ホームセンターなどで苗を購入する時、「接ぎ木だから病気に強い!」とかよく書いていますが、そもそも「接ぎ木」とはなんでしょうか?
この記事では、接ぎ木について、目的とメリットについてまとめています。
接ぎ木とは?
接ぎ木(つぎき)とは、植物の一部を切り離して別の植物とつなぎ合わせる技術のことです。
接ぎ木の技術によってできた苗は接木苗(つぎきなえ)と呼ばれます。
地下部の根に用いる植物を「台木(だいぎ)」、地上部分の茎葉に用いる植物を「穂木(ほぎ)」と言います。
果菜類ではキュウリ、スイカ、メロンなどのウリ類、ナス、トマト、ピーマン(一部)で接ぎ木を利用した栽培が行われています。
接ぎ木の例(穂木×台木)
①スイカ×ユウガオ、かぼちゃ
②ナス×赤ナス
③キュウリ×かぼちゃ など
台木の管理はしっかりおこないましょう。
というのも、台木を放っておくと台木自体が成長してしまい、例えば、「ナスの苗なのに根元からかぼちゃの葉が出てきた」なんてこともおきます。
そうならないようにしっかり台木に生えてきた茎や葉は刈り取りましょう。
接ぎ木の目的とメリット
接ぎ木の目的とメリットを挙げると主に4つあります。
連作障害防止
普通の苗だと、トマトやナス、スイカなどは一度栽培すると4〜5年ほど栽培期間を開ける必要があります。
連作障害に耐性のある、台木に穂木をつなぐことで、短い期間での作付けが可能になります。
草勢の維持
果菜類は収穫期間が長期になるので、生育後期に草勢が衰えることがありますが、草勢の強い台木に穂木をつなぐことで、草勢が維持されます。
低温伸長性
春植えの定植直後や秋植えの場合は、地温が低いために生育が遅れることがありますが、低温伸長性の台木につなぐことで、地温が低い時でも植物が生育しやすくなります。
耐病性
青枯病、萎凋病、つる割れ病など土壌から伝染する病気に耐性を持つ台木につなぐことで、病気が発生しにくくなります。
しかし、接ぎ木によって全ての病害虫の被害がなくなるというわけではありません。
全ての病害虫に抵抗性を示す台木の種類、品種ではないので完全に土壌伝染病害虫を回避できるというわけではないです。
例えば、タキイの「台太郎」には青枯病への耐病性がありますが、半身萎凋病には耐病性がないです。
接ぎ木は高度な技術と知識の産物
接ぎ木には、作業そのものが高度な技術を必要で、穂木と台木の組み合わせにも専門的な知識が必要となります。
接ぎ木は同じ種類の野菜同士で行われる場合と異なる種類の野菜でおこなれる場合があります。
異なる種類の野菜では拒絶反応を起こして、うまく活着しないことが多いです。(例えば、ナス科の台木にウリ科の穂木など)
同じ種類の野菜でも生育が正常に進まず、収量や活着後の生育が正常に進まないこともあります。
4.まとめ
①接ぎ木は、「台木(だいぎ)」と「穂木(ほぎ)」をくっつけたもの
②接ぎ木の苗は、耐病性、連作に強い、草勢の維持、低温伸長性の4つの効果あり。
③接ぎ木は、現代の高度な技術である。
高度な技術によって、高い付加価値が生まれているのが接木苗です。
園芸店やホームセンターで高い値段で売られているのにはちゃんとした理由があったんですね。
野菜作り初心者の方は、少し値段が高いですが、接木苗から挑戦しても良いかもしれませんね。
しかし、接木苗だから「安心!」というわけではなく、接木苗であっても良い状態の苗を購入する必要があります。
下記では、良い苗の条件をまとめています。