土と肥料

肥料の与え方|元肥と追肥の違いとポイント

作物が順調に生長するためには、根から吸収される肥料分(養分)と、太陽がもたらす光合成のどちらも大切です。

地上部がその光合成を行うには、根が水分や肥料の養分を吸収し、枝葉に供給するメカニズムが順調に働くことが大切です。

 

地下部に関する様々な管理を「肥培管理(ひばいかんり)」といいます。

 

作付け前に施す元肥生長管理で施す追肥が肥培管理の中心となります。

地下の根と地上の茎葉とスムーズに連動して初めて、野菜の生長が促進されます。

この記事では、元肥と追肥について、また肥料の与え方(施肥)の基本についてまとめました。

ぜひ参考にしてください。

元肥と追肥について

固形肥料

畑の土は、野菜を作り続けるうちに、しだいに地力がなくなってきます。

いつまでも地力のある畑を維持するためには、種まきや植えつけ前からの準備が必要です。

 

植えつけ後には与えることのできない根の下層部や畝全体に施して、根が張りやすい土壌条件を作るのが元肥の役割です。

 

野菜の成長とともに肥料の吸収量は多くなるので、肥料切れさせないように生育の途中で与えるのが追肥です。

元肥を施す際のポイント

堆肥を施す

元肥を施す際のポイントは2つあります。

元肥を施すにあたっての1つめのポイントは、堆肥などの有機物をたっぷりとすき込んで、地力のある土を作ることです。

作付けの1ヶ月前に行うのが基本ですが、特に休閑期の長い冬には、堆肥を施してたら、

表面をならさずに、小山の状態で寒風にさらしておく寒起こしが有効です。

土のなかに空気は入り、病原菌や害虫、雑草の種などの生育密度を低くすることができます。

2つめのポイントは、作付けの約1〜2週間前に、酸度調整のための石灰質肥料や肥料分を与えておくことです。

肥料分は、化成肥料と有機質肥料の油かすの組み合わせが、汎用性が高く使いやすいでしょう。

石灰分(カルシウム)は野菜が多量に吸収する上に、土が酸性に傾きやすいので、

1作ごとにアルカリ性の石灰が必要です。

作物の生育に対する影響の大きい同日に散布する3種類の資材は窒素分の多い化成肥料⇨油かす⇨石灰の順にまくと、生育をそろえやすいです。

元肥の施し方【全面施肥と作条施肥】

元肥を施す

元肥を与える方法は大きくふたつ、「全面施肥」と「作条施肥」に分かれます。

全面施肥は畝全体に肥料を施用します。ほとんどの野菜に使える基本形です。

植えつけ後には与えることができない根の下層部に元肥を埋めて、根が張りやすい土壌条件を作るのが作条施肥です。

根が深くまで伸びるトマトやナスなどの果菜類や、栽培期間の長い野菜を育てる時に用います。

ダイコンやゴボウなどの直根類は、根が肥料に当たるとまた根になったり、

肥料焼けすることがあるので向きません。

作付けの1〜2週間くらい前には土づくりを済ませ、十分に土となじませておきます。

追肥を施す際のポイント

追肥

追肥のコツは、元肥の効果が切れてきた頃に、適量の肥料を根が休止やすい場所に与えることです。

根の伸長に応じて、その少し先にまくようにします。

表面にまくだけでは効果を十分に発揮しにくいので、土と混ぜ合わせましょう。

 

野菜の生育中に株のまわりを耕すことを中耕(ちゅうこう)、

株元に土を寄せることを土寄せと呼び、追肥の際にあわせて作業することで、

土に空気を供給して、根の生育を助ける効果があります。

追肥の施し方

施肥

追肥一つをとっても野菜によって適した追肥の施し方があります。

適切な時期、分量、方法で与えることで、野菜の生育は促進されます。

畝の両側(果菜類)

数回にわたって追肥をする果菜類は、1回目は株元近くに。

マルチを敷いた場合は、マルチの裾をめくって与えます。

以後の追肥は、根が伸びるにしたがって、徐々に株から離れた位置に与えます。

マルチを破って(果菜類など)

株から少し離れたところのマルチを破って穴をあけ、追肥を。

軽く土を混ぜ合わせると、吸収が良くなります。

畝の片側に(トウモロコシ、インゲンなど)

列状に点まきして栽培する野菜は、畝の片側に散布します。

1回目を畝の肩の部分に、2回目を通路に施して土と混ぜ合わせます。

ばらまき(軟弱野菜など)

種をばらまきして育てる野菜は、上から肥料をばらまくことができる。

土寄せは難しいので、覆土はふるいで土をかけるか、除草鍬などで軽く土と混ぜ合わせるのが良いです。

株の周囲に(ブロッコリー、タカナなど)

株の周囲に輪状に肥料をまきます。このやり方を1回目として、

少しずつ株から遠い位置に散布場所を移動していくこともあります。

おわりに

この記事では、元肥と追肥についてまとめました。

同じ肥料を与えるのでも、せっかくなら効果的に肥料を与えたいですよね。

野菜によって元肥や追肥の与え方をうまくかえて、より良い野菜づくりを目指しましょう。