タカナは九州が本葉の代表的な漬け菜で、とうが立ち始めた頃のピリッとした辛みと香りを漬物にして楽しむ野菜です。
この記事ではタカナの育て方・栽培方法についてまとめています。
タカナについて
タカナは九州地方を主に、古くから栽培されている代表的な漬け菜で、葉にはピリッとした辛みがあります。
冬から早春どりの大株をつくるには、育苗して畑に植えつけますが、春まき、秋まきの小株どりでは、直まき栽培もできます。
露地栽培(育苗):種まき8月中旬、植えつけ9月中旬、収穫12月
露地栽培(直まき):種まき8月中旬、収穫11月下旬〜3月中旬
幼苗期には暑さや寒さに強いですが、大きく育ってからは寒さに弱いので、霜が厳しい地域では冬になったら保温資材を被覆します。
良質な葉を収穫するには、堆肥を多めに施して、肥切れさせずに大株を育てます。
ウイルス病を媒介するアブラムシには、早めの対策をおこないます。
年内収穫の場合は株ごと、越冬後の春に収穫する場合は、かき取り収穫すると、長期間楽しめます。
タカナの仲間には、三池高菜、かつお菜、紫高菜など地方特有の在来種があります。
三池大葉縮緬高菜(タキイ種苗):高菜漬けとして広く使われている代表品種。葉はちりめん状で肉厚。
赤大葉高菜(タキイ種苗):葉が幅広で縮みのある赤紫色の大型種。茎葉ともに肉厚でやわらかく、香りも良い。
広茎かつお菜(トーホク):かつお節に似た味がすることからこの名に。博多周辺では正月の雑煮に不可欠。
柳川青高菜(中原種苗場):葉柄は白くて幅が広く、濃緑の葉は大きめです。ピリッとした辛みで置漬けに向く。
苗づくり・畑の準備
ポリ鉢の場合は、3号ポリ鉢に5〜6粒、種が小さいので、覆土は2mmくらいの厚さで丁寧にまきます。
発芽が揃ったころに3本仕立てにして、本葉2枚の頃に1本仕立てにします。
本葉が5〜6枚の苗に育てば植えつけ適期です。
セルトレーの場合は、128穴のセルトレーが育てやすく、覆土は3〜4mmの厚さで均一にまきます。
穴に3〜4粒まいて、順次間引いて本葉2枚の頃に1本仕立てにし、本葉が3〜3枚の苗に育てば植えつけ適期です。
畑の準備は、前作がおわり次第はじめていきます。
できるだけ早く苦土石灰をまいて、20cmほどの深さによく耕しておきます。
植えつけの2週間くらい前に畝全体に元肥をばらまき、15〜18cmの深さによくすき込みます。
施す量は、1㎡当たり堆肥5〜6握り、油かす大さじ5杯、化成肥料大さじ3杯程度です。
良質の堆肥と有機質肥料を十分に施し、葉が大きくて厚みのある大株に育て上げます。
植えつけ・間引き
直まきの場合は、元肥の上に土を戻して、5cmほどの深さになるようまき溝を作ります。
その場合の元肥は、畝の長さ1m当たり、堆肥7〜8握り、油かす大さじ5杯、化成肥料大さじ3杯程度施します。
株間は大体15cm〜40cmで、1カ所5〜6粒の種をまき、1〜1.5mの厚さに覆土します。
小株どりの場合は狭く、大株どりの場合は広く育てます。
育つにつれて1カ所3株から1株になるように間引いていきます。
間引いた苗は、漬け物、煮物などにも利用できますよ。
追肥・防寒対策・収穫
追肥は3回以上に分けておこなっていきます。
1回目は本葉7〜8枚の頃です。1株当たり油かす大さじ2杯、化成肥料大さじ1杯施します。株のまわりにばらまき、土にすき込みます。
2回目は本葉10枚の頃です。1株当たり油かす大さじ2杯、化成肥料大さじ2杯施します。畝の両側に施し、土ごとの畝の肩によせあげます。
3回目以降は、15〜20日に一度、2回目と同量施します。
タカナは本来九州での栽培が多く、それより寒い地域では12月に入ったら簡単な防寒対策をおこなうことをオススメします。
ベタかけやビニールトンネルなどが有効で、ビニールトンネルの場合は、日中は28〜30℃にならないように、換気を入念におこないます。
収穫には2つの方法があり、「株ごと収穫」と「葉かき収穫」があります。
年内収穫のものは株ごと刈り取り、年を越したものは葉をかき取り収穫すると良く、とう立ちしたら、とうとともに収穫・利用します。
「株ごと収穫」は草丈20cmくらいになった頃、抜き取ります。
草丈が30cmを超えるくらいに伸び、株がしっかり張り、葉が厚くなってきたら刈り取るがオススメです。
「葉かき収穫」は、葉が十分肥大したら、外葉から順番にかき取り、収穫します。
3月頃からとう立ちする品種は、葉も、太くなったとうの味も格別です。
おわりに
タカナはアブラムシが発生するとウイルス病にかかりやすいので、初期生育の防除を怠らずにおこないましょう。
タカナは冬の間に花芽ができ、春暖かくなり、日が伸びるにつれてとう立ちしてきます。
タカナのとうは、独特の風味があってたいへん美味しいので、処分せずに収穫するのがオススメです。
葉菜類の多くはとう立ちすると茎が細く伸び、すぐに開花してしまうので、品質が悪くなるのも早いのですが、タカナのとうは太くて中までやわらかく、適度の辛みがあり、風味が良いのが特徴です。
とうが少し伸び始めた頃、葉を数枚つけて切り取ってぜひ利用してください。
葉だけとは違った独特の美味しさが味わえます。
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