1.逆さ植え
効果
通常じゃがいもの種イモは、芽を上に向けて植えつけていきます。
一方、芽を下に向けて植える「逆さ植え」という栽培方法も、病害虫に強くなる篤農技術として伝承されてきました。
逆さ植えは、一般の野菜の栽培方法の本ではよくタブーとされている植え方ですが、最近の研究で、病害虫に対する抵抗性が誘導されることが明らかになっています。
植物は刺激を受けると、それに対応するタンパク質をつくりだします。
逆さ植えは萌芽する(芽がでるとき)ときに土の圧力を受けるため、病害虫への抵抗性や環境適応性が向上すると考えられます。
また、逆さ植えでは、芽数が少なくなるため、芽かきの手間が減り、省力栽培にもつながります。
植え方
芽を出すための作業(浴光催芽)とイモの切り分けは、普通栽培と同じようにおこないます。
そして、畝に深さ10cmの植え溝を掘り、株間30cmで、切り口を上に、芽のある部分を下にして、芽を折らないように丁寧に植えつけます。
芽は、種イモの下から伸びていくため、芽が出るのは普通栽培と比べてやや遅いです。
土の圧力を受けるので、弱い芽は途中で伸びるのをやめてしまい、強い芽だけ地上部に伸長していきます。
芽数が少なくなり、通常は芽かきの必要はなく、多い場合のみかき取ります。
また、土寄せは普通栽培と同じように2回おこないましょう。
2.丸ごと植え
効果
じゃがいもには、春に植え初夏に収穫する作型(春植え)と、9月上旬に植え11月〜12月に収穫する作型(秋植え)があります。
10月頃には、初夏に掘り残した小さなイモから生長した野良植えのじゃがいもを見かけることがあります。
丸ごと植えは、野良植えと同じように、種イモを切り分けずに植えつけます。
種イモが小さい場合や、秋植えする場合に向きます。
丸ごと植えでは、種イモを切り分ける場合と比べ、子孫を残すためのリスクが少なくなるので全ての芽は萌芽せず、必要な芽だけが伸長します。
そのため芽の数は少なくなり、芽かきはほとんど必要ありません。
また、種イモが切り分けられていないため、軟腐病や乾腐病など病害虫に侵されることが少なくなります。
植え方
種イモは、50〜60gの小ぶりのものを準備し、へその部分を切り落とします。
浴光催芽(よっこうさいが)させた後、深さ10cmの植え溝に株間30cmで植えつけます。
萌芽(ほうが)したら、普通栽培と同じように2回に分けて土寄せします。
春植えで丸ごと植えをする場合は、種イモの準備と芽かき以外の管理は、普通栽培と同じです。植えでは、気温の高い時期に植えつけます。
3.へそ切り栽培
効果
じゃがいものイモは、もともと茎の一部です。
地下の茎から「ストロン」と呼ばれるわき芽が長く伸び、その先端が肥大したものです。
「へそ」とは、イモにストロンがついていた場所です。
その反対側の頭の部分は、元々ストロンの一番先端だったところで、ここにたくさん密集している芽が休眠しをし、生長を止めています。
植えつけには、春になって温度が上がり、休眠が破れて芽が伸び始めたものを使います。
このとき、反対側にある「へそ」を切ると、生育初期に芽の生長が促進されて収量が増え、光合成で作られるデンプンの量も多くなるので、それだけ美味しいじゃがいもができます。
植え方
植えつけは、日中の気温が12℃〜18℃になってからです。
植えつけの数日前に種イモを日なたに置いて、芽の生長を促すと、芽はかたく充実し、折れたり病気になりにくくなります。
夕方には取り込みましょう。
そのあとに清潔な包丁でへその周辺を切ります。
また、上記で紹介した3つの方法以外にも植えつけ方法があります。こちらも参考にしてみてください。
おわりに
この記事では、ジャガイモを上手に育てる方法を3つ紹介しました。
ジャガイモに関する記事は下記にもありますので、コチラもぜひご覧ください。