トマトやキュウリ、ナスなどの果菜類や、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどの大型の葉菜類は、セルトレーやポリポットに種をまき、定植の適期まで育てるのが一般的です。
この記事では、苗を育てること(育苗)とその方法をまとめています。
育苗とは?
育苗とは、畑に種を直接まかずに、別の場所や容器に種をまいて苗を育てることです。
育苗をするのは、果菜類と大型の葉菜類が中心で、おもに1株が独立して広い面積を必要とする野菜です。
直まきよりも効率がよく、良い苗を選抜するためにも、育苗がオススメで、生育がそろって収穫量も安定します。
育苗箱を使って育苗するには?その手順
育苗箱は、育苗をするほとんどの野菜に使えます。
果菜類は育苗箱に種まきして、適当な大きさになったところで、良い苗を選んでポリポットに植え替えます。
春先の育苗は保温または加温が必要です。
夏の盛りの育苗は、よしずや遮光ネットで直射日光をさえぎる工夫をします。
比較的生育が早い葉菜類の場合は、間引きの時期を逃さず、徒長させないことが大切です。
1.種まき用の培養土を入れて、8〜10cm間隔でまき溝を作り、2cm間隔で種をまく。
2.種の2〜3倍の厚さになるように土をかけて板きれや手のひらで押さえ、たっぷりと水をやる。
3.適宜水やりし、発芽までは乾燥防止のために新聞紙を被せておく。
4.双葉が開ききって、葉が重なり合うくらいになったらポリポットに植え替える。
5.6号ポリポットに種まき用の培養土を入れる。
7.育苗箱にへらなどをさしこんで、根を痛めないように苗を取り出す。できるだけ土をつけておく。
8.ポリポットの中心に穴をあけ、苗をおく。まわりから土を寄せて株を安定させ、水やりする。
ポリポットを使って育苗するには?その手順
ポリポットは特にポリエチレン製は軽くて柔らかく、育苗に便利です。
色々な大きさがあり、野菜の種類や生長段階に応じて使い分けます。
育てる株数が少ない時は、ポットに数粒の種をまいて、間引きながら育てるやり方が簡単です。
畑に直まきするよりも水やりや間引きなどの集約的な管理がしやすくなります。
育苗箱やセルトレーで一次育苗した苗を移植して、二次育苗をするときにも使えます。
1.ポットに種まき用の培養土を入れて種を数粒まき、土を被せて水やりする。
2.本葉1〜2枚のころに2〜3本に間引く。生長に応じて間引きを重ね、最終的に1本にする。
3.苗の完成。本葉4〜6枚程度になったら、畑に定植する。
セルトレーを使った育苗
セルトレーは小型の育苗鉢が連結した容器のことで、セルの大きさによって50〜400穴のものがあります。
持ち運びがしやすく、効率的な栽培管理ができること、根鉢形成がはやく移植しやすいことなどが利点です。
培養土は種まき用、特にセルトレー用のものを使うと、生育がよくなります。
また、トレイの底面を直接土につけずに空間を作るようにすると、根がしっかり伸び、根鉢が崩れにくくなります。
1.セルトレーに種まき用の培養土を入れる。
2.まき穴をあけて、種を1粒ずつまく。
3.土をかけて水やりをし、日当たりの良い場所で管理する。
4.定食の適期は本葉3〜5枚くらいの苗。
5.苗の根元を持って、トレーから抜け出す。
6.根が十分に回っていれば、根鉢は崩れない。
そのほかの育苗道具を使った育苗
ポリポットやセルトレーのほかにも、育苗のための便利な資材があります。
岩石を繊維状にほぐして固めたロックウールと、土壌改良材のピートポットは、容器ごと植えることができるので、根を傷めることがありません。
植えつけ後は土中で分解して、土壌改良の資材にもなります。
ピートポットは水を含むと柔らかくなるので、使用上の注意書きをよく読んでから使いましょう。
連結ポット:セルトレイー同様、小さな鉢が連結したもの。穴の数は様々。
ロックウール:高温で焼いた岩石を綿状にして固めたもの。土壌改良材にもなり、ブロックごと植えれば土に還る。
ピートポット:ピートモスを原料にした仮鉢。そのまま定植できる。
おわりに
近ごろ、植えつけの適期よりもかなり前から苗が店頭に並ぶようになっています。
そういった苗は小ぶりでひ弱な苗が多く、植えつけ時期よりも早く苗を入手したときは、自分で仕上げ育苗をすると良いでしょう。
ひと回り大きな鉢に植え替え、寒さに当てないように育てます。
育苗期間が長くなるようなら、液肥などで肥料分を補います。
このひと手間で苗は見違えるほど元気になり、定植後の生長も順調となります。
この記事では、育苗について3つの方法を紹介しました。
育てる野菜に応じて育苗の方法を変えてより良い野菜づくりを目指しましょう。
下記では、他にも植えつけの方法と良い苗の条件についてまとめています。
直まき:ポットなどで育苗しないで、直接畑や庭にタネをまくこと。 ダイコンなど直根性で移植を好まない植物を育てるときに用いる。