野菜づくりをしていると野菜たちに様々な虫たちが集まってきます。
その中でも野菜に被害を及ぼす虫を害虫、その害虫を食べてくれる虫を益虫と言います。
益虫をうまく増やすことができれば、農薬を使わずに害虫を撃退することができます。
ハチ類は益虫で、害虫をたくさん食べてくれます。
この記事では、ハチ類の種類と生態と益虫としての効果についてまとめています。
ハチ類は、狩猟タイプ、寄生タイプ、訪花タイプに分けられます。
1.狩猟タイプ
畑には、幼虫のエサとして昆虫を狩りにやって来る「狩りバチ」の仲間が多く訪れます。
狩りバチには、アシナガバチのように集団生活するハチと、スズバチやエントツドロバチのように単独で生活するハチがいます。
いずれも野菜につくイモムシを始め様々な昆虫を連れ去ってくれる畑の益虫です。
なお、狩りバチの成虫はイモムシ類や昆虫を食べません。
スズバチなどのエサは花の蜜や花粉です。
アシナガバチの成虫は、幼虫にエサを与えたときに、幼虫から栄養価の高い液体を口移しでもらって栄養源にしています。
アシナガバチ
体長は約25mmで、6月ごろから幼虫を養うためにイモムシ類を狩り、食いちぎって肉団子にして巣に持ち帰り、幼虫に与えます。
エントツドロバチ
体長は約18mmで、竹筒や岩の割れ目に泥で巣をつくり、麻酔をかけたイモムシ類を巣の中に運び入れて、孵化した幼虫のエサに利用します。
スズバチ
体長は約28mmで、泥で球形の巣をつくり、アオムシなどのイモムシ類に毒針で麻酔をかけて狩り、巣の中に持ち込んで卵を産みます。
孵化した幼虫はアオムシを食べて巣の中で成長します。
2.寄生タイプ
ハチの仲間には、「寄生バチ」と呼ばれるグループがあり、畑にも多くの寄生バチがやってきます。
寄生バチは、イモムシなど他の昆虫(宿主)に卵を産むハチで、狩りバチのように巣を持ち運ぶことはせず、産むだけです。
宿主の体内で孵化した寄生バチの幼虫は、宿主を生かしたまま内部を食べて成長します。
十分に成長してサナギになる段階で、宿主は食べつくされて死にます。
寄生バチには多くの種類があり、それぞれに自分が好む宿主があります。
自然界ではほとんどの昆虫が対象になっています。
寄生バチの存在によって、害虫に大発生が抑えられています。
アオムシサムライコマユバチやギンケハラボソコマユバチなどコマユバチの仲間は、宿主の体内で幼虫が十分育つと宿主から出て繭を作ってサナギになるのが特徴です。
コマユバチ
アオムシサムライコマユバチはコマユバチの仲間で、アオムシに卵を産みつける寄生バチです。
春〜秋に活動します。体長約は3mmです。
また、ギンケハラボソコマユバチもコマユバチの仲間で、ハスモンヨトウの幼虫に産卵管を刺して卵を産みます。
春〜秋に活動します。体長は約10mmです。
アブラバチ
アブラバチは体長2〜3mmの小さな寄生バチです。
モモカアブラムシなどの体内に卵を産みます。
春から秋に活動し、幼虫の姿で越冬します。
3.訪花タイプ
ミツバチ、クマバチ、トラマルハナバチなど、花を訪れて花粉や花蜜を集めるハチの仲間は「ハナバチ」と総称されます。
ハナバチ類は花粉や花蜜を巣に持ち帰って、幼虫のエサとして利用します。
ハナバチ類の活動によって、畑ではウリ科の野菜やイチゴなど、多くの果菜類の受粉がスムーズに行われ、ハナバチ類はアブ類と並んで、畑の重要な益虫です。
畑にハーブ類を植えて花を絶やさないようにしておくと、訪花タイプのハチが多く集まります。
また、畑の一角に秋まき用のソバを、春から1ヶ月おきに数回タネまきすると花が途切れません。
ソバの収穫はできませんが、訪花タイプを呼び込めます。
ハチ以外にもアブ類やチョウ類などの訪花昆虫が増え、スイカやズッキーニなどは、人工受粉の手間が不要になります。
ミツバチ
春から働きバチ(体長約12mm)が花の蜜を吸い、後脚に花粉の団子をつけて運び、幼虫のエサとして巣に持ち帰ります。
秋は越冬用の食料を確保するため、花粉と花蜜を盛んに集める。
クマバチ
体長20mm超のずんぐりしたハチです。
マメ科のインゲンやエンドウが咲いているとよく畑にやってきます。
成虫も幼虫も花粉がエサになります。
トラマルハナバチ
体長の約20mmの毛深いハチで、様々な野菜の受粉を助けます。
おわりに
この記事では、ハチ類の生態と益虫としての効果について紹介しました。
下記では、それでも病害虫が発生した場合に、化学製品にできるだけ頼らず撃退する方法として自然農薬について一覧にしてまとめています。