食用ギクは、花弁が厚く、香り高くて苦味が少ないキク花で、熱で変色せず、中国では紀元前かた酒や茶に合わせて不老長寿の飲み物に入れられていました。
東北、北陸に多く、西南に少ない東高西低の野菜です。
この記事では、そんな食用ギクの育て方・栽培方法についてまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
食用ギクについて
宿根生の多年生で、冷涼な気候を好みますが、耐暑・耐寒性ともにかなり強くて、一般の野菜に比べて栽培は容易です。
有機質に富み、排水、通気性の良い土壌で良品ができます。
鑑賞ギクと同じく、4〜5月に挿し芽をして苗を育てますが、6月頃に株分けしても良いです。
挿し芽の場合:挿し芽4月下旬〜5月上旬、植えつけ6月中旬、収穫10月〜12月
株分けの場合:植えつけ6月中旬、収穫10月〜12月
草丈30cmくらいになったら、倒伏防止のため、株わきに支柱を立ててヒモで誘引します。
サビ病やアブラムシ、ヨトウムシの防除を怠らないようにしましょう。
花期が比較的長いので、観賞用としても十分楽しめます。
食用ギクは地域や用途によって好みの品種は異なります。
延命楽が代表的な品種で、阿房宮、高砂、蔵王菊などがあり、つま菊(小菊)は刺身などの添え物として用いられますが、食用には向きません。
延命楽:花びらは紫かかった桃色。シャキシャキとした歯ざわりで食味がよく、ほのかな甘みと苦みが美味しい。新潟では「思いのほか」と呼ばれ、「もってのほか」「かきのもと」などの別称がある。
阿房宮:青森、秋田で多く栽培され、大ぶりで鮮やかな黄色が目を引く。香りがよく、苦みはほとんどない。花弁が長く、食感は柔らか。青森特産の「干し菊」は阿房官の花びら蒸して乾燥させたもの。
苗づくり・畑の準備
まずは、苗づくりで、挿し芽の場合は、枝先6〜8cmを切り取り、本葉2〜3枚残して他は切り取ります。
育苗箱に川砂や鹿沼土を入れて、芽を挿します。
株分けの場合は、根元のわき芽が5〜6cmになったら、根をつけて手で分けます。
草丈12〜15cmになったら、畑に植えましょう。
苗の準備ができたら、次は畑の準備です。
植えつけの2週間くらい前に畝全面に20cmほどの深さに元肥をすき込みます。
元肥の量は1㎡あたり、堆肥4〜5握り、油かす大さじ5杯です。
また食用ギクは有機質に富み、排水性、通気性の良い土壌を好むので、腐葉土やピートモスなどを入れた土づくりをすることがオススメです。
植えつけ・追肥・支柱立て
苗の準備と畑の準備ができたらいよいよ植えつけです。
植えつけの間隔は品種によって異なりますが、大体20〜40cmです。
追肥は、畝の長さ1mあたり油かす大さじ3杯と化成肥料大さじ2杯の量の追肥は、草丈30cmの頃から月1回、株のまわりに施し、土に混ぜましょう。
食用ギクが大きくなってきたら支柱を立てて、開花したら開花したものから順に摘み取って収穫しましょう。
おわりに
上述したように、食用ギクは東北や北陸などで多いですが、耐暑性も強いのでぜひ一度家庭菜園で育ててみてはいかがでしょうか。
この記事では、食用ギクの育て方・栽培方法について紹介しました。
下記では、他にも100種類以上の野菜の育て方・栽培方法をまとめています。
多年生:多年生草本ともいい、一年草、二年草に対する語で、2年以上生存を続ける草本植物のことを指し、地上部が冬になると枯死してしまうものでも、地下部などが越冬すれば多年生の性質をもつ。