自然農薬

【自然農薬】花蕾エキスとは?その作り方と使い方

植物を発酵させてつくる植物のエキスは散布する作物の生育ステージによって大まかに「茎葉エキス」「花蕾エキス」「果実エキス」の3つに分けられます。

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この記事ではその中の「花蕾エキス」について素材一覧や、作り方、保存方法、使い方についてまとめています。

また、植物発酵エキスそのものについて深く知りたい方は下記の記事をご覧ください。

花蕾エキスについて

メロンの人工受粉

花蕾エキスは植物の花や蕾から抽出するエキスです。

花や蕾には花芽分化に必要な、リン酸やビタミン、生殖ホルモンなど、生殖器官を発育させるものが豊富に含まれています。

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このエキスを果菜類に散布すると、花芽分化が促され、栄養生長から生殖生長へとスムーズに移行させることができます。

散布適期は、果菜類の花芽(生殖細胞)が分化し、蕾が間もなく目で見えるようになる本葉六葉期です。

この時期は生育交代期(出蕾準備期)と呼ばれ、果実エキスと混ぜて葉面散布すると効果的です。

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また、トマト、ナス、キュウリなどは次々と花芽分化をしていくので、以後三週間ごとに二回散布する果実エキスに花蕾エキスを混合散布すると効果的です。

花や蕾は確保できる量が少なく、また水分量が少ないため、砂糖による浸透・発酵抽出では充分なエキスを得られないので、焼酎(35度)などのアルコールに浸けてエキスを抽出します。(ただし、ブロッコリーに関しては砂糖発酵抽出可能です。)

アルコール抽出では、微生物の活躍は期待できません。

抽出できるのは花蕾に含まれる成分のみで、葉面微生物を増殖させる効果は期待できません。

保存性は非常に優れており、常温でいつまでも保存できます。

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「アルコール抽出」について何?って方はこちらを参考にしてください。

花蕾エキスの材料について

春から夏にたくさん作って保存

菜花

あらゆる植物の花や蕾を使うことができますが、素材が入手しやすいのは多くの植物が花を咲かせる春から夏にかけてです。

秋から冬にかけては花が少なくなりますが、果菜類は少ないので多くは必要ありません。

本来はトマトにはトマト、キュウリにはキュウリのものが良いですが、後述するように花蕾エキスの散布適期はまだ蕾も見えないころなので、他の植物の花蕾で作ることが多くなります。

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よく使われるのはアブラナ科の植物です、コマツナやダイコンを育てたら、一部を収穫せず花が咲くまで育て、その蕾や花を利用します。ウリ科はカボチャの花蕾がもっとも有効です。

オススメの花蕾材料はブロッコリー

ブロッコリーの収穫
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素材として特にオススメなのがブロッコリーです。

私たちが食べている部分は丸ごとの蕾で、2つ使えば充分な量の花蕾エキスを作ることができます。

また、ブロッコリーはビタミンA(カロテン)をはじめ鉄やカルシウムなど非常に豊富なので、効果の高い花蕾エキスとなります。

ハウスがなくても寒さに強く、栽培できる期間も長いため通年利用もできます。

さらに花蕾エキスはアルコール抽出で行いますが、ブロッコリーなら砂糖による発酵抽出でも充分にエキスが出ます。作り方は茎葉エキス果実エキスと同様です。

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材料として使う花蕾には、茎葉エキスと同じように、傷がついたもの、病気にかかっているもの、農薬使用のものは使いません。

花蕾エキスのオススメ植物素材一覧

大根のとう立ち
 花蕾発酵エキスのオススメ植物素材
ブロッコリー、シュンギク、コマツナ、ダイコン、ナバナ、タンポポ
ブロッコリー、カボチャ
ブロッコリー、キク
ブロッコリー

花蕾エキスの作り方(アルコール抽出)

焼酎を注ぐ

花蕾を果実種焼酎でヒタヒタ状態に

焼酎は35度のホワイトリカーなど、梅酒を作る際に利用するものを使います。

焼酎のアルコール度数はこれより高くても低くても構いません。希釈時に調節しましょう。

容器は茎葉エキスを作るときと同様の容器か、もしくはペットボトルでも構いません。

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焼酎のペットボトルであればそのまま使うことができますが、ジュースなどのペットボトルは水でよく中を洗ってください。材料は茎葉エキスと同様で洗わず使用します。

小さい花や蕾の場合は刻まなくても結構です。ブロッコリーなど大きな素材は4〜5cmに刻みます。

アルコール抽出では発酵して炭酸ガスが発生することはないので、材料を容器いっぱいに入れても構いません。

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焼酎は材料の上面まで入れます。

薄茶色になってきたら完成

ホワイトリカーの色が茶褐色に変化したら完成です。

季節や材料にもよりますが1ヶ月も置けばまず問題なく使うことができます。

完成後も、そのまま冷暗所に保存しておけば長く使えますし、長く保存しておくほど、溶け出る栄養分が多くなります。

アルコール抽出の花蕾エキスには失敗はあまりなく、砂糖を使った発酵抽出エキスと違って、腐敗するようなこともありません。

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使用する際は木綿のサラシやハンカチでこしてから使い、取り除いた素材は堆肥などに加えて畑に戻しましょう。

花蕾エキスの使い方

自然農薬を吹きかける

果菜の本葉六葉期に1、2度散布

花蕾エキスは、前述したように花芽の分化や蕾の発育が重要な果菜類のみに使用し、葉菜類と根菜類には基本的に使いません。

花蕾エキスは、病害虫を抑制することも目的とする茎葉エキスと違って、定期的に散布するものではありません。

植物の出蕾準備期を狙ってピンポイントで散布します。本葉が6枚出るころにタイミングよく一度目の散布をし、数日後にもう一度散布すれば充分です。

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花蕾エキスは単独で使っても構いませんが、果実エキスと混ぜて散布すると高い効果を得ることができます。

霧吹きや散霧器を使って作物全体に吹きかけます。

また、果菜によってローテーションが違いますが、出蕾後は茎葉エキスと果実エキスを一定のローテーションで散布します。

果実エキスを散布する際も、花蕾エキスに余裕のある場合は混合すると効果があります。

500倍以上の濃いものは避ける

水1ℓに対して、花蕾エキス1cc、果実エキス1ccを混ぜて、1000倍に希釈して散布します。

花蕾エキスも果実エキスも、濃い方が効果があるだろうと濃いものを散布すると、生育が一時ストップしてしまうことがあります。

500枚くらいであれば問題ありませんが、それ以上に濃いと栄養生長が停滞してしまうので注意しましょう。

おわりに

今回は「茎葉エキス」について詳しく解説しました。

植物発酵エキスは育てている作物の生育ステージに合わせて「茎葉エキス」「花蕾エキス」「果実エキス」に分けられます。

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また、下記には今回解説した茎葉エキス以外の2つのエキスについてまとめた記事があります。