「家庭菜園やってみよう!」
「さっそく土づくりをするぞー!」
と思っても何から始めて良いのかわからない方は多いかと思います。
また、肥料や堆肥、石灰を施した方が良いということは漠然と知ってはいても「どの順番で」するのかはわかっていない方も多いかと思います。
そこでこの記事では、「土を耕す目的」と「土づくりの手順」についてまとめました。
正しい手順をしっかり理解してよい畑を作っていきましょう。
土を耕す目的
まず最初に畑の草取りです。大きな石、空き缶、ガラスのかけらなどを除いて草を取り、周囲に日陰を作るような木の枝が伸びていたら、その枝を落として陽当たりをよくします。
土を耕す目的は次の通りです。
①土を深くまで柔らかくし、酸素をいれる。
②土の塊を砕いておくことで、その後の堆肥や肥料を施す際に、土の粒子と馴染みやすくなる。
③作土層を深く柔らかくし、作物の根が生長しやすくなる。
④排水をよくする。
雨などで湿っている時を避け、適度に乾いているときに土の塊を細かく砕き耕します。
晩秋から冬にかけて深く耕して山盛りにして寒さや風雨にさらしておくと、土の乾きもよく、雑草対策にもなります。
資材投入の順番
次に堆肥、石灰などの土壌改良剤、肥料を施しますが、これは別々に施した方が問題が起きません。
石灰資材と熔リンと、チッ素分を含んだ堆肥や、アンモニアを含んだチッ素肥料を一緒に施すと、反応してアンモニアガスになって逃げてしまうからです。
従って、
①堆肥⇨②石灰資材、アルカリ性土壌の改良⇨③肥料
の順に、1週間ほど間隔をあけて施すと、安全で土によくなじみます。土づくりは作付けの2〜3週間前から行いましょう。
①堆肥を入れる
良い土の必要不可欠の条件が、団粒構造です。団粒が形成されるには、微生物が有機物が分解する際にできる「のり」が必要です。
自然の状態では、落ち葉や枯れ草などが堆積し、それを微生物が分解することで、自然に有機物が土に還元されます。
しかし、人の手が加わった畑の場合、例えば野菜を収穫してしまうと、その分の有機物は外に持ち出されてしまうため、堆肥などの有機物を入れてやる必要があるのです。
堆肥は有機物を微生物の力で発酵させたものであり、土づくりになくてはならない土壌改良資材です。
堆肥には、園芸店で入手しやすい、家畜ふんを主な原料にした牛ふん堆肥や鶏ふん堆肥、樹皮を主な原料としたバーク堆肥、落ち葉堆肥の一種である腐葉土の他に、家庭でできる生ゴミ(初期有品廃棄物)を使った生ゴミ堆肥などがあります。
一口に堆肥と言っても、原料によって使い方が違ってきます。
上記堆肥の中で、バーク堆肥や腐葉土など植物由来の原料を用いた堆肥は、あまり養分は少ないですが、土をフカフカにする効果が抜群です。
一方、動物由来の原料を用いた牛ふん堆肥や鶏ふん堆肥は、それに加えて、チッ素、リン酸、カリ、その他の肥料成分を土に補給する効果もあります。
使う量は、畑あるいは庭1㎡当たり、植物由来のフカフカ堆肥は2〜5kg、動物由来の肥料成分の多い堆肥は0.5〜1kgが一般的な量です。
②石灰資材を入れる
石灰資材の役割
石灰資材には、以下のような役割があります。
カルシウムやマグネシウムの補給
石灰資材の役割の一つは、酸性土壌化で失われたカルシウムやマグネシウムを補給することです。
カルシウムには、植物を丈夫にし、根の発達を促す働きがあり、マグネシウムには、リン酸の吸収を助けたり、植物体内の酵素を活性化させたりする働きがあります。
これらを補って、作物の順調な生育を促します。
アルミニウムの害を防ぐ
酸性土壌では、土の中のアルミニウムが溶け出しやすくなり、これが過剰に起きると、根の生育障害を引き起こしたり、リン酸と結合して、作物が吸収するはずのリン酸分を奪ったりします。
石灰資材の投入によって、アルミニウムの害を防ぎます。
肥料分を吸収しやすくする
根は自ら有機酸を分泌し、ミネラル分を溶かして吸収していますが、土が酸性になると、この有機酸の働きが悪くなるため、肥料分を吸収しにくくなります。
また、酸性土壌になると、有用な微生物も住みにくくなります。
根の周りの環境を整えるのも石灰資材の役割です。
