野菜づくりをしていると野菜たちに様々な虫たちが集まってきます。
その中でも野菜に被害を及ぼす虫を害虫、その害虫を食べてくれる虫を益虫と言います。
益虫をうまく増やすことができれば、農薬を使わずに害虫を撃退することができます。
クモ類は益虫で、害虫をたくさん食べてくれます。
この記事では、クモ類の種類と生態と益虫としての効果についてまとめています。
クモ類は、エサの捕獲の仕方によって、網状のクモの巣を張って虫を捕らえる造網タイプと、地面や葉の上を歩いて虫を捕らえる徘徊タイプの2タイプに分かれています。
クモ類①造網タイプ
造網タイプも徘徊タイプもどちらも畑に集まる昆虫を食べます。
実は、クモ類は益虫も食べてしまいますが、害虫も食べることで、害虫が増えすぎないようにバランスをとるのに役立っています。
畑で、よく見られる造網タイプのクモの代表が、ナガコガネグモ、クサグモ、ドヨウオニグモなどです。
クモの食事の仕方は、体外消化という特殊な方法で、捕らえた昆虫に消化液をかけて溶かし、溶かした液体を吸うという特殊な方法です。
畑にソルゴーやエンバクなどを植え、ハーブなどの花も咲かせて様々な昆虫が飛来する環境を作ると、クモは自然に増えます。
ナガコガネグモ
ナガコガネグモは、支柱や背の高い野菜の株間などに巣を張ります。
飛来する昆虫がクモの巣にかかるとグルグルまきにしてゆっくりと食べます。
メスは体長25mm、オスは10mmの大きなクモです。
8〜10月に直径2〜3cmの卵嚢(らんのう)をつくります。
卵嚢には約900個の卵が入っていて、産卵後約半月で孵化した子グモは卵嚢で冬を越して、春に外界に分散します。
クサグモ
葉の間などにロート状の住居のある棚状の巣を作ります。
棚網に落ちた獲物を捕らえて食べます。
体長はメスが16mm、オスが13mmです。
ドヨウオニグモ
水田に多いクモで、畑にもよくいます。
体長はメスが約10mm、オスはひとまわり小さいです。
クモ類②徘徊タイプ
畑では徘徊タイプのクモが大きな戦力になります。
様々な種類のクモが獲物を求めて地面や葉の上を歩き回ります。
花の陰で待ち構えて獲物を狩るクモもいます。
初夏から秋にかけて畑の害虫を大いに食べてくれるので、クモが増えると無農薬の野菜作りが可能になります。
畝や通路に敷きワラや刈り草のマルチを利用すると、そこが隠れ家になって徘徊タイプのクモが自然に増えます。
ソルゴーの障壁、エンバクやライ麦のリビングマルチ、ハーブ類を育てることも、徘徊タイプのクモの増殖に効果があります。
なお、クモ類は農薬にとても弱い生き物で、農薬を使ってしまうとクモはすぐにいなくなってしまいます。
ヤミイロカニグモ
草や野菜の葉上を徘徊して小昆虫を食べます。
横歩きするのが特徴で、体長はメスが約10mm、オスが約7mmです。
ハリゲコモリグモ
メスが体長約7mmで卵嚢を尻につけて徘徊します。
約5mmのオスは孵化した子グモを背中にのせて世話をし、多くの虫を捕食します。
ハナグモ
初夏から秋にかけて、花の近くに潜んで飛来する獲物を捕食します。
体長は約6mmで、オスは約4mmです。
アサヒエビグモ
夏期に現れ、地面や葉の上を走り回り小さな昆虫を捕食します。
糸を風に流して移動します。
体長はメスが約6mm、オスが約4〜5mmです。
ネコハエトリ
体長はオスメスともにほぼ同じで約8mm。葉の上を跳ねるように素早く歩いて、ハエなどの昆虫を捕食します。
アオオビハエトリ
地表や葉上を徘徊してアリを捕食します。
アブラムシと強制するアリ退治になります。
体長はメスが約7mm、オスが約5mmです。
おわりに
この記事では、クモ類の生態と益虫としての効果について紹介しました。
実は、正確にはクモ類は害虫だけを食べるというわけではなく、益虫となる虫も食べますが、益虫としての効果としては高いです。
下記では、それでも病害虫が発生した場合に、化学製品にできるだけ頼らず撃退する方法として自然農薬について一覧にしてまとめています。