1.アオムシの被害
春から秋にかけて、葉の上を移動しながら食害している、緑色の細かい毛がうっすらと生えた小さなイモムシがいます。
モンシロチョウの幼虫で、葉を食害して穴をあけます。
幼虫は若齢期から単独で行動しますが、食欲が旺盛なので多発すると葉脈だけを残してすっかり食べてしまうことがあります。
通常は、被害を受けた葉の上には黒緑色の大きな糞が残っています。
苗が小さいうちは特に注意が必要で、中心部の新芽を食べられると生育が極端に遅れ、白菜やキャベツは結球しないなど被害が出てしまいます。
カリフラワーなどの花房では表面がかじられ、その部分が傷となって褐変し商品価値がなくなってしまい、さらにその上に糞をばらまくので表面が一層汚くなります。
被害の状況はヨトウガやハスモンヨトウの被害と紛らわしいですが、幼虫の体全体に短い毛が生えていることと鮮明な緑色のアオムシであることで、区別は簡単です。
2.アオムシが発生しやすい野菜・植物一覧
ストック、バナナ、ハボタン、カブ、大根、チンゲンサイ、白菜、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなど
3.アオムシの生態
年に2〜5回の発生があり、サナギで越冬し、初めの発生は3月ごろから成虫が現れ、アブラナ科の植物の葉裏へ産卵します。
成虫は害を与えませんが、畑の上をひらひらと飛んでいるのを見過ごしていると、いつの間にか葉裏に黄色い円筒形の卵を次々と産みつけられています。
秋までに5〜6回ほど世代を繰り返しますが、夏季は、アブラナ科野菜の栽培数が減り、天敵の活動が活発になるため、7〜8月頃は少なくなります。
孵化した幼虫は、葉を食害しながら成長し、約30日で草木の茎や民家の塀などでサナギになります。
モンシロチョウはアブラナ科などに含まれる辛味成分(グルコシノレート)に誘引されます。
前肢にある感覚器で辛味成分を感じ取り、産卵します。
辛味成分が多すぎると幼虫が育たないため、辛味成分が少なく窒素分が豊富な肥料過多び株に産卵されやすくなります。
4.アオムシの防除・対策
肥料過多にならないように、適切な施肥量で育てることが大切です。
モンシロチョウはキク科に含まれる香り成分を嫌うので、レタスや春菊を混植すると飛来を防ぐことができます。
アブラナ科野菜を植えつけたあと、すぐに防虫トンネルや不織布のべた掛けで覆えば産卵が防げます。
ただ、トンネル内に入り込まれることがあるので、かぶせたあとも安心せずに、卵や幼虫がついていないかよく観察しましょう。
葉裏に産みつけられた卵は見つけ次第、捕殺しましょう。
クモやゴミムシ、アオムシコマユバチなど、アオムシを食べる天敵は多いので、天敵がすみやすい畑にするのも重要で、1〜2匹であれば潰さず残しておくと天敵が現れます。
5.アオムシ駆除の方法
発生したら
葉裏にいる幼虫を見つけて、捕殺しましょう。
アブラナ科植物の周辺に花が咲く植物があると、そこに集まり吸蜜したモンシロチョウが卵を産みつけるので被害が増えます。
効果のある薬剤・農薬
幼虫の発生初期に、登録のある薬剤(野菜類、ハーブはゼンターリ顆粒水和剤キャベツや小松菜はパイベニカVスプレー)を葉の裏にまでかかるように、植物全体に散布します。
おわりに
この記事では、アオムシの被害・生態・防除方法などを紹介しました。
下記では、他にも様々な野菜の病気・害虫について一覧にしてまとめていますので、コチラもあわせてご覧ください。