1.垂直植え
効果
サツマイモは、苗の植えつけ方により、イモの形や着生位置が変わり、根が伸びる方向に着生する性質があります。
そのため、苗を斜めに植える普通栽培では、根が横に広がり、株元から離れた位置に、細長い形のイモができます。
一方、苗を縦に挿す垂直植えにすると、根が真下に伸び、株元に近い位置に、短くて丸いイモがつきます。
この植えつけ方法にすると、普通栽培に比べ、地上部の葉でつくられた養分の転流がスムーズに行われ、デンプン含有量が高くなります。
収穫できるイモの数は減りますが、養分が濃縮され、甘みも強くなります。
植え方
畑の準備は、普通栽培と同じように行います。
ただし、苗は、葉が4〜5枚展開した短いものを準備します。
もし、長い場合は、茎の下部を切断し4〜5枚になるようにしましょう。
そして、2〜3日間、日陰の湿った場所で保管して発根を促します。
植えつけの際には葉を取り除かず、2つの葉は土の中、2〜3つの葉は地上部に出るように、株間30cmで縦に挿していきます。
植えつけられた苗は、地中の2枚の葉のつけ根と、切り口から発根し、根が下方に向かって伸長していきます。
植えつけ後の管理は、普通栽培と同じですが、イモが株元付近に着生するため、つるを引き上げるだけで収穫することができます。
2.らせん植え
効果
サツマイモは、つる苗を植えると、葉柄の節から根が伸びていきます。
その根が水や養分を吸収する「普通根」とデンプンを蓄積する「塊根(=イモ)」に分化します。
イモはつる苗の切り口に近い2〜3節に最もつきやすいと言われ、伸びたつるから出る根は、「つる返し」という繁茂したつるを持ち上げてひっくり返す作業によって切ってしまうのが一般的です。
この「らせん植え」では、伸びたつるの節をその都度、誘引し、埋めていくことで、つるの長さだけイモをつけることができます。
そうすることで一株あたりの収穫量を格段にアップさせることができます。
植え方
まず、畑の土を盛り上げ、直径1.5m、高さ70cmの小山をつくります。
元肥として、窒素があまり含まれていないカリが主成分の草木炭やサツマイモ専用肥料を施します。
小山のふもとに、つるを伸ばす方向に向けて苗を植えつけます。
山肌に沿って等高線を描くようにつるを埋める溝をつくり、つるの節の部分を溝に収めて土を寄せて、しっかりと埋めます。
8月上旬ごろ、つるが伸びてきたら、らせん状につるを一本にしぼって伸ばし、そのつど節を土に埋めていきましょう。
生長が進むと土寄せが難しくなるので上からふるいで土をかけるなどする必要があります。
つるが山頂に達した後は放任して良いです。
3.平畝|高畝植え
効果
畝の高さ・形を変えることで、収穫できるサツマイモにも違いが出ます。
平らな畝で育てると、根を広い範囲に伸ばすことができるので、樹勢が強く、収量も多くなります。
一方、高畝をつくって栽培すると、根域が制限されるため、樹勢がやや弱くなり、収量も少なくなります。
ただし、樹勢が抑えられるために、養分がイモに集中するため、高品質になります。
高畝植えでは、根の伸長が制限されるため、つるの伸びも抑えられます。
また、イモが株元に近い位置につくため、つるを引き抜くと、丸いイモが収穫できます。
一株から4〜6本のイモをとることができますが、平畝と比べると、収穫量はやや少なくなります。
植え方
平畝植えでは、水はけのよい畑で、増収目的で行うのに向いています。
苗は、株間50cmで、斜めに植えつけ、葉は3〜4枚を地中に埋めます。
平畝では樹勢が強くなるため、つるが隣の畝に到達したら、つる返しを行います。
イモは細長い形になり、株元から離れた位置につきます。
そこで、収穫時は太い根を手繰って(たぐって)イモを傷つけないように掘り上げます。
多数のイモが着生し、収穫量は多くなります。
高畝植えでは、水はけの悪い畑や、高品質のイモを収穫したい場合に用います。
畝は高さ20cm×幅45cmとし、黒マルチで覆いましょう。
苗は、株間30cmで縦に植えつけていき、葉は2枚を垂直に地中に埋めて植えつけます。
4.おわりに
この記事では、サツマイモの上手な育て方についてまとめました。
下記では、サツマイモの仕立て方やサツマイモ栽培のよくある質問についてまとめています。
下記では、100種類以上の野菜の育て方・栽培方法についてまとめています。