行者ニンニクはスズランの葉に似て葉柄が長く伸び、若葉や花茎・花を食べることができ、強いニンニク風味があり、強壮食品としても人気があります。
この記事では、そんな行者ニンニクの育て方・栽培方法についてまとめています。
行者ニンニクについて
行者ニンニクは多年生草木で、排水の良い肥沃な傾斜地を好むので、畑の選定に当たっては、これらの条件に近いところを選びましょう。
弱酸性の土壌を好むので、石灰は施さないようにしましょう。
種まき後1〜2年は葉が1枚の状態で、4〜5年経つと、初夏にとう立ちし、花をつけます。
夏には地上部は枯死します。
露地栽培:種植え(1年目8月)、植えつけ(3年目4月)、収穫(5年目4月下旬〜6月中旬、6年目4月下旬〜6月中旬)
行者ニンニクは、地下部には褐色の繊維に包まれた円筒系の鱗茎を形成しますが、年に2〜3球の分球しか得られないので、人工採種した種子で繁殖して栽培するか、市販の苗を購入するのがオススメです。
収穫の際には、来年も収穫できるように、鱗茎と葉1枚は必ず残すようにしましょう。
行者ニンニクは、分布するそれぞれの地域で特有の変種が成立していると言われますが、品種としては分化はほとんどみられません。
自生種を求めて栽培しましょう。
元苗の入手・採種・畑の準備
初めての栽培では、市販の鱗茎または鉢植えの成苗を買い求め、株を増やしたい場合は、購入苗を定植し、4〜5年後に自家採種します。
たくさん苗を購入できた場合は、翌春、翌々春と収穫しても良く、種を採種して育てる場合は、雨避けして採種用の株を育てます。
4〜5年経つと初夏に花が咲くので、種子が完熟したら、落下しないうちにとります。
種子は乾くと発芽しなくなるので、水に浸し、水を取替えながら種まきまで保存します。
種まきの数日前に水を切って、乾かないように布で覆いましょう。
元苗を入手したり、種を採種できたら次は畑の準備です。
植えつけの2週間くらい前に、1㎡当たり堆肥4〜5握り、元肥を施します。
このとき、行者ニンニクは弱酸性を好むので、石灰は施しません。
植えつけ・追肥・収穫
種まきして翌々年の春まで育苗して、株間20cmで畑に植えます。
追肥は生育の様子をみながら、年に2〜3回、油かすを少し施します。
行者ニンニクは、寒さに強く、早春に萌芽しますので、若芽や若葉から収穫し始めます。
初夏まで利用できます。
植えつけて2年目の春から収穫開始で、花や花茎も食べることができます。
収穫するときは、葉1枚と鱗茎を残しておき、翌年もまた収穫できるようにしましょう。
おわりに
行者ニンニクは高い薬効があり、古くから万能薬として利用されてきました。
ネギの仲間に共通する硫化アリルの一種・アリシンと、βカロテンには強い抗酸化作用があります。βカロテンは油に溶けるので、炒め物や天ぷらなどにすると効能を無駄なく摂取できますよ。
変わった野菜を育てたい!という人はぜひ一度行者ニンニク、育ててみてはいかがでしょうか。
下記では、他にも100種類以上の野菜の育て方・栽培方法についてまとめています。
多年生草本:一年草,二年草に対する語。2年以上生存を続ける草本植物のことを指し,地上部が冬になると枯死してしまうものでも、地下部などが越冬すれば多年生の性質をもつ。