野菜を育てる時には、まずは資材(堆肥や肥料)を投入して土づくりをしていきますよね。
しかし、土づくりさえすれば良い、というわけではありません。
野菜を育てていると、どうしても土壌のバランスが崩れてきて、連作障害がおこったりします。
その連作障害を防ぐためには、畑のクリーニングが有効です。
そこで、この記事では、連作障害を防ぐための畑のクリーニングについてまとめました。
連作障害を防ぐために
作物を育てた後の土は、収穫の際に出た残渣が残り、雑草の種子や害虫の卵など、土壌病害が発生する危険性が高まっています。
また、土壌中の肥料分も偏っており、そのまま使うと生育不良を起こしてしまいます。
連作障害の原因にもなるため、畑の土をクリーニングすることはとても大切です。クリーニングの具体的なポイントとして、①過剰に蓄積した養分を取り除く、②雑草の種子や害虫の卵などを消毒して死滅させる、という2つのポイントがあります。
①作物に過剰な養分を吸収させる
野菜を作るなど何年も栽培した土は、肥料が過剰になっている傾向があります。
特にリン酸は一度土の中に入ると雨にも流れにくく、ほとんどその場を動きません。そのため、こまめに堆肥や肥料を施して良い土と思っていても、養分が過剰の不健康な土になることがあります。
一旦養分過剰になってしまった畑を健康に戻すために、吸肥力の強い野菜を育て、養分を吸収してもらうという方法があります。下記に例を一つ載せておきます。
①トウモロコシを育て、収穫
②クウシンサイを種を播く。枝先を順次摘み取って収穫。
③クウシンサイが硬くなったら抜き取って細かく刻み、土にすき込む。
④2週間後にブロッコーやカリフラワーなどを定植。
※どの野菜も肥料を吸収する力が強いので、畑のクリーニングになります。どの野菜も無肥料で育てて、ブロッコリー、カリフラワーは生育が悪ければ、土寄せのときにチッ素肥料のみを投入します。
②太陽熱でできる土壌消毒
すぐに土壌病害が出ている場合は、真夏の晴天時に、土をよく耕してから水をたっぷりやり透明のマルチをかけて約1ヶ月おく「太陽熱消毒」をオススメします。農薬や熱水消毒装置を使わずに、簡単に行うことができますよ。
キャベツやハクサイなどの根コブ病や、多くの作物に発症する菌核病、苗立ち枯れ病など、土壌伝染性の病害には、特に太陽熱消毒がオススメです。
しかし、太陽熱消毒に限らず、熱水や薬剤による土壌消毒であっても一部の病原菌は生き残ってしまいます。そのため、太陽熱消毒が終わった後、すぐに堆肥や有機質肥料を入れると、それをエサに病原菌が増えてしまい、せっかくの消毒効果が薄れてしまいます。
堆肥や有機質肥料は土壌消毒の前に、あらかじめ入れておきましょう。
ちなみに、病原菌のエサにならない化学肥料は消毒後、すぐ使っても問題ありません。
また、太陽熱消毒の前に米ぬかを施すと効果的です。
米ぬかは有機物の中でも微生物のエサになりやすく、その増殖を促してくれます。
そのため、太陽熱消毒の前に施用しておくと、増殖した病原菌を太陽熱で一気に殺菌することができます。
ただし、米ぬかはチッ素やリン酸を多く含む有機質肥料です。
次の作物の種まきや作物の植えつけの際に、米ぬか散布していたことを考えずに肥料を施してしまうと養分過剰になってしまうので注意しましょう。下記に太陽熱での消毒の具体的な方法を箇条書きにしてまとめてみました。
①米ぬかを散布する(米ぬかの量は1a当たり20kgが目安。畑が乾いていたら、雨が降ったあとか、散水した後に散布する。)
②しっかり耕して畑に混ぜ込む(米ぬかをエサにして微生物が増殖。前作の残渣についていた病原菌はエサがなくなり減っていく。)
③畝立てマルチを張る(作る作物に応じた高さと畝の幅の畝を立てる。病害虫のほとんどは地温40〜50℃以上で数日すると死滅するので、マルチは地表上昇効果の高い透明なものを使用する。)
④消毒後はそのまま作付けする(20〜30日放置。地表に近いほど消毒効果が高いので耕すと効果が薄れてしまうので、マルチを使用する場合は、そのまま作付けする。)
おわりに
この記事では畑のクリーニング(土壌消毒)についてまとめました。
上記で述べた2つのこと(作物に余分な肥料分を吸収させる、太陽熱消毒をする)を実践して、土壌中の肥料バランスを保ち、病原菌の増えない土を保ようにしましょう。