よく園芸関連の本に「お礼肥えを少し与えます」と書かれています。
お礼肥えとは一体どのようなものでしょうか?元肥や追肥とはどう違うのでしょうか?
この記事ではそんなお礼肥えとは?他の肥料との違いやまく時期についてまとめています。
お礼肥えとは?
果樹や花木などの永年作物(一度植えると長年収穫できるもの)は、発芽から開花して実ができるまでを全うしようとすると、新葉で生産される光合成だけで作られる栄養分だけでは不十分になることがしばしばあります。
そういった場合に、作物たちは貯蔵養分として枝幹や根に蓄えられた有機化合物を分解して用いています。
新葉での光合成によって作られる光合成産物は果実の肥大期には利用され、収穫期には貯蔵養分として枝幹や根に蓄えられて、次の生育期の前半の生長を支えます。
したがって、永年作物では開花結実で根や枝などの養分が低い状態になり、樹勢が低下します。
養分の不足分を補充し、樹勢を回復させる目的で、収穫直後に速効性の肥料を与えます。
この収穫直後に与える速効性のある肥料のことを「お礼肥え」と言います。
この形態から、お礼肥えは追肥の一つになります。
なぜお礼肥えと言うかというと、花が咲き果実が収穫できたことに対する感謝を表し、その植物へのお礼の思いを込めて与える肥料、というところからこのような呼ばれ方をするようになりました。
元肥などとの違いは?
まず、肥料は与える時期などで大きく「基肥」と「追肥」に分けられます。
種子をまく前や苗の植えつけ前にあらかじめ土に混ぜ合わせておく肥料を元肥(もとごえ)、基肥(もとごえ)と言います。
基肥は生育期間の大半を賄うだけの基本の肥料で、その後の作物の生育の基本をつくります。
基肥は、有機肥料をベースにした遅効性や緩行性肥料を使用します。
果樹では、生育の休眠期である冬期間に有機質主体の肥料を与えますが、これが基肥とされて、寒肥あるいは冬肥と呼ばれます。
追肥は基肥の肥料の効果を補うために行います。
そのため作物の生育診断に基づいて追肥の時期や量を判断することになります。
追肥につけられる呼び名は生育段階によって異なり、果樹では芽出し肥、玉肥、お礼肥えなどの呼び名があります。
また、肥料を与える時期の季節名をつけて、春肥(芽出し肥)、夏肥(玉肥)、秋肥(礼肥)、冬肥(寒肥)とも呼ばれています。
お礼肥えを与える時期は?
果樹へのお礼肥えの施す時期は、樹種によって異なります。
ウメ・スモモ・モモ・オウトウなどは、7〜8月には収穫が終了しているので、果実に養分を送る必要がなくて、枝が伸びやすいです。
この場合は、枝の二次伸長を誘発しない範囲で与えるか、お礼肥えは行わない方が良いです。
収穫時期が10月以降にあるカキ・リンゴ・ナシ・ブドウは、収穫前に肥料を与えても実の品質には直接影響しないので、秋根が活動している9〜10月のうちに与えます。
落葉後に肥料を与えると、果樹が肥料成分を吸収できず、与えた肥料の多くは雨や雪で流れてしまいます。
おわりに
・収穫した直後に施す速効性のある肥料のことで追肥の一つ。
・花を咲かせ、実ができたことの養分の不足分を補充し、樹勢を回復させる目的で与える。
・植物へのお礼の思いを込めて与える肥料、ということでお礼肥えと呼ばれるようになった。
・作物によって与える時期や量は違う。与えないものも多い。
この記事では、お礼肥えについてまとめました。
下記では、他にも野菜を育てる上で必要不可欠な基本知識についてまとめています。