用土の量が限られるコンテナ栽培では、酸素を十分に供給することが必要で、水はけがよく、水もちも保肥力もある用土が理想的です。
そのためには、数種類の用土を配合して用土をつくるのが望ましいです。
また、未熟堆肥や有機質肥料は、病原菌が狭い容器内に蔓延するので厳禁です。
必ず腐熟したフカフカしたものを使用してください。
この記事では、配合してつくる用土の「ベースとなる基本用土」「ベースを補う調整用土」にわけてまとめています。
それぞれの用土の特徴をしっかりと把握して理想の用土を配合できるようになりましょう。
ベースとなる基本用土
コンテナ栽培で使うベースとなる土は、赤土、黒土、畑土、赤玉土、田土、再生土などです。これらは安価でしかも大量に手に入り、水もち、保肥力が良い土です。
これらの土に腐葉土、ピートモス、完熟堆肥などを、およそ6対4の割合で加えるのが基本です。
植物質の用土は、水はけ、通気性をよくし、微生物も増やし、さらに水はちも保肥力もあります。
ただし、植物用土は時間の経過とともに機能が低下していくので、一年後くらいに土壌消毒を施し、新たに腐葉土や赤玉土を加えれば再利用できます。
主な基本用土の特徴
用土土 | 通気性 | 保肥力 | 水もち | 特徴 |
赤土 | △ | ◎ | ◎ | 有機物を含まない粘質の火山灰土で弱酸性。リン酸分を多く施す必要がある。 |
赤玉土 | ◎ | ◎ | ○ | 赤土を大、中、小の粒径によってふるいに分けたもの。保肥力が良い。 |
鹿沼土 | ◎ | ◎ | ○ | 栃木県鹿沼市周辺の関東ローム層の下から採取される。酸性は強いが、通気性が良い。 |
黒土 | △ | ◎ | ◎ | 有機物を多く含み、軽くて柔らかい火山灰土。「黒ボク土」ともいう。保肥力が良い。 |
田土 | △ | ◎ | ◎ | 「たつち」と読む。水田の下層土や河川敷の沖積土で、保肥力に優れている。 |
日向土 | ◎ | ◎ | ○ | 別名・ボラ土。日向砂ともいう。黄褐色の軽石で通気性がよく、ラン類、山野草、盆栽向き |
川砂 | ◎ | △ | △ | 産地により矢作川砂、富士川砂、天神川砂などがある。通気性の改良に向く。 |
桐生砂 | ◎ | △ | ○ | 赤褐色の火山砂礫で、鉄分を多く含む。盆栽、山野臭などにも用いられる。 |
富士砂 | ◎ | △ | △ | 山野草栽培、ロックガーデン向き。通気性向上の改良材として多用される。 |
山砂 | △ | ◎ | ◎ | 各地の山から採取される砂で、芝生の目土用でおなじみ。 |
軽石 | ◎ | △ | △ | 多孔質で通気性がとても良いのでコンテナの底に敷くゴロ石として使われることが多い。 |
水苔 | ◎ | ○ | ◎ | オオミズゴケやフサミズゴケを乾燥させたもので、通気性、水もちともに良い。 |
基本用土を補う調整用土
コンテナ内の用土にゼオライト、バーミキュライト、もみ殻、ヤシガラ活性炭などの調整用土を5〜10%ほど加えることで、
通気性や水もちをよくし、アンモニアを吸着するなど根腐れ防止効果があります。
主な改良用土の特徴
用土名 | 通気性 | 保肥質 | 水もち | 特性・注意点 |
堆肥 | ◎ | ◎ | ○ | ワラ、落葉、牛ふんなどの有機物を腐敗、発酵させたもの |
腐葉土 | ◎ | ◎ | ○ | 広葉樹の落葉を堆積して発酵させたもの。市販品は品質にかなりばらつきがあるので要注意。 |
ピートモス | ◎ | ○ | ◎ | 湿地の水苔が堆積して腐熟したもので、腐葉土の代わりに用いられる。酸性なので、酸度調整済みの製品を使うと良い。 |
バーミキュライト | ◎ | ◎ | ○ | ヒル石を約1000℃で焼成加工したもの。黒土、田土などの重い土との併用は避ける。 |
パーライト | ◎ | △ | △ | 真珠岩を砕き、約1000℃で加工したもの。通気性、排水性に優れている |
くん炭 | ◎ | ○ | ○ | もみ殻を蒸し焼きにして炭化させたもの。有害物質の吸着作用があり、通気性もよくするので、くん炭と同じように使う |
ヤシがら活性炭 | ◎ | ○ | ○ | ヤシがらを蒸し焼きにして炭化させたもの。有害物資の吸着作用があり、通気性もよくするので、くん炭と同じようにして使う。 |
ケイ酸塩白土 | ◎ | ◎ | ○ | 特殊な粘土を加工して、不純物を取り除いて精製したもの。保肥力が高く、根腐れ防止効果。 |
ゼオライト | ○ | ◎ | ○ | 沸石という天然鉱物。保肥力が高い。根腐れ防止に鉢底に敷くこともある。 |
ココビート | ◎ | ○ | ○ | ココヤシの果皮から作られたもので、ピートモス代わりになる。軽量で使いやすく、通気性が良い。 |
用土配合の基本
育てる植物で使う用土は違う
一般に野菜類は肥料吸収量が多く、保肥力のある用土が適しています。
腐葉土の代わりに牛ふん堆肥を加えても効果があります。
観葉植物や草花の多くは、肥料分はそれほど多く必要としません。
保肥力よりは水はけを重視します。
特にラン類は水はけの良い環境を好みます。
カトレアなどは、気根と呼ばれる根が空気中の湿気を吸収するだけでも育つので、通気性の良いバークや軽石を用土にします。
盆栽も保肥力は不要で、水はけの良い赤玉土の細粒や砂を用土にします。
ライフスタイルに合わせて用土の配合具合を変える
コンテナ栽培での失敗は、水を与えすぎて根腐れを起こす場合と、水を切らして枯らしてしまうことです。
栽培する植物の種類によっても違いはありますが、むしろ、自分がこまめに水をやらないと気が済まないタイプか、水やりがルーズなタイプかを知って、基本用土を多めにしたり、腐葉土を多めにしたりして、配合を調整するのも一つの方法です。
基本用土の違いによる調整
日本の土に多い黒土、赤土、赤玉土は、リン酸の含有量が少ないので、リン酸を多めに施す必要があります。
また、石灰分も少なく酸性になりやすいため、苦土石灰も補給するようにしましょう。
粘土質の田土は、保肥力はあるのですが、通気性、水はけがよくありません。
根腐れを起こしやすいという欠点があるので、腐葉土を40〜50%加えて調整するのが良いでしょう。
養分の多い用土を作る場合
鉢・プランターでの用土のブランドは、基本土6に対して、腐葉土などの植物用土を4加えて調整用土で補うと考えておけば良いですが、もし、有機質肥料や石灰類を使って養分の多い用土を作りたい場合は、早めに配合して用土によくなじませておくことが大切です。
特に油かすや骨粉など有機質肥料を元肥として使うときは、基本用土を混ぜて1ヶ月ほど置いておき、適度に水やりをして有機物の腐熟を促進させておきます。
おわりに
この記事では、主に用土について種類と特徴をまとめました。
育てる作物やライフスタイルに合わせて用土の配合具合を調整することが大事になんですね。
用土の種類と特徴が分かったのなら、次は鉢とプランターです。どのようなものがあり、適切なものはどれなのかわかるようになれば、きっとうまく作物を育てることができるようになりますよ。
下記の記事で「鉢とプランターの選び方」についてまとめているのでぜひ参考にしてくださいね。