石灰資材の施し方
植物の多くは、微酸性から弱酸性の土壌を好みますが、中には酸性を好むものや、酸性でも十分育つものがあります。
育てる作物の種類や土のpHの値によっては、必ずしも石灰資材を施す必要はありません。土の健康診断をして、pHが必要かどうかを判断しましょう。
下記に、土壌のpHの値をチェックする方法についてまとめていますので、気になる方はこちらをご覧ください。(後日更新予定)
1.二週間前に投入する
まず、種まきや苗の植えつけの2週間前が投入の目安です。
強いアルカリ性の生石灰や消石灰は、施してからすぐに植えつけると根を痛めてしまい、炭酸カルシウムや苦土石灰は、効果が出るまでに時間がかかってしまうためです。
2.pHを調整する
植物の種類によって好むpHは異なってくるので、育てるものに合わせてpHを調整します。一度に施せる量の目安は下記の表を参考にしてください。
ちなみに、苦土石灰の場合、pHを1.0あげるための量の目安は1㎡当たり200g程度です。
主な石灰資材のアルカリ分と一度に施せる量の目安
種類 | アルカリ分(%) | 施量の目安(g/㎡) |
苦土石灰 | 53以上 | 200〜300 |
炭酸カルシウム | 53以上 | 200〜300 |
消石灰 | 60以上 | 150〜220 |
貝化石 | 404〜5 | 240〜360 |
かき殻 | 40 | 240〜360 |
3.土とよく混ぜる
石灰資材を施したら、よく土と混ぜてください。石灰が固まってくると、植物の根に害を及ぼすことがあります。
③アルカリ性土壌の改良
まずは初めに、ここではアルカリ性の土壌の改良についてまとめているので、アルカリ性の土壌でない場合は改良する必要はないので注意です。
やみくもな石灰の投入は、土のアルカリ化を引き起こします。一旦アルカリ化してしまうと、酸性を抑えることよりも難しいので、石灰は適切な量だけ使いたいものです。
アルカリ化してしまうと微量要素のなかで、鉄、マンガン、亜鉛、銅などの溶解度が小さくなり、様々な欠乏症状が出てきます。
アルカリ性の土壌を微酸性に矯正するのはなかなか大変ですが、硫安、塩加、塩安、過石を施すと、土の中に硫酸や塩酸などの酸が残ってアルカリ性ミネラルが中和されてアルカリ性土壌の改善に繋がります。
④肥料を入れる
堆肥を入れてフカフカにし、土のpHを調整すれば土づくりは終了しますが、種まきや苗の植えつけ前に、作物の生育初期に必要な養分を補うために、肥料(元肥)を施しておきます。
堆肥や石灰資材にも養分が含まれていますが、最終的には前もって肥料を施すことで、土の中の養分バランスを整えます。
特に、土の中に入れるとその場をほとんど動かないリン酸は、このときに必要量を入れておきます。
また、ポット苗を購入した場合、生産者の元で肥沃な用土で育てられるため、根鉢ごと植えつけると、ある程度はその肥料効果を保ちますが、やはりそれだけでは不十分です。
植えつけ前に適切に肥料を施してあげましょう。
野菜づくりの場合は、元肥と同時に畝を立てておきます。そうすると、水はけがよくなったり、作土層が広がるため根の生育がよくなったりします。
具体的な方法については、
肥料の使い方(後日更新予定)
を参考にしてください。
まとめ
畑の土づくりの大まかな流れとして、土の健康診断の結果を元にして、堆肥を投入したり石灰資材を入れてpHを適正にしたりしていきます。その後、作物が生育するときに必要とする養分を元肥として土に混ぜていきます。
それぞれ一週間ほどあけて作業を行うのがベストなので、種まきや苗の2〜3週間前から作業を始めるようにしましょう。
上記の手順を経て、土づくりを行っていきますが、定期的に畑のクリーニング作業も大切になってきます。下記に畑のクリーニングについてまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
畑のクリーニングについて(後日更新予定)
畑の準備が整ったら、いよいよ野菜を種植え、植えつけをおこなっていきましょう。下記に「作物別の野菜の育て方」についてまとめてありますので、参考にしてください。