1.症状と被害
天気のよい日中には茎葉がしおれ、朝夕に回復するという症状が特徴でネコブセンチュウによる被害と似ています。
根を見るとネコブセンチュウの場合は、根全体に小さいコブができるのに対し、根コブ病は大小さまざまなコブが発生しているので区別できます。
そのコブが道管を圧迫して葉水分の吸収が妨げられます。
発病するとしだいに生育が鈍くなり、ついには枯死してしまう場合もあります。
コブの中では胞子がたくさん作られており、根が腐敗すると胞子が土の中に飛び出し、そのまま土の中で休眠します。
2.根コブ病にかかりやすい野菜・植物一覧
アブラナ科の植物に発病します。
カブ、カリフラワー、キャベツ、白菜、チンゲンサイ、大根、ブロッコリーなど
3.原因と伝染経路
根コブ病菌はカビですが、菌糸を持たず、水の中を泳げる「遊走子(ゆうそうし)」という胞子を作り出します。
遊走子は土壌中の水中を泳ぎ回って新根、根毛に侵入し、形はアメーバ状に変化して成長します。
これが成熟すると球形の特殊な休眠胞子となり、被害根や土壌で10年近くもの間生存し伝染源となります。
侵入を受けた根は異常増殖し、コブができます。
このこぶの中におびただしい数の休眠胞子が作られ、根が腐り胞子が傷口から土壌中に出ます。
病原菌は土壌中で長期生存するため、農作業にともなう土の移動や降雨などを通じ発生畑から周辺へ広がることが多いです。
日照時間が長く、地温が高いと発生しやすく、また、水分を好むため、低湿地や排水の不良地で発生が多いです。
さらに、酸性土壌は発生を助長しますので注意です。
4.防除・対策
根コブ病菌の密度を上げないためには、アブラナ科のリレー栽培や連作を避けましょう。
水はけの良い畑では出にくくなりますので、水はけの悪い畑では高畝をつくり、排水性をよくします。
土づくりや植えつけの時に、サンゴ化石を使うのがオススメです。
サンゴ化石には、根コブ病菌の胞子を吸着する働きがあり、しかも石灰のように酸性土壌を中和してくれます。
粉末タイプを用いて畝の表面にうっすらまいてすき込むか、植え穴に50gほど施してかき混ぜてから苗を植えましょう。
根コブ病は気温が19度以上の日が長い時期に発生しやすくなりますが、種まきや苗植えを秋の彼岸から春の彼岸の間に行ったものはほとんど発病しません。
5.治療方法
発病したら
コブができた株は、腐敗する前に畑から持ち出して処分しましょう。
根コブ病菌は休眠胞子という形で30年くらい土に残るため、土壌に溜まっていきます。
土壌を綺麗にするためには大根をおとりにして育てるのが良いでしょう。
大根もアブラナ科で根コブ病菌に寄生されますが、感染するのは側根だけで、肥大する貯蔵根には侵入しません。
側根では増殖できず、胞子を残すことができなくなるので、その結果、根コブ病菌の密度が下がって、発生を抑えることができるのです。
効果のある薬剤・農薬
病気が発生すると対処は困難ですので、キャベツ、白菜、カブ、小松菜、大根、チンゲンサイ、ブロッコリーなどはネビジン粉剤もしくは石原フロンサイド粉剤を土に混ぜ込んでから、種をまいたり植えつけたりします。
おわりに
この記事では、根コブ病の原因と防除方法について紹介しました。
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