拮抗作用によって土壌病原菌の繁殖を押さえ込んでくれます。

また、有機酸や有用微生物によって土壌中の固定化されているリン酸やミネラルが可溶化されたり、吸収しやすい形になったり、増えた微生物によって未利用有機物の分解も進むので、作物の土壌養分の吸収がよくなり収穫量・品質が高まっていきます。

土壌散布で土壌の団粒構造が発達

木酢液の散布を続けると、微生物の分泌物によって土の粒子と粒子が腐植の仲立ちをして結合し、団粒構造が発達してきます。

団粒構造が発達すると、通気性や水はけが良くなるので、作物も確実に健康になり病害虫に強くなり、収穫量や品質が向上します。

ただし、団粒化は腐植(有機物がよく分解したもの)が豊富にないとできません。

例えば有機物の少ない砂漠にいくら木酢液を散布しても、元々少ない微生物は増えないうえ、腐植がないので団粒化はしません。

土壌散布で効果を上げるには、発酵堆肥やボカシ肥など有機物による土づくりが不可欠です。堆肥は有機物マルチとしても効果的です。

木酢浸け炭粒のすき込みで有用微生物のパワーアップ

炭は多孔性といって微細な穴が無数にあいていて保水性、通気性に優れています。

アルカリ性であるため、その穴が有用微生物のすみかとしても非常に適しています。

作付け前に炭粒を1㎡あたり400gすき込むと、有用微生物が非常に増え、大変効果があります。

ところがpH8〜9と高いので、有用微生物でも、そのままでは住みつくのに時間がかかります。

そこですき込む前に50倍の木酢液を炭に十分散布してpHを下げてやると、微生物がすみやすくなり、木酢液の散布で増えた微生物が土壌に定着しやすくなります。

炭は長時間分解しないので、炭粒のすき込むのは初年度に合計1㎡あたり1kg、あとは毎年300gほどずつ施せば良いでしょう。

肥料過多で根が弱った時も効果的

1000〜2000倍の木酢液の土壌散布は、肥料過多や過湿などで土中に腐敗性の病原菌が増え、硫化水素や炭化水素、アンモニアガスなどが多くなった時も有効です。

これらの有毒ガスが多くなると根が弱り、根腐れを起こします。

このような場合に木酢液を土壌に散布すると、有毒ガスを木酢液の有機酸によって無毒化することができます。

木酢液での土壌消毒法

連作障害などで青枯れ病根コブ病などの土壌病害が出たときには、原液ないしは20〜30倍の木酢液を土壌に散布すると、土壌消毒ができます。

これは木酢液の強い液と散布後発生する一酸化炭素によるものです。

一酸化炭素には生物には毒として働く上、二酸化炭素に変わる際に地中の酸素を奪い土壌中を一時的に酸欠状態にします。

これでいったん滅菌されますが、3日後には全て二酸化炭素に変わり、木酢液濃度が薄まるにつれ、有用微生物が増殖します。

その後定期的に薄めた木酢液の散布によって、さらに病原菌が少なくなります。

多くの病原菌の活動最適pHは5〜6.5の弱酸性で、pH4.5以下の酸性、pH7以上のアルカリ性になると活動できなくなります。

有用微生物の乳酸菌や酵母菌、酢酸菌、麹菌などはpHが4.5以下でも、納豆菌、放線菌はpH7以上のアルカリでも活動できます。

20倍の木酢液を散布すると一時的ですがpH4.5以下に下がり、土壌中の病原菌が殺菌されます。

しかし4日ほど経つと土中で300倍以上に薄まり、酸性に強い乳酸菌や酢酸菌などの有用微生物のエサとなって優先的に増えていき、土壌の微生物が安定するのです。

土壌消毒には、20倍液の場合、1㎡あたり2ℓ散布します。原液の場合は1㎡あたり100cc散布します。

散布後乾く前に土を耕し、1週間ビニールマルチで被覆します。

1週間後にビニールマルチを外して作付けします。どの病害虫に対しても同様に対応でき、センチュウ害についても20倍液で効果があることがわかっています。

木酢液のその他の使い方

作物に散布する

①窒素過剰の生育を改善

窒素の過剰施肥で、葉が暗緑色で垂れるような生育になったときは、葉の中に亜硝酸や遊離アミノ酸がたまり、病害虫も発生しやすい状態です。

このようなときは200〜300倍程度の濃い木酢液を散布すると、生育が改善されます。

②堆肥、ボカシ肥を発酵促進

木酢液は堆肥やボカシ肥へ希釈して散布すれば、微生物が増えて発酵を促します。

漬け込みの際や切り返しのときの水に混ぜるだけです。希釈倍率は300〜600倍にしてください。

100倍以下では殺菌・静菌作用が働き発酵を抑制してしまいます。発酵が早く進み、夏ならば4日くらいで80℃まで温度が上がります。

60℃くらいで、早めに木酢液を補給して切り返すことがコツです。

③煙を利用した鳥獣・害虫忌避

木酢液は強い燻煙臭(くんえんしゅう)がします。この匂いを利用して、倉庫のネズミよけ、果樹の鳥害避けに使ったりしている農家もいます。

鳥獣は山火事を連想してか、木が燃える匂いは苦手です。ハウス内に吊るしてアブラムシよけにも使うことができます。

ペットボトルを利用して原液のまま使います。ニンニクやトウガラシなど匂いの強い素材を混ぜれば効果はより増します。

また、木酢液をしみ込ませたわら縄を、畑のまわりに地面につけて巡らせておくと、タヌキやイノシシが入らなくなります。どちらも匂いが弱まれば交換しましょう。

まとめ

木酢液の使い方

・葉面散布は500〜1000倍に薄めて、7〜10日ごとに定期散布する

・土壌散布は15日に一度を目安に、1000〜2000倍になるよう木酢液を薄めて水やり代わりに散布する

・窒素過剰の生育を改善したり、堆肥ボカシ肥の発酵促進、鳥獣対策にも使える

というわけですね。野菜を育てる様々な場面で木酢液をうまく使って理想の無農薬、減農薬栽培を目指していきましょう。

また、木酢液を使って様々な植物のエキスを抽出して使う「木酢エキス」もとても有効ですので気になる方はこちらもご覧ください。