1.テントウムシダマシの被害
ニジュウヤホシテントウは、てんとう虫と見た目が似ているために「テントウムシダマシ」とも呼ばれています。
てんとう虫とは違い草食で、成虫も幼虫もナス科を好んで食害し、他にもウリ科、白菜、大豆、ゴボウを食害します。
暖かくなると発生し、6月から幼虫が増え始めるので、生育中のジャガイモの近くにナスの苗を植えると被害が出やすくなります。
主に葉裏から浅くかじって表皮を残すので、半透明の傷痕が残り、階段状になるのが特徴的で、葉の広がりにつれて裂けていきます。
葉ばかりでなく、ナスでは果実の表面や、果実に頭を突っ込んで食べるので、肥大中の果実ではしばしば裂けて内部の種が飛び出すことがあります。
2.テントウムシダマシが発生しやすい野菜・植物一覧
ホオズキ、ジャガイモ、ナス、ピーマン、トマト、インゲン、エンドウ、トウガラシなど
3.テントウムシダマシの生態
肉食性のてんとう虫とそっくりですが、作物を食害します。
成虫は長さ7mm前後で赤橙色、背面に28個の黒い紋があり、オオニジュウヤホシテントウの成虫は樹皮下や建物のすき間、枯れた草の株元などで越冬します。
5月ごろからジャガイモ畑に飛来して葉をかじり、数十個の黄色い卵を一塊にして葉裏に産みつけます。
孵化した幼虫は集団で暮らし、成長するにつれて散らばっていきます。
じゃがいもで育った幼虫はサナギとなり、6〜7月に成虫となり雑食性で多くの植物を加害します。
幼虫は黄色で体は柔らかく黒い刺のような突起がたくさんあって、一見タワシのように見えます。
成虫と同じように葉を浅く食い荒らします。
関東より南に生息するニジュウヤホシテントウは年2〜3回発生します。
肥料の与えすぎた株にはつきやすくなり、つきやすいと産卵率が上がり、増えてしまいます。
よく似た害虫として山梨県と長野県で斑紋が16個のインゲンテントウが発生しています。食べるのがインゲンマメなので容易に区別できます。
4.テントウムシダマシの防除・対策
窒素過多にならないように肥料の与えすぎには注意し、肥料過多になってしまったら、追肥を控え、酢水を散布してください。
幼苗の頃であれば、0.6mm以下の目合いの防虫トンネルで防げます。
ソルゴーなどを畑の周囲に植えて障壁にすると、成虫の飛来を抑えることができます。
テントウムシダマシはシュウ酸を多く含む植物周辺にあると、成虫の忌避に効果的です。
ヒユ科はシュウ酸を多く含みます。
野菜ならほうれん草、雑草ならアカザやシロザなどがヒユ科です。
アカザやシロザは吸肥力が強いので本当は取り除くべき草ですが、野菜の邪魔にならない程度なら残しておくと良いでしょう。
その他、スベリヒユやギシギシもシュウ酸を多く含んでいます。
畑の雑草には、残すべき草と取るべき草があるというわけです。
5.テントウムシダマシ駆除の方法
発生したら
越冬後すぐの発生源はジャガイモなので、その近くのナスの栽培は避けましょう。
成虫は見つけ次第捕殺します。
テントウムシダマシは寄生されると、一気に繁殖するので被害がたくさん出てしまいます。
テントウムシダマシは葉に独特の食害痕を残すので、注意すれば被害葉(透かし状、淡褐色)は簡単に見つかります。
また、葉裏にいる20〜30粒の塊の卵や、トゲがあり一見タワシのように見える幼虫を見つけ、これらを駆除すれば他の植物への被害も抑えられます。
効果のある薬剤・農薬
植物に登録のある殺虫剤を散布します。
トマトならスミチオン乳剤、ナス、ジャガイモはベジカベジフル乳剤を散布します。
越冬後にジャガイモに集まるテントウムシダマシ類を駆除しておくと、その後ほかの植物での被害が少なくなります。
おわりに
この記事では、テントウムシダマシの被害・生態・防除方法などについて紹介しました。
下記では、他にも様々な野菜の病気や害虫について一覧にして紹介していますので、コチラもあわせてご覧ください。