1.イチゴ栽培について
ヨーロッパのイチゴは大型で色も赤く美味しそうですが、おもに加工用・業務用なので、日本産のように甘くありません。
甘いものへと育種がすすんだ日本のイチゴは、おそらく世界で最も甘いイチゴです。
イチゴは気温が下がり短日になる初秋になると成長点に花芽を形成し、さらに気温が下がる冬期には休眠します。
そして春、気温が上がって日照時間が長くなると、休眠から目覚めて開花結実します。(花芽分化)
2.イチゴの品種
温室やビニールハウスでの栽培に的する品種と、露地栽培に適する品種があります。
イチゴは、ある一定期間に短い日長と低温にあわせて休眠させないと花芽分化を開始しない性質を持っています。
品種によってその期間は異なるので、家庭菜園ではハウス栽培用ではなく、以下のような丈夫で作りやすい露地栽培用の品種を選びましょう。
・宝交早生【ほうこうわせ】(露池栽培用で昔からある品種で丈夫で生育旺盛なので初心者向き)
・章姫【あきひめ】(育てやすく宝交早生より少し大きい)
・紅ほっぺ(章姫とさちのかの交配種で実が大きく、糖度も高い)
・女蜂【にょほう】(ハウス栽培用品種だが、関東地方では、露地栽培も可能で実つきが良い)
3.イチゴの栽培方法
土づくり
まず、植えつけの3週間以上前に苦土石灰を全面に散布します。
活着や根張りのよいイチゴを作るのがポイントです。
排水不良の畑では根張りが悪く、反対に乾燥しても生育が遅れるので、堆肥など有機質を入れて通気性をよくします。
2週間前に完熟堆肥、過リン酸石灰、緩効性化成肥料を全面に散布し、深く耕します。
畝の幅は90cm、高さは20cm以上にします。
適正土壌酸度はpH5.5〜6.5です。
植えつけ
植えつけは苗が出回る10月中旬〜11月上旬におこないます。
株間30cm〜35cmの2条植えで、条間は40cmの千鳥植えにします。
深く植えると新芽が発生しなかったり、生育が止まって茎の病気にかかりやすくなるので、茎が土で隠れないくらいの浅植えにしましょう。
とはいえ浅すぎると新しい根の発生が抑えられ、やはり生育が悪くなってしまいます。
ランナー(親株から出るつる)の反対側から花房がでますので、実のなる向きを同じにするために、ランナーを畝の内側に向けて植えます。
植えつけ後1週間は、苗が土となじむようにたっぷり水やりして根を活着させましょう。
管理
1回目の追肥・土寄せ
根が活着したら水やりを少しずつ減らし、11月下旬に、緩効性化成肥料を畝の肩にやり、軽く土寄せしましょう。
霜が降りる12月上旬から休眠しますが、凍結の恐れがある地域では株元に敷きワラなどで凍らない程度に防寒します。
また株元には雑草がみられますので除草もおこないましょう。
2回目の追肥・土寄せ
翌年の1月下旬に2回目の追肥と土寄せをします。
やり方は1回目と同じですが、2月に入ると、春の生育に備えて黒マルチをしましょう。
畝全体を覆い、盛り上がった株の部分にカッターで穴をあけて芽や葉を引っ張り出します。
また、葉の裏にアブラムシが発生していないかみまわりましょう。
開花以降
3月になると花が咲きはじめ、新芽が伸びてきます。
乾燥しているときは、花に水がかからないようにしながら、午前中に水やりしましょう。
イチゴは生食用なので薬剤は少ないほうがいいのですが、葉が黒ずんでいる場合はアブラムシがいるので、花や実にかからないように霧吹きなどで散布しましょう。
あとは、収穫近くになってきたら鳥害対策でネットをかけるのも大切です。
収穫
収穫できる期間は、5月上旬〜6月上旬までの約1ヶ月で、赤く熟した実から摘み取っていきます。
家庭菜園では完熟が求められるので、早朝の気温が低いうちに収穫すると実の崩れが少なくなります。
収穫が終わる6月上旬からは、翌年の苗づくりのために親株を植えつけます。
4.イチゴのよくある生育不良|おもな病害虫
「収穫量が落ちる」「灰色カビ病」「うどんこ病」「アブラムシ」などのイチゴの生育不良や病害虫の原因と対策を下記にまとめています。
5.まとめ
①秋に根をしっかり張らせて低温に備える。
②排水の悪い土地ではやや高めの畝にする。
③肥沃な土を好むが高濃度の肥料には弱い
④連作を嫌うので前作から2〜3年は空ける。
⑤収穫近くになったら鳥害対策をする。
この記事では、イチゴの基本的な栽培について紹介しました。
下記では他にもイチゴの仕立て方やイチゴ栽培のよくある質問をまとめています。
下記では、他にも100種類以上の野菜の育て方・栽培方法についてまとめています。
2条千鳥植え:2条で栽培するときに、千鳥の足跡のように植えつけること。 整然と並んだ列から交互に1株ずつをとったような植え方。