1.シュンギク栽培について
シュンギクの原産地は地中海沿岸で、春に黄色い花が咲くため「春菊」と名づけられたハナゾシュンギクが、中国に伝わり食用に改良されました。
日本の導入は室町時代末期で、江戸時代末期に各地で栽培が始まりました。
春菊は、耐暑性、耐寒性共にあり、本葉が展開していれば0℃以下でも枯死せず越冬します。
なので真夏以外であれば栽培することが可能です。
2.春菊の品種
葉の形から大葉種や中葉種、小葉種があります。
大葉種は葉の切れ込みが少なく、中葉種、小葉種と次第に切れ込みは多く、深くなります。
菜園では摘み取って利用できる中葉種がオススメです。
①大葉春菊(暑さ寒さに強く、葉肉は厚く柔らかで強い香りの摘み取り型)
②さとにしき(香りと食味がよく、生育の揃いが良い株張り型)
③菊次郎(葉と株の揃いがよく、分枝性に優れた株張り型)
④きわめ中葉春菊(低温での伸長と側枝の発生力が強い)
3.春菊の育て方
土づくり
種まきの2週間前に苦土石灰を、1週間前に完熟堆肥、有機配合肥料を施し、クワなどでよく混ぜましょう。
畝幅60cm、高さ5〜10cmで畝を立てます。
適正な土壌酸度はpH5.6〜6.5です。
種まき・植えつけ
発芽適温は15℃〜25℃ですが、最低発芽温度は10℃、最高発芽温度は35℃で非常に幅があります。生育適温は15℃〜20℃で、春まきと秋まきが栽培適期です。
春まきは3月中旬〜5月下旬、秋まきは9月上旬〜10月中旬におこないます。
直まきの場合は、株間15cm〜20cm、条間30cmの2条まきとし、深さ1cmの穴に4〜5粒をまいて、軽く覆土して手で土を押さえます。
苗を栽培し定植する場合は、ポットやセルトレイで育て、本葉4〜5枚の頃に植えつけましょう。
春菊は好光性種子で、土を厚く被せると発芽しなくなります。
上に被せる土は、タネがようやく隠れるぐらいに薄くしましょう。
管理
間引き
本葉が1枚のころ3本に、本葉が3〜4枚(育苗の場合は2〜3枚)のころに1本に間引きします。
隣の株の葉が触れるか触れないか程度の株間で間引きするのを目安にしましょう。
追肥・土寄せ
種まきの6週間後から、月に1回化成肥料を追肥し、土とよく混ぜて株元に土寄せします。
摘心
草丈15cm〜20cmに生長したら、茎の先端(葉のつけ根のすぐ上から2〜3節)を摘み取り、摘心します。
摘心することで、葉のつけ根から新芽が育ち、枝数が増え収量が増えて、長く収穫を楽しめます。
収穫
株張り種は草丈20cmほどで株ごと引き抜いて収穫します。
摘み取り種は草丈20〜25cmほどで本葉4〜5枚を残して摘み取り(収穫)、残した葉から出るわき芽がある程度伸びたらつけ根から2枚の葉を残して収穫します。
さらにその葉から出るわき芽を伸ばして収穫します。
これを繰り返すことで、1株当たり数回収穫できますよ。
4.発生しやすい病害虫
病気
ベト病
ベト病は、葉に白いカビが発生したり多角形の黄色い斑点ができ、株をからします。
日当たりの良い場所で育て、肥料不足などに注意しましょう。
ワラなどでマルチをして予防します。
害虫
ハダニ
ハダニは、葉のうらに群生するごく小さい虫で、植物の汁を吸います。
ときどき葉の裏まで洗うようにして予防します。または、農薬を散布します。
アザミウマ
アザミウマは、葉を食害し、カスリ状の傷をつけます。
見つけ次第捕殺します。銀白色のフィルムでマルチをして予防します。
ネキリムシ
ネキリムシは、夜間に土の中から出てきて地面に近い部分を食害します。
食害された株の周りを掘り起こして見つけ、対処しましょう。
ハモグリバエ
ハモグリバエは、幼虫が葉の中に潜り込んで食害します。
葉に白い線が出てきたら、食害された葉ごと処分します。
シンクイムシ
小さな幼虫が芯の中心部を食害します。
芯の部分をよく見て、見つけ次第捕殺します。
5.よくある生育不良
芯が枯れたようになる
高温時期に、芯のところが茶色く枯れたようになるのは芯枯れ症といわれ、石灰欠乏によって起こります。
原因は、土中にカルシウムが十分あっても乾燥して吸収できないことによります。
また、窒素肥料の過剰によって、カルシウムの吸収が妨げられても起こります。
肥料のやりすぎに気をつけます。
葉先が茶色くなり、生育が悪い
水や肥料の不足が原因と考えられます。
乾燥させないように水を与え、肥料を少量ずつ2週間ごとに施すなどして様子を見ます。
葉に白い不定期な線が入る
ハモグリバエの被害です。
葉の中に幼虫が入り込み、中を食害するために、食べられた痕が白くなり、不定期な線を描いたようになります。
食害を受けた葉は早めにとりましょう。
薬剤をかけても、成虫には効きますが、中の幼虫までは退治できないこともあります。
6.まとめ
①好光性種子なので、覆土は薄くする、発芽が揃うまでは乾燥させない
②摘み取り種の収穫は本葉4〜5枚残して摘み取る
③草丈15〜20cmほどになったら摘心する
④品種は中葉種がオススメ
この記事では、シュンギクの育て方・栽培方法についてまとめました。
下記では、他にも100種類以上の野菜の育て方・栽培方法についてまとめています。