土と肥料

栽培場所による堆肥のやり方の違い【畑、花壇、鉢、プランターなど】

どの場所で育てているかによって堆肥のやり方は変わってきます。

具体的にいうと、畑、花壇、鉢、プランターなどです。

 

場所による堆肥のやり方をしっかりと理解して、適切な量を施すようにしましょう。

この記事では、「畑での野菜づくり」「花壇での花づくり」「鉢・プランターでの野菜や花づくり」の3つに分けて堆肥のやり方をまとめています。

畑での野菜づくりの場合

耕運機で耕した畑

畑の草取りなどを済ませ、堆肥を施して、土と堆肥がよく混ざるように耕します。

畑を耕す目的は主に3つあります。

土壌を深くまで柔らかくして酵素を多く含ませること

土の塊を細かく砕いて堆肥や肥料などを土の粒子になじませること

排水をよくして、根の張る部分(作土層)を深くすること

畑で野菜を作る場合は、水はけをよくし、作土層を確保する目的で、畝を立てて栽培するのが一般的です。

そして、育てる野菜によって、堆肥や肥料の施用の仕方が違ってくるため、それに合わせて畝立てをしなければなりません。

 

施し方は、全面に散布して、深さ15〜20cmの全層に耕しながら混ぜ込む「全面施用」と、畝を立てる前に畝の中央部分に溝をすじ状に掘って入れ、その上に畝を立てる「溝施用」、植える穴の下部分に入れる「穴施用」の3通りの方法があります。

家畜ふんや生ゴミ堆肥など肥料成分の多いものは、溝施用や穴施用など局地的な使用も効果があります。

全面施用

コマツナや、ホウレンソウなどの軟弱野菜向きです。

作業が楽で、堆肥が均一に混ざるので、畑全体の土づくりになります。

しかし、堆肥をたくさん必要とすることと、施した後、すぐに種まきや作付けをすると肥やけします。

溝施用

トマト、キュウリ、ナスなどの果菜、ダイコン、ニンジンなどの根菜向きです。

堆肥がムダなく長時間効きます。

施用後すぐ種まきや植えつけができますが、根が伸びて、堆肥や肥料に届くまで効きめがないです。

穴施用

トマト、キュウリ、ナスなどの果菜向きです。

溝施用の一種です。

部分的に穴を掘って施すので堆肥や肥料のムダがなく、長時間効きます。

花壇での花づくりの場合

花壇の花

庭の花壇では畝を立てる必要はなく、そのまますき込んでしまってかまわないのですが、一年草の草花を植えるか、多年草の草花を植えるかで、施用量の目安が違ってきます。

一年草の草花

一年草の草花とは、種をまいて芽を出し、花が咲いて実を結んで枯れるまでの間が1年以内の草花です。

花壇では、腐葉土でも家畜ふん堆肥でもほとんどの種類が使えますが、必ず種まきや植えつけの2〜3週間前に施して、土によくなじませておきます。

 

施す量は、1㎡あたり、植物質の堆肥で1〜2kg前後、家畜ふんなど肥料成分の多い堆肥なら1kg前後に控え、特に鶏ふんは0.5kg以下にします。

肥料成分は、チッ素、リン酸、カリの三要素がバランスよく必要ですが、チッ素が多すぎると茎や葉ばかりが茂ってしまい、キレイに花が咲かなくなってしまいます。

 

花の種類によってかなり差がありますが、品種改良が進んだ草花は、肥料成分を多く必要とします。

逆に改良の進んでいない野生に近いものでは、あまり肥料成分を必要としません。

こうした点を踏まえ、堆肥を施す際には、どんな草花を育てるのかによって、その施用量を変えていくことが大切です。

肥料成分の要求度

草花
多く求める草花ペチュニア、パンジー、サルビア、マリーゴールド、ケイトウ、アゲラタムなど
普通で良い草花スイトピー、キンセンカ、アサガオ、ホウセンカなど
少しで良い草花キンジョソウ、コリウス、インパチェンスなど

※堆肥は通常1〜2kg/㎡を全面全層に施します

多年草の草花

多年草というのは、3年以上生存している草花の総称です。ランやオモト類など1年中緑の葉をつけているものと、冬になると地上部は枯れて、地下部だけ生き残る宿根草花とがあります。

花壇に植える多年草の草花は、主に宿根草花が多いです。

一度植えつけて、管理が良ければ、長いことそのままで花を楽しむことができます。

多年草は、植えつけてしまうと、掘り返すことができないため、途中で堆肥を施すのは厄介です。

そのため、一年草の草花に比べて、通常は植えつけるときにたっぷりと堆肥を施しておきます。

 

腐葉土など植物質の堆肥を1㎡あたり、2〜3kg以上、家畜ふん堆肥なら、鶏ふん堆肥は長く持たないので、繊維分の多い牛ふん堆肥を1〜2kgくらい施すのが良いでしょう。

肥料成分の中でもリン酸は、花をよく咲かせるために必要です。

種類によって異なるため一概にはいえませんが、大きく育つものほどたくさん必要とします。

 

キクやカーネーションなどは肥料成分の要求量が多いので、堆肥を入れたあと、1㎡あたり、200〜300gほどの普通化成肥料を春芽が出る前に施して、肥料成分を補ってやります。

そして2ヶ月後くらいに追肥し、その後は様子を見ながら追肥をしていくと良いでしょう。

鉢・プランターで野菜や花を育てる場合

プランター栽培のトマト

鉢やプランターなどコンテナで野菜や花を作る場合、畑や庭の土をそのまま入れて使ってしまうのは失敗の元です。

コンテナ栽培では、限られたスペースに植物を根づかせて育てるため、畑や花壇以上に土の良し悪しが大切です。

コンテナ栽培の使い方とポイントをまとめると

・通気性と水はけが重要

・土づくりは植えつけの1ヶ月以上前に行う

の2点が大切になってきます。

通気性と水はけが重要

畑や花壇で栽培すると、根は水や空気を求めて自由に伸びることができますが、コンテナ栽培では、根は限られたスペースの中でしか張ることができません。

 

そのため、畑や花壇の土以上に通気性と水はけの良さが求められます。

この条件を満たすには、ベースとなる基本用土に加えて、数種類の改良用土をブレンドする必要がありますが、腐葉土やバーク堆肥など、植物繊維が多く、土の機能を高めてくれる堆肥を選びます。

 

具体的には、ベースとなる基本用土は畑でも庭の土でも身近な土(赤土、黒土、赤玉土など)で構いません。

それに、腐葉土など植物質の堆肥、もしくはピートモスを大体6:3〜4の割合で混ぜ合わせます。

さらに、改良用土(バーミキュライト、パーライト、もみ殻くん炭、ゼオライイトなど)を10%くらい加えると、通気性、水持ちがよくなります。

土作りは植えつけの1ヶ月以上前に

腐葉土と基本用土をよくなじませるために、土づくりは1ヶ月以上前から進めておきましょう。

鉢・プランターは土の量が限られており、また、水はけの良さを重視した土づくりを行っているので、肥料切れ、水切れにならないように、こまめな水やりがとても大切です。

おわりに

この記事では、「畑での野菜づくり」「花壇での花づくり」「鉢・プランターでの野菜や花づくり」の3つに分けてまとめました。

栽培場所で堆肥の施し方は変わってくるのです。それに加えて、実は、作物のタイプや土壌の性質によっても堆肥の施し方は変わってきます。

下記では、作物のタイプ別、土壌の性質別の施し方を紹介しています。

気になる方は下記からご覧ください。