カラシナはタカナの仲間で葉は細めで、噛むと強い辛味がしみでてきます。
この辛み成分はシニグリンと呼ばれ、種子はからし粉の原料です。
この記事では、カラシナの育て方・栽培方法についてまとめています。
1.カラシナについて
カラシナは葉幅は狭く、切れ込みが多く、タカナ類に比べて小型で全体に毛茸(もうじ)と呼ばれる葉の表面の細かい毛があるのが特徴です。
耐寒性が強く、暑さにも比較的よく耐えるので、作期の幅はタカナより広くとれます。
露地栽培(春まき):種まき3〜4月、収穫6〜7月
露地栽培(初夏まき):種まき6〜7月、収穫9〜10月
露地栽培(秋まき):種まき8〜10月、収穫12〜4月
カラシナは生育日数が短いので、果菜類の前後作や間作に取り入れることができて、輪作上、便利に活用できる野菜でもあります。
カラシナには、葉カラシナ、黄カラシナ、山塩菜などいくつかの品種群があります。
セリフォン(サカタのタネ):カラシナの仲間。大きく育っても葉が柔らかくて、長期間収穫が楽しめる。
グリーンフリル(トキタ種苗):緑が細かく縮れ、切り込みが深い。サラダにするとドレッシングがよく絡む。
リアスからし菜(渡辺種苗場):葉色は明るい緑色。ミズナのようにシャキシャキとした食感が魅力。
コーラルリーフフェザー(タキイ種苗):鮮やかな赤紫色に色づく切葉タイプ。うまみ、辛みのバランスが良い。
2.畑の準備、種まき
もし、カラシナの前作をおこなっている場合は、なるべく早く片付けて全面に苦土石灰をばらまいてよく耕しておきます。
種まきの2週間くらい前に、15cm幅のまき溝をつくって元肥をばらまきます。
溝の長さ1m当たり堆肥を5〜6握り、化成肥料を大さじ2杯まきます。
肥料の上に10cmほど土をかけて、クワで底面が平らになるようによくならしましょう。
種まきは種と種の間隔は2cmくらいで横幅いっぱいにまきます。
種が小粒なので厚まきにならないようにし、5mmくらい覆土してクワの背で鎮圧すると良いでしょう。
カラシナの種は小さいので、まき溝は平らになるように丁寧につくって、そろって発芽させるように心がけます。
3.間引き、追肥、収穫
間引きは2回に分けておこないます。
1回目の間引きは、草丈が伸び、本葉2〜3枚の頃になったらおこない、5〜6cm間隔に間引きます。
2回目の間引きは、本葉5〜6枚の頃になったらおこないます。
若どりの場合は10cm間隔で間引き、密植気味に育て、大株どりの場合は20cm間隔で広めに間引き、1株を大きく育てます。
若どりの栽培のときは密植に、大株どり栽培は株間が広めになるように、最終間引きのときの株間を変えましょう。
追肥は2回に分けておこない、1回目は本葉5〜6枚の頃におこないます。
溝の長さ1m当たり化成肥料を大さじ2杯ほどの肥料を畝の片側にばらまき、軽く土と混ぜましょう。
2回目は草丈10〜12cmの頃におこないます。
溝の長さ1当たり化成肥料を大さじ3杯ほどの肥料を列の中央にばらまき、中耕しながら軽く土寄せします。
草丈20cm以上になったら収穫できます。
春収穫は20〜25cmの大きめのものが風味に富みますが、春まきはとう立ちするので、とうが出始めたら全部収穫しましょう。
4.カラシナ栽培のよくある質問
春まき、秋まきどちらが良いか?
カラシナは低温にも比較的よく耐え、生育期間も短いので、まき時の適期幅がかなり広い野菜です。
しかし寒冷地では、冬の低温の影響を受け生育不良になりやすいので、原則としては春まきを主体とします。
暖地では秋まきにして、冬から春にかけての収穫を狙うのが得策ですので、原則として秋まきとします。
ただし、暖地でも春早く保温栽培すれば、夏の暑さが訪れる前に収穫することは可能です。
夏に防暑対策を講じて種をまき、畑の輪作にうまく取り入れることも可能ですので、作型を色々試してみて、長期間収穫する方法を見つけてください。
カラシナとタカナの違いは?
カラシナもタカナも中国から導入されたもので、カラシナは主に関東・北陸以北の東日本で、野菜としてだけでなく、からし粉用として発達しました。
一方、タカナは西日本、特に九州に多くみられ、漬け物用として発達しました。
どちらにも辛みがあり、植物分類上では中型以下がカラシナ類、大型のものがタカナ類と総称されています。
カラシナ類は相互に自然交雑しやすいため、各地に様々なタイプのものが誕生し、それらの漬け物を日本人の副食として重要な位置を占めてきました。
タカナ類は大株で葉は広く、葉柄は太くて切り口が三日月形に曲がっており、漬け物用として食味が優れていて、長崎たかな、三池高菜、カツオ菜などが有名です。
カラシナ類は小型が多いので、株ごと抜き取って収穫して利用することが多く、山形青菜、大山菜など各種あります。
おわりに
カラシナは、葉が細く縮れた「ちりめんカラシナ」や、幅広の「わさび菜」、ミズナのように細い葉の「リアスカラシナ」など、品種は多数です。
カルシウム、カロテン、ビタミンなどが豊富な野菜で、また、間引き菜も食べることができます。
モンシロチョウの幼虫などの害虫にさえ注意すれば、カラシナは生育日数が短いので、果菜類の前後作や間作に比較的簡単に取り入れることができます。
